黎明のフリーレン   作:新グロモント

122 / 147
閑話:リィンバウム事変②

 

「いっちゃだめえええぇぇぇーーー!! プルシュカァァ、アリスゥーーーー」

 

 突如イドフロントで、フリーレンの絶叫が木霊する。普段のフリーレンからは、考えられない程の絶望を含んだ叫びは、横で寝ていたボンドルド♀も驚く程だ。

 

 産まれたままの姿である事など気にせず、寝室を飛び出して子供達の部屋へと向かった。その鬼気迫る様子にボンドルド♀も後を追いかける。それと同時にイドフロント全体に緊急警報が鳴り響く。

 

 フリーレンの後を追うボンドルド♀は、アンブラハンズに状況を確認する。だが、彼等も何が何だか理解が追いついていない。

 

「状況が把握できるまで誰であろうとイドフロントの入退室を禁じます。不審者発見時は、一人では対処しない事。情報を持ち帰る事を優先として、私かフリーレンさんのいずれかが居ない限り生存を優先です」

 

 ボンドルド♀は、杞憂であれば良いと思っていた。だが、先ほどから感じるフリーレンの魔力が普段からは考えられない程、漏れ出している。動揺が魔力制御にまで影響をだしていた。それ程までの事態と言う事だ。

 

 イドフロントには、物理的、魔法的に十分な防御が張られている。内部を警戒する者達ですら、二級魔法使いレベルだ。更に、プルシュカが張ったフランメの結界も合わさっており、魔法に長けた大魔族でも侵入は命懸けだ。

 

 ボンドルド♀が子供達の部屋に着いた時、フリーレンは誰も居ないベッドの側で泣いていた。先ほどまでそこに居たのは確実で、ベッドには子供達の温もりが残っている。

 

 ピリピリとフリーレンの魔力が留めなく漏れ始めた。だが、その行為は悪手に他ならない。普段のフリーレンならばその程度の事は分かっている。ボンドルド♀は落ち着かせるために、フリーレンを抱きしめる。

 

「ボンドルド。プルシュカとアリスが居ないんだ。確かに、ここに居たはずなのに……ねぇ、どこにいったの?」

 

「大丈夫です。落ち着いてください。この場を現状維持しなければ、大事な現場証拠が無くなってしまいます。母親である貴方が落ち着かないでどうするんですか。今、私達に出来る事はここで何が起こったか正しく把握し、子供達を取り戻す事です。違いますか?」

 

 抱きしめられて背中を優しくトントンとされるフリーレン。少しずつ我を取り戻す。

 

 そして、母親の顔に戻るフリーレン。両親は、子供達がどのような状況下でも生き残る術を今まで教えてきた。だからこそ、時間的猶予は多少あると信じている。

 

「ありがとう。ボンドルド、落ち着いた」

 

「そうですか。では、とりあえず服を着てから現場検証をしましょう。何処の誰だか知りませんが、私達に喧嘩を売ったことを後悔させてあげましょう」

 

 世界でも、その分野で名が残る程の研究者の二人だったが、調査は難航した。通常であれば、魔力などの残滓から証跡を少なからず辿る事ができる。しかし、子供達の部屋に残っている魔力の残滓は、家族の者しか無かった。

 

 これには、子供達が自ら家出したのかとボンドルド♀ですら考えてしまう。一番疑わしいフリーレンは、犯行当時ボンドルドと一緒に居たのだから。

 

 

◇◇◇

 

 そんな元居た世界で両親達が大変な思いをしている最中、子供達はエンジョイしていた。

 

「シュタルクは、良い線いっていますが甘いです。相手が女子供だと思って、一瞬躊躇っているからアリスに負けるんです。パパが言ってました。大切な物以外全て切り捨てないと願いは成就出来ないって」

 

「いやいやいや、可笑しいだろう!! なんで、割と本気で振るった斧を片手で受け止められるんだよ。しかも素手で無傷とかインチキだろう」

 

 ドラゴンですら一撃で沈めるシュタルクの斬撃。それを素手で受けて無傷とか、流石のシュタルクも落ち込んでいた。フリーレンもこれには、ビックリしている。アリスのような小柄な子供が魔法無しで、戦士の攻撃を受け止める。フリーレンが同じ事をすれば、身体が真っ二つだ。

 

「この程度当然です。アリスは、女神様の加護ヘイローを持つ次世代のエルフなのです。このヘイローが有る限り物理攻撃では致命傷になりません。ヘイローは、アリスと妹のアロナちゃんしか持ってませんから激レア装備です」

 

「って事は、フリーレンやプルシュカって旧世代のエルフなんだ。へぇ~、エルフって凄いな。なぁ、フリーレン。妹まで攫ったら駄目だからな」

 

 シュタルクの悪気が無い一言に、フリーレンとプルシュカがイラッとしていた。旧世代……それだと、ババァみたいだから女性にとっては許せない一言だった。

 

「シュタルク、1点。私を旧世代呼ばわりしたな」

 

「シュタルク、1点。プルシュカと同じく私を年寄り扱いした。誘拐犯呼ばわりしたのは、今回だけおまけしてあげる。それにしても、プルシュカ達の居た場所ってエルフが沢山いるんだね。アロナちゃんて妹もいるんだ」

 

「とっても可愛いんだから!! アロナちゃんはね、パパが産んだ子よ。それを知ったママが脳破壊されて残当だったわ。あの後、NTRされた痛みが分かる魔法(ゾルトラーク)とか作って大荒れしたんだから」

 

「へぇ~、ここまで来たらアロナちゃんにも会ってみたいな」

 

 ランダム召喚魔法で末っ子のアロナまで攫った日には、この世界を滅ぼすため魔王より恐い親が乗り込んでくるだろう。事故なら情状酌量の余地があるが、故意ならばない。

 

「フリーレンお姉ちゃん。アリスはお勧めしません。アロナちゃんに手を出したら、ゼー………師匠(せんせい)が烈火の如く怒り狂います」

 

 まだ、ネタばらしには早いとアリスが言い直す。

 

「ふーーん、やっぱりまだ何か隠しているね。まぁ、その内、気が向いたら教えてよ。私もエルフが多い事は嬉しいからね」

 

 そうこうはなしている内に、フリーレン達はグラナト伯爵が収める街に到着する。ここには、生アウラ様がいる。プルシュカは、箱入り娘の生アウラしかほぼ記憶に無い。アリスにいたっては、天獄の囚人アウラしか記憶に無かった。

 

 だから、二人は生きが良いアウラに会う事を楽しみにしている。

 




一級魔法使い編くらいまでやりたいなと思っています。
ゼーリエママ様とご対面させてあげたい。

一級魔法使い達の脳破壊をして経験値を稼ぐアリス!!
これは、アリスのレベルがグングンあがります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。