好きなネタが書けるのは幸せです。
三代目魔王の登場で人類社会は、崩壊寸前にまで追い込まれた。この窮地を救ったのは、嘗て魔王を討伐した勇者一行の魔法使いフリーレンだった。彼女は、この事態を非常に重く考えており、人間の悪性を的確についた魔法に対して対抗魔法を作り上げた。
この対抗魔法は、精神魔法に対して極めて高レベルの防御が可能となっている。精神魔法の名家であっても対抗魔法の前では手も足も出ないほどだ。今まで、ジャイアントキリングの可能性を秘めていた精神魔法がオワコン化した。
一部の魔法使い名家が落ちぶれてしまう事はあったが、彼女が作った魔法が人類社会を救ったのは間違いない。他にも、彼女が家族総出で人類復興に協力するだけでなく、大陸魔法協会、教会、魔王国まで動かして事態収拾に務めた事は歴史に残る。
崇高な精神の持ち主であるフリーレンは、各国からの金銭的なお礼を一切受け取らなかった。お礼状だけを申し訳なさそうな顔で受け取っていた事でエルフという種族が謙虚で人類の友だという事が明確になる。自身が蓄えた知識や財産を放出してまで人類を救う……まさに、英雄だ。
表社会では、人類を度々救ったエルフの英雄フリーレン。そんな彼女は、今まで培った経験や知識を総動員していた。イドフロントに用意されたボンドルドの研究施設を使う彼女。この科学という分野は、実に知識欲が高まると彼女は気に入っていた。
「これは、面白い研究だね。ボンドルドが科学に力を入れている理由がよくわかるよ。特に、核分裂時に発生する莫大なエネルギー。このエネルギーの前では、私が使う魔法なんて子供のお遊びだ」
フリーレンがボンドルドの研究資料を読み漁る中、彼女をしっかりと監視する二人の子供がいる。プルシュカとアリスだ。彼女の子供達は、父親であるボンドルドより居ない時の監視の任を受けていた。
ボンドルドは、現在ゼーリエの元に出張中で一年近く帰ってこれない。その間、フリーレンが自由行動してしまう。フリーレンはゼーリエに莫大な借りがあるため、基本的にお願い事が断れない。つまり、またエルフが増える事態になっている。
「ママ、次に何かやらかしたらママって呼んであげないからね」
「そうです。アリスは勇者ですが、ままを討伐したくはありません」
実の娘達から酷い言われようだ。だが、実際それだけの事をやらかしている。迷惑もかけた。しかし、実質不老のエルフにとって人生に潤いは必要である。潤いは、人それぞれだが、フリーレンの場合は知識欲に該当する。
「むふ~、大丈夫だよ。二人のママは、優秀だからね。それに、考えてみてよ。ボンドルドが帰ってきた時に進めていた研究が完成していたら喜ぶと思わない?きっと、プルシュカとアリスの事もいっぱい褒めてくれるよ」
フリーレンとしては、腹案も当然あった。
時代は常に進歩している。フリーレンが知る魔法は、すでに骨董品レベルになりつつある。むろん、彼女が使う莫大な魔力のおかげで威力自体は現代でも十分通じるが、それも数百年程度で優位性は薄れるだろう。
よって、今から次代に向けての魔法を開発する必要がある。
プルシュカには、非殺傷ゾルトラークというこの世の全ての不治の病を感染させるという呪いレベルの魔法、フランメ仕込みの結界魔法がある。
アリスには、勇者、ヘイロー、この世のすべてを消滅させる魔法がある。
ボンドルドには、勇者、アリスと同じく消滅魔法、ゾアホリックがある。
では、フリーレンには何があるかと……目立ったものが何もない。ボンドルドの妻でこの二人の子供の母親というだけで十分すぎるはずだが、彼女は納得していない。夫や子供に見劣りしない究極の一手を欲していた。
「確かに。パパのこの研究が進めば世界が一変するって言っていたわね」
「アリスには、ままの考えが分かります。この核分裂のエネルギーを新型ゾルトラークとかいうつもりだと。ぱぱが試算したエネルギー質量だと、ヘイローがあるアリス達でも耐えられません。ままは、子供を殺す魔法を作るんですか?」
まだ、誰にも話していない新型ゾルトラークの事をなぜか把握されているフリーレンは、顔が強張った。最強の魔法……それを作るための材料や理論がすでに出来上がりつつある。フリーレン程の才覚があれば、もっと別路線の開発に力を入れることも十分可能だが、究極の一手である質量魔法の頂点を作ろうとしていた。
「そんなつもりはない。じゃあ、どんな魔法なら良いと思う?この、アトミック・ゾルトラークはそれこそ革新的な魔法になるよ。今までのゾルトラークを過去にする威力。試算だけど、海を割り大地を砕く。ゼーリエの対物結界魔法ですら吹き飛ばす程だ」
「すでに名前まで作っているママにプルシュカは、ドン引き。すごい魔法になるのは予想ができるわよ。でも、いつも言うけど、作ってはいけない魔法ってのもあるの。確かに、抑止力として身内だけで保有する線はあるわ。でも!!魔法を開発する時には、ゼーリエママ様とパパに相談するってなってたわよね」
「その通りです。それに、質量魔法でなくても、生活に密接した民間魔法を作る事をアリスはお勧めします。ぱぱなんて、先日『トイレを清潔に保つ魔法』『水柱でおしりを綺麗にする魔法』『一番近い空いている公衆トイレの位置が分かる魔法』『多目的トイレを本当に多目的で使ったら切れ痔になる魔法』を作って、褒められてました。アリスは、そういう優しい魔法でいいと思います」
生活に密着した民間魔法の作成者として、黎明卿ボンドルドの名は戦後も名声を保っている。あまりに、トイレ事情に密着した魔法を開発しすぎるため、トイレの神様という異名まで獲得していた。彼のおかげで、下水道事情が大幅に改善し川に垂れ流すようなバカな国家はなくなる。
「なら、私が開発したゾルトラークだってゴミ処理施設で役にたっているよ。ゴミは燃やすと臭いし、環境汚染もするから魔法使い達の訓練やお小遣い稼ぎに貢献している。そう考えれば、アトミック・ゾルトラークが完成すれば増えるゴミ処理問題も解決する。一か所に大量に集めて一発解決できる。環境に配慮した素晴らしい魔法だよ」
「はぁ~、仕方ないわ。ここは、リメイヨにