フリーレン一行は、今後の為に一級魔法使いの資格を手に入れるべく魔法都市オイサーストに立ち寄る。合格すれば、特権授与としてゼーリエから直接魔法が貰える事もあり、プルシュカとアリスにとってパパみたいな存在に会える事も大きい。
「アウラは、プルシュカとアリスが何者か知ってる?」
「不完全な記憶だけど、一応分かるわよ。教えないし、教えられない。アリスとプルシュカの二人が話すなって命令しているんだから」
アウラの存在しない記憶は、断片的な物だった。だが、それで十分。夫と子供の記憶があるからこそアウラは立ち直れた。別世界から受け取った記憶について、自主的に話すつもりは、彼女は一切無い。
大陸魔法協会支部に辿り着き、フリーレン一行はシュタルクを除く全員が試験受講を希望する。だが、この試験には受験資格が存在しており、闇魔法使い達はそれを満たしていなかった。唯一満たしているのが、フェルンただ一人。
「聖杖の証じゃ、だめだよね?」
「酷いです。アリスも一級魔法使い試験を受けたいです。ゼーリエママ様に直談判します。直接はなせばきっと快諾して貰えます。話が分かる責任者を要求します」
「その通りよ。ここにゼーリエママ様と一緒に写っている写真があるわよ。ゼーリエママ様を早く呼んできて」
プルシュカが、嘗て大陸魔法協会所属の一級魔法使い達の脳を焼いた写真を取り出した。そこには、産まれたばかりのアリスを抱き上げるゼーリエが写っている。受付嬢は、変な客が来たので追い返そうと思ったが、コレを見せられては流石に対応しなければ職を失いかねないと判断する。
そんな困っている受付嬢の横で脳を焼かれようとしている一級魔法使いレルネンが凄い目でアリスとプルシュカを見ていた。
「ちょっと、君。それを見せて貰っても良いかな?あぁ、聖杖の証じゃない。写真の方だよ。え?試験を受けさせてくれないと写真は見せられないだって。分かった、私の権限で君達の試験受験を認めよう」
「なんか、このおじちゃんの目が恐いです。あれは、変質者の目です」
アリスから写真を借り受けたレルネンは、食い込むように写真を見る。あらゆる角度から細部まで入念にだ。偽造では無いか、どこかに違和感がないかなど全ての可能性を考慮して、一時間にわたり写真を見続けた。
その間、脳を焼かれ続けている。
「この写真、少し借りて良いかな?なーに、悪いようにはしない。代わりに、オイサーストに滞在中の諸経費は、大陸魔法協会で持とう」
「写真一つで儲けものだね。アリスがいいならそれでいいよ」
こうして、フリーレン一行は受験資格を得て、滞在費も浮いた。今回の受験に、大魔族が紛れ込んでいたとしてもそれはレルネンが許可したのだから、罪は彼にある。
レルネンは、その写真を使って試験官として集まった一級魔法使い達の脳を次々に焼いていった。
………
……
…
一級魔法使い試験に備えて、フェルンにスパルタ教育を行うフリーレン、アウラ、プルシュカ、アリス。これらの面子から指導を受けられるなんて彼女は幸運だろう。朝から晩まで実戦型訓練が行われる。
魔法の基礎を中心に教えるフリーレン。魔力制御とゾルトラークの速射性に貢献する。
精神魔法への対抗手段を中心に教えるアウラ。精神魔法への防壁構築と掛かった場合の対処方法を教え込む。
防御魔法を貫通する質量魔法を中心に教えるプルシュカ。『相手をサイコロステーキにする魔法』『破滅の雷を放つ魔法』など色々披露する。
貫通魔法の極致を教えるアリス。貫通魔法とは、あらゆる物を貫通させる必要がある。そうで無くては、貫通魔法にならない。帝国の国防結界を貫通して遙か後方まで深い爪痕を残した臨界チャージした光が近隣の山に大穴を開ける。
◇◇◇◇
ボンドルド♀、フリーレン、ゼーリエの三人が寄れば大体何とかなる。それは、本当にそうなった。これもゼーリエのおかげだ。彼女は、そもそも今回の事件もフリーレンが原因だと考えて、色々な方面から彼女を疑った。
ゼーリエは、己の魔法でもシロとでたフリーレンだったが、疑う事を止めない。最終的にアウラが、最近変な夢を見るんだけどと相談に来たことで事態が急展開を迎える。アウラの精神が別世界に繋がっている事が判明し、全ての元凶がやはりフリーレンだった事が証明される。
「今回の件、私は謝らないからね。私じゃ無いんだから」
「そうだな。おかげで得る物もあった。まさか、並列した世界が存在していたとは驚きだ。……フリーレン。言っておくが、これが最初で最後だからな。絶対に、私やボンドルドが居ない場所で平行世界に手を出すなよ」
「えぇ、その通りです。コチラが認識出来たと言う事は、あちらからも認識出来るという事です。同じ世界同士で戦争なんて、無意味に他なりません。では、お転婆な子供達を迎えに行ってきます」
パチン
ボンドルドが指を鳴らすと、目の前に広がる亜空間。そこを経由して、子供達がいる世界へと侵入する。夫の背を見送るフリーレン。彼女は、信じていた。ボンドルドなら必ず子供達を連れて帰ってくると。
「私もサブプランの準備をするから、コッチの守りはよろしくねゼーリエ」
ボンドルドが連れて帰ってくるメインプラン。そして、フリーレンが考案したサブプラン……それは、複製体に己の意識を繋げて、子供達を連れて帰る計画をじっくり練る方法だ。
彼女は、我ながら良く出来たサブプランだと思っている。どこぞのVRゴーグル的な物を装着し、時を待つフリーレン。心を持たない複製体を乗っ取る位彼女には出来てしまうだろう。なんせ、世界を滅ぼしかけた天災魔法使いフリーレンなのだから。
「いや~、しかしゼーリエの魔法って本当に凄い。精神を上書き出来る魔法もあるんだから」
「何を言っているフリーレン。お前もこの魔法はよく知っているだろう。
ゼーリエは、嘗てこの魔法を使ってプルシュカの学友レグとして学校に潜り込んでいた。異世界にまで有効かは未知数だが、乗っ取る対象がフリーレンの複製体という観点で言えば十分な可能性がある。
時の流れが原作側とボンドルド時空側で異なっております。
多少はご容赦を。
一次試験は突破したという結果だけが残る!!