とりあえず気持ちがのってるうちに次話を投稿。
魔王アーニャ討伐に向かう勇者PT選考の面接会場。集まった者は、我こそはという人材達だ。書類選考時点で、あの魔王アーニャが作ったブライタルチェック魔法を突破している。
更には、本当に勇者PTとして魔王を討伐する気概があるかという点で先ほど手に入れたばかりの『相手の嘘が分かる魔法』まで使われていた。その結果、残った人物は僅か数名になってしまう。
「むふ~、やっぱり私が仕入れてきた魔法達は、役に立ったね。大事なアリスのメンバー集めに役に立つなんて流石じゃない」
「フリーレンさん。あまり、魔王アーニャの魔法を褒めては駄目ですよ。確かに、魔法の利便性は認めます。使い所を誤らなければ、便利です。魔法に罪はありません。魔法を使う人が問題です」
ボンドルドは、この魔法を正しく使っていた。大事な娘を預けるメンバーにゴミがいたら一大事だ。そして、始まった最終面接。残ったメンバーの名前を見たときボンドルドは少し目眩がした。
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エントリーナンバー1番。現存するエルフで唯一の男性個体かも知れないクラフト。まさかの再会であった。数百年後の再会の可能性すらあったが、早すぎる再会だ。
「また会ったな。風の噂で、最近エルフの人口が倍増したと聞いた。それに、女神様からの啓示も現れたとか……おぉ!! 分かる。分かるぞ!! アリス様から溢れんばかりに漏れ出す女神様の加護が」
「アリス、エルフの男性を初めて見ました。でも、エルフの男性ってだけでは、メンバーに参加できません。アリスは最高のメンバーで最高の旅に出るのです」
アリスの言葉にクラフトは、己の実力を証明してみろと言われていると理解する。確かに面接官達の実力は、一人一人が魔王を名乗れるレベルだ。二代目魔王アウラとかいう、マジ物もいるが、見かけ倒しだと判断する。
「私は、モンクとして前衛で戦えます。それなりの実力だとも自負しております。僭越ながら勇者もしておりましたので、アリス様が背負う荷物を代わりに持てます」
クラフトの勇者発言に、誰も驚く事は無かった。若干、アウラの顔が引きつった。勇者とは世界が荒れたときに現れる魔族にとっての化け物だ。そんなのが、同じ時代に二人もいるのだから泣きたくなる。
ゼーリエが呆れた顔をしている。
「そういえば、お前も勇者だったな。最近は、勇者のバーゲンセールで忘れていた。今代勇者のアリス、先代勇者のボンドルド、先々代勇者のクラフト……職業が被りすぎだな」
「おやおやゼーリエ様は、クラフト様とお知り合いでしたか。それでしたら、もっと早くご紹介してくださっても良かったのに。そうですね、非戦闘員の荷物持ち役で私が同行します。亜空間に幾らでも荷物が収納できますので、荷物持ち程度では些か戦力不足ですね」
ボンドルド♀からも女神様の気配を感じ取るクラフト。もっと早くに、イドフロントに訪れれば良かったと後悔する。この場所こそ、自分が求めていた約束の地だったと。
「人様に自慢できるような魔法ではありませんが、私も一つだけ魔法が使えます。この魔法のお陰で私は嘗ての厄災に打ち勝ちました……『世界』ッ!時よ止まれ!」
クラフトが魔法を使うと、全てが静止する。その中で動けるのはクラフトだけだった。時を止める魔法。彼が持つ固有魔法であり、唯一無比の力。あのフリーレンですら、魔法と認識でき無い為、解析できない。
停止できる時間は、僅か15秒。数千年生きてこの程度だと、クラフトは己の才能を嘆くが……クラフトの身体能力で15秒も止められたら、軽く30人は同時に殺せる。
止まっている時間を使いクラフトはボンドルドの鉄仮面を外した。
その恐ろしい能力を目にした面接官達は、クラフトの合格判定を出す。
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エントリーナンバー2番。現存するエルフで唯一の大人の女性かも知れないミリアルデ。
「元気にしてたフリーレン。ゼーリエも。へぇ~、この子達がフリーレンの子供か。可愛い子達だね、お酒飲む?」
「駄菓子のように、お酒を勧めるの止めてよ。まだ子供なんだから、お酒は200歳になってからって決まりがあるんだよ」
探しているときは決して見つからなかったもう一人のエルフの女性。ボンドルドが男性時代だったら、なんとしても手に入れたかった存在の一人だ。だが、一度存在を認識出来れば、後はどうとでもなると考えている。
「大人のお姉さんなのでアリスの権限で採用です」
「プルシュカも賛成。ママやゼーリエママ様の昔話を聞ける人がいなかったので、楽しみです」
勇者特権で採用が決まるミリアルデ。
彼女もクラフトと同じく、一人でエルフの人口を倍増させている旧知の友に会いに来ていた。文字通りヤりすぎだなと。
「ありがとう。で、ボンドルドって旦那は何処にいるの?」
「あぁ、紹介するねミリアルデ。私の夫のボンドルドだよ……ほら、1000年くらい前に一度あったよね。あの時の子供だよ」
つい先日みたいな言い方をするが1000年前と比べると、文字通り面影すら残っていない。その上、相手からしたら同性を旦那と紹介する友に不安を感じる。
「愛の形は色々あるみたいね。ボンドルドだっけ?フリーレンを見捨てないでね」
「勿論。愛していますから」
その言葉が真実であることにミリアルデは納得する。こうして揃った勇者アリスのPT。
勇者のアリス
モンクのクラフト
魔法使いのゼーリエ
デバッファーのプルシュカ
遊び人ミリアルデ
道先案内人のフリーレン
荷物持ちのボンドルド
道先案内人フリーレンが先導し、各所で魔王アーニャの魔道書を発見され旅は順調に進む。
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フリーレンは、旅先で寝坊を連発しPTメンバーに怒られてしまう。そこで、近所の魔法店で発見された『謝罪の本気度が分かる魔法』を使われ、反省の色が全く無いとばれてしまう事件が発生した。
「『謝罪の本気度が分かる魔法』ですか……これも、著者が魔王アーニャです。マズイです。見せかけの謝罪なんて、この世では当たり前です」
「ぱぱ、大変です。中央諸国が南側諸国の謝罪が気に入らないとかいって、国境付近で小競り合いを始めました。仲裁して欲しいとアリスの所に依頼がきてます」
当然だ。国境線を偶然を装って実力で広めている南側諸国。ばれたら、とりあえず謝って、今後しないという。だが、当然嘘である。表面上の謝罪など今のご時世無意味となった。
「ど、どうしてこうなった。次こそは…次こそは…」
フリーレンが何やらぶつぶつ言っている。そして、彼女は思いついてしまう。人もエルフも失敗や罪を犯す物だ。だが、ソレを補う功績があれば、帳消しに出来るのではと。つまり、今回の色々が露見したさい、ソレを補って余る功績があれば、全て水に流して貰えると。
そして、黙々と開発を進めてしまう。『相手の功績と犯罪歴が分かる魔法』を。その犯罪歴の基準は、フリーレンが召喚魔法でどこぞから手に入れた六法全書が基準となっていた。
もう人類は限界よ!フリーレン、止まるんだ。
フ「ボンドルド、助けてよ~」
ボ「どうしてこんなになるまで放っておいたんですか」