北側諸国グローブ盆地。
その場所が、一級魔法使いの一次試験会場となった。その周囲を強力な結界で囲む。外部からの支援で不正合格できない仕組みが取られている。
この度の試験監督を務める一級魔法使いゲナウが試験内容を説明する。その試験内容は隕鉄鳥という小鳥を確保して、檻にしまう。その後は、試験終了までPTメンバー全員が生き残った状態でいる事だ。
「隕鉄鳥がどの程度いるか分かりません。明日の日没まで待たずとも、私が少し間引きましょう」
参加PT分の隕鉄鳥がこの区域にいるかも不明だった。
その事からボンドルドは、一番理想的な回答に辿り着く。どのみち、同じような事をやる連中は出てくる。ならば、今この状況。全てのPTが一堂にいるタイミングこそベストだ。試験官もパーティーメンバー同士で殺し合う事を否定していない。むしろ、推奨している節がある。
死を感じさせる凶悪な殺気。受験生達は、自らが手術台で生きたまま解剖される。そんな絵面を鮮明に描けるほどの恐怖を抱いた。これに対して、咄嗟に杖を取り出した連中は見込みがある。
フリーレンが杖でボンドルドを小突く。
「おちつけ、ボンドルド。プルシュカが見てる」
「久しぶりの競争であったので、気が高ぶってしまいました。申し訳ありません、フリーレンさん。……で、ゲナウ試験官。再度確認ですが、隕鉄鳥を籠にいれて、PTメンバー全員が生きた状態で時間を迎えれば合格で間違いありませんね?」
冷静になったボンドルドは、試験官に再度条件を確認した。
「あぁ、その通りだ。後、出来るだけ殺しは控えて頂きたい」
「では、隕鉄鳥は死んでいても構いませんね。
数百メートル先の木で羽を休めていた隕鉄鳥の頭部を消し飛ばした。ボトリと地面に落ちる音が聞こえたが、それを奪い取ろうとする受験生は誰も居ない。
「ゼーリエ様の結界に穴が……」
一番に勝ち抜けが確定したボンドルドを含む第17PT。このPTに挑んで隕鉄鳥を奪おうと考えるのはフリーレンくらいしかいない。
………
……
…
初手で受験者に恐怖をすり込み、一次試験合格をほぼ内定させたボンドルドとは異なり、プルシュカは真面目に試験を受けていた。
常日頃、フリーレンPTで過保護下で育てられた為、己の力量が正しく理解出来ていないのがプルシュカの問題だ。周りに天才と化け物しか居ないのだ。自分が劣っていると勘違いしてしまう。
その為、プルシュカが第13PTであった事は幸運だ。老練の魔法使いであるデンケン、魔法店を営むリヒターが付いている。良い経験が積めるのは間違いない。
「デンケン、ボンドルドから隕鉄鳥を奪えるか?」
「無理だ。それをやるくらいなら、儂は三年後に再受験する。で、お前さんは何が出来る?プルシュカ」
「色々だよ、お爺さん。どうしてもって言うなら、パパにお願いして隕鉄鳥を譲って貰おうか?」
プルシュカのパパという発言。
それが一体誰の事をいっているか、全く理解出来ないデンケンとリヒター。隕鉄鳥が手に入るというのだから大陸魔法協会の関係者だと考えた。そもそも大陸魔法協会のトップはエルフだ。そう考えれば、この子供がその一族であると考える事も出来る。
この時、彼等二人がプルシュカの言うパパがボンドルドと決して紐付くことはない。
「不正は駄目だ。子供の時から、そのような事をやっていては碌な大人になれないぞ」
「ふっふっふ、プルシュカこれでも50歳超えているんだからね。リヒター君ってお子様~」
子供だと思ったら、自分より年上だった。そんな場合、どんな気持ちになるという設問があれば、今のリヒターなら100点が貰える。
「落ち着け、リヒター。恐らく、プルシュカはお前より強い。儂と戦っても良い勝負が出来る程にな。戦力として期待している。一人前の魔法使いとして扱う」
「分かった。俺も一人前の魔法使いとして扱う事を約束しよう」
「よろしくね!! 早速だけど、フリーレンお姉ちゃんとパパを狙うのは無駄だから計画を立てるわ」
この試験において大事な事は、隕鉄鳥だ。隕鉄鳥がなければ、時間経過で失格。幸いな事にボンドルドが間引かなかったお陰で受験者達がこぞって隕鉄鳥の確保に乗り出した。つまり、隕鉄鳥を探しつつ、道中で隕鉄鳥を持っているPTが居たら強奪すれば良いだけの試験。
一級魔法使いの試験を受験するのだから、全員腕には自信がある。だが、プルシュカ含む第13PTは、全体からみても上位PTだ。
その計画をプルシュカから提案された。
「効率的だな。だが、なぜフリーレンというエルフがいるPTを狙いから外す。プルシュカの話だと、確実に隕鉄鳥を手に入れる程の実力者なんだろう」
「リヒターの世代は知らないのか。フリーレンは、魔王を倒した勇者PTの一人だ」
リヒターは、北側諸国の英雄に続いて勇者一行の魔法使いフリーレンというネームに嫌気がした。なぜ、今年に限ってこんな化け物連中が試験に殴り込んでくると。
「デンケン、気が付いたんだが……プルシュカのパパって誰の事だと思う?」
「――奇遇だな、儂も今、その事を考えていた」
「えぇ~、そんなに似てないかな。色違いだけどパパとおんなじ意匠の服を着てるじゃん。それに、よくパパに似ているってアンブラハンズの人達は褒めてくれるよ」
デンケンとリヒターは、ボンドルドとプルシュカの似ている点を探す。だが、パパ似なのかと疑問に思った。それより、どっかの魔法使いと似ていると思ったが口には出さない。
それからは、初の臨時PTでプルシュカは活躍した。子供という容姿に加え、明るく、人懐っこい性格だったから、おじさん達の懐に飛び込むのは早い。更には、優れた魔法技術を持っているため、教えた事を吸収し応用まで発展させようとする姿勢は教える側としては大変嬉しい。
「筋が良い。俺が教えた
プルシュカは、大地を操って敵の逃げ場を塞ぎ、
「まだまだ、甘い。そこに儂が教えた
「すごーい、すごーい。火力こそ正義」
プルシュカの手で、高火力の焼却炉状態を作る恐ろしい合体魔法が生み出されてしまった。
後世に自らの魔法を残す事ができた魔法使い達。何やら満足した顔をしている。そんな恐ろしい魔法を感知して様子を見に来た連中を片っ端からぶっ飛ばしている第13PT。彼等の手元には籠に入った隕鉄鳥がいた。
発売中単行本の半分くらいまでこれた感じです。
大事な事ですが、後三日で発売分には追いつくのは流石に厳しいのでご容赦ください。
ちょっと、ペースが落ちます事をお詫び申し上げます。
どっかでオリジナル過去編とか挟んで延命をさせる予定もあります。
ネタが尽きてしまったので、どのようなお話を知りたいか読者様にお伺いできればと思っています。全て何話程度やるかも全く未定です。
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過去編(1000年前、初代ボンドルド)
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過去編(人類防衛ライン戦)
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過去編(50数年前、居候フリーレン)
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閑話(ゼーリエとプルシュカの文通)
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閑話(プルシュカと女神の魔法)
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バカか、全部やれ