娘達を抱きしめ涙を流すコピーレン。大袈裟だなと考える(原作)フリーレンは、プルシュカとアリスの父親が黄金郷マハトとは別人だったと理解する。アウラがボンドルドと言っていたからだ。
「うん?コピーの私が何か言っている見たいだけど、なに?」
「人の娘を攫っておいて謝罪の一つも無いのかと言っております。後、人の心とかないんかだそうです」
コピーレンの言葉を代弁するボンドルド♀。愛娘を突然攫われた親の気持ちを彼女は理解出来ない。独身と子持の大きな差だった。
「人の心はないかな。エルフだからね」
「ふふ、世界は違っても言う事は同じなんですね。しかし、その回答は、悪手です。多少のお仕置きは必要でしょう……殺さない程度なら私は今回に限り見なかったことにします。半殺しまでです。当時使えない魔法は禁止です。その程度のハンディキャップは必要です」
『(分かったよ、ボンドルド。後、この言葉を言われたら、イラッとくるね。後でみんなに謝りに行く)』
母親がフリーレンをぶちのめしに行くのを理解した娘達は、離れて観戦エリアを作り始めた。同条件での戦いになるかと想像できるが、コピーレンの方が100年以上多い経験がある。同レベルの研鑽できる化け物も居たため、例え魔力が同じでも仕上がりに差が出る。
「うん、やっぱりダンジョンのボスは、こうでなくちゃ」
『(よかったね。ボンドルドや娘達が居なかったら、私は自分を殺していたよ)』
コピーレンは、己の特性をしっかりと理解している。土くれの肉体を使った自爆覚悟の高威力の魔法。リスクとリターンが釣り合わない自傷魔法。それらを当然の様に使う気でいる。歴史に名が残る伝説の魔法使い同士の戦いが幕を切る。
………
……
…
ゼーリエは、同族に会うために零落の王墓を訪れた。現場は、当初の原型を留めていない。二次試験を担当しているゼンゼは、化け物の戦いに巻き込まれないように、しれっとダンジョン内部の柱の陰に移動している。
不可能を可能になど今度から言うのは止めようと彼女は理解した。不可能だから不可能という。イレギュラーには、イレギュラーの試験が必要だ。
「ほぅ、フリーレンの奴も中々成長したな。しかし、複製体相手に劣勢だと……うん?」
目をキラキラさせているプルシュカとアリスがそこにいた。ゼーリエと完全に目が合う。これは、やるしかないという姉妹の心が通じ合う。大好きなゼーリエママがこの場に居るという事は、ツンデレが発動した事を皆よく知っている。
「ゼーリエママ!! 会いたかったわよ。プルシュカが居なくて寂しくなかった?」
「ゼーリエ
唐突の事でゼーリエの処理能力を超えた。ゼーリエの直感は素晴らしい。本質を見抜く故に、エルフの子供達が一切の嘘を言っていない事を理解してしまった。抱きついてきたプルシュカとアリスを無条件で受け入れてしまう。
「お、お前等フリーレンの子供だろう?なぜ、私をゼーリエママと呼ぶ?」
「えぇ~じゃあ、ゼーリエパパがいいの?プルシュカは構わないけど、アロナちゃんにわるいからその呼び方はちょっとね~」
「そうです。アリスは、アロナちゃんのパパはとりません」
頭が理解を拒むゼーリエ。
これでは、まるで自分がパパで子供がいるみたいな言い方だ。そんな記憶など、この世界の彼女には一切無い。だが、無駄に高いゼーリエの能力がそれを否定する。ボンドルド♀を確認したゼーリエ。光の羽、原型無き勇者の剣、秘める能力……どれも規格外だった。
「…………あ、ありえるのか。そのような事が。人間が女神の領域に足を踏み込んだ。いや、そもそも、人間の範疇に収まっているのか。貴様、名前は?」
「私は、ボンドルド。北側諸国の英雄。『黎明卿』と人は呼びます」
ただし、別世界ではと条件が付くがボンドルドは丁寧に自己紹介をした。ゼーリエは、知識をフル動員したが、やはり聞いた事もない。このレベルの化け物がいるなら、彼女が知らないと言う事は考えにくい。
「私は、かねてから人間の時代が来ると思っていた。その第一人者のお前を試したい」
「ゼーリエ様も戦闘狂ですね。これではフリーレン様の魔法キチの事をあまり強く言えませんよ。何でもありでよければ、お受け致します。それと、フリーレン様達の殺し合いが終わってからで良いですか?流れ弾が来ても問題ですから」
ボンドルド♀は、何でもありという条件を確認した事で既に準備を始めている。亜空間にいる水鏡の悪魔は、ボンドルドの量産を始めた。ボンドルド♀を模倣するのはとてつもない労力が掛かる。だが、ボンドルド♀の肉体は、先代ボンドルドとの融合個体だ。フリーレンと娘達の
その片方だけをコピーさせていた。
雰囲気を出すためにメタリックに加工されたコピーボンドルド。メタルボンドルド軍団をゼーリエは一人で相手にする事になると彼女はまだ知らない。何でもありのルールならば、ボンドルド♀は本当に何でもやる。
アリスに強化魔法を掛けて貰う準備も出来ており、全能力二割増となったこの軍団を相手にゼーリエは何処まで生き残れるだろうか。
「ねぇ~、パパ。そろそろ止めに行かないとフリーレンお姉ちゃんが死んじゃうよ。ママったら、肉体が損耗しても復元できるから遠慮無く自爆魔法を使ってるわよ」
「確かに、まずそうです。溜まりに溜まったストレスを解消してます」
コピーレン。自らの指を2本切り落とすと相手の指が一本折れる魔法を使う。魔力量に格差があれば、本来通らない魔法だが同格相手には有効だ。痛みも感じない、指も元通りになるからといって、えげつない方法を使う。お陰で、(原作)フリーレンが半殺しを通り越して6割殺しになっている。
『(ボンドルド。まだ、私の怒りは収まってないよ。駄目だよ、馬鹿は死ななきゃ治らないんだから)』
「フリーレンさん、オーバーキルです。これ以上、ご自身を痛めつけないで下さい。仲よくしろと言うのは、今更無理かも知れません。ですが、プルシュカとアリスを大事にしてくれていた事は貴方も分かっているはずです。娘達の前です、大人になって下さい」
ボンドルド♀が二人の戦いに割って入った。
負傷したフリーレンを抱き上げて、プルシュカとアリスの場所へと避難させる。その間、回復魔法での治癒を施されたフリーレンは、異常なまでの回復に驚いた。重傷だと思った怪我が僅かの時間で回復する。ハイターを越えるかも知れない能力をその身で味わった。
「……あれは、私のコピーなんかじゃない。魔法の完成度が私より高かった。どういうことか知っているよね?教えてよ」
「はいはーーい。プルシュカがネタばらしをしてあげます。こっちのフリーレンお姉ちゃんは、私が面倒をみておくわね。アリスは、ママの方をお願いね」
「はいです。ママが変な行動をしないようにアリスがしっかり抱きしめておきます」
不完全燃焼のコピーレンは、娘に抱きしめられながら、むすっとした顔をしている。だが、これでよかった。そうでなければ、ダンジョンの入り口影から、フェルンが狙撃で邪魔をして来ただろう。
どの世界でも、彼女の進む道は殺し屋スタイルだ。
「アリスは、パパが勝つ方におやつを賭けます!!」
チラチラとプルシュカは、ゼーリエを確認する。賭けを成立させる為には、妹とは反対側に賭ける必要がある。だが、こう言うときの父親が強い事をプルシュカも知っている。勝つためには手段を選ばない。試合が始まった時点で勝負は決まっていると。
「プルシュカと言ったな。私に賭けておけ、私が世界最強だ」
「ゼーリエママ様。パパが勝負を受けたって事は、既に勝ち路線が見えているって事よ!! 負けたら、プルシュカとアリス、フリーレンお姉ちゃんと四人で水着写真を撮るわよ。大陸魔法協会の広報誌の一面を飾るんだから」
数千歳のロリエルフが水着姿で大陸魔法協会の広報誌に載るとか、耳を疑いたくなる。誰得だと思われるが、このビッグウェーブに乗る狂犬がいた。
「おぃ、レルネン。なんでお前がそっち側にいる」
「レルネン。誰の事ですか、ゼーリエ様。私は、通りすがりの魔法使いです。黎明卿、ご助力致します。幼気な女性に助力するのは紳士の勤めです」
孫娘がいたら泣くぞと言いたくなる行動を取る老年の熟練魔法使い。本当に、この様子を見て、目を覆い叫んでいる孫娘が近くにいたが、年寄りは何も気にしない。老い先短い年寄りは無敵の人と大差はない。
「レルネンさん、ありがとうございます。ですが、その老体では少し辛いでしょう。私は、味方には寛容です。ゼーリエ様、なんでもありのルールです。当然、これも卑怯ではありません」
ボンドルド♀の回復魔法で、肉体の全盛期を取り戻したレルネン。若さから来る溢れる活力と全能感に浸る。
パチンと指がなると、亜空間よりメタリックな男性が計5名現れた。ボンドルド♀の融合素材となった先代ボンドルド。それらが、水鏡の悪魔によりフルスペックで生み出される。神話の時代の悪魔と言われても流石に無限増殖はできないが、十分化け物スペックを誇る水鏡の悪魔だ。
「……み、水着は私が指定するからな!!」
魔法使いは、想像出来ないことは実現できない。それは、ゼーリエが良く口にすることだ。勝利を想像出来ない魔法使いに、女神がほほえむ事は決してない。
………
……
…
広大の湖と化した零落の王墓の跡地。まるで、大型のハリケーン、隕石落下、大地震、地殻変動が同時にあったかのようだ。大災害跡地となってしまった場所には人気が全く無い……水着撮影にこれ以上の場所はなかった。
大陸魔法協会の飛躍的な発展のキッカケを作った人物達をこれ以降に目撃した者はこの世界で誰もいない。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
元居た時空に帰ろうとする化け物達を止めるアウラ。
「ま、待ちなさいよ!! 私は、アリスにヒンメルを天獄から救い出してもらうって約束して貰っているのよ。ちゃんと、報酬を払ってから帰りなさいよ!!」
アウラは、勇気を振り絞ってボンドルド一家を引き留めた。本来なら、関わりたくもない。今すぐにでも帰って欲しかったが、ヒンメルが絡む問題ならば別だ。
「そうでした。アリスは、アウラと約束してました」
「パパ。アウラは、ご飯も作ってくれたしフリーレンお姉ちゃんの面倒も見てくれたいい子だったわよ。約束は守らないとね!!」
ボンドルド♀は、色々考えた。この先の旅路において、アウラという戦力がいるから心配事は減る。だが、前衛が不足している事はいなめない。なにより、約束を反故にするのは人として駄目な事だ。
「分かりました。素顔を隠した実力派ハゲ剣士がフリーレンさんPTに加入面接にきますので、貴方の裁量でなんとかしてください。後、ヒンメルさんを落とせるかは貴方次第ですよ」
「私を誰だと思っているの?貴方の祖母であり、最愛のアウラと呼ばれた大魔族よ。人の心が分からないエルフに恋の駆け引きで負けるはずないじゃない」
恋する乙女は強くなる。
後日、フリーレンPTに頭部が光り輝く覆面凄腕剣士が加入する。
これでは、バランスが悪いと思いボンドルド♀の粋な計らいで、覆面僧侶も増えた。魔力問題は、大魔族アウラから外部共有されるシステムが導入され女神様の魔法を十全に使う事ができる。
ここまで来れば、いっそうオールスターにしてやろうと、中央諸国で隠居していた物理最強ドワーフも参加させられる。
全員が全盛期の肉体を取り戻しており、向かうところ敵無しだった。フリーレンPT内部で、フリーレンがいつ正体に気が付くか賭け事が行われる。全員が、最後まで気が付かないに賭けた。
思いつきで始めたネタ話でしたが、コレにて終了です。
また何か思いついたら始めるかも知れませんが><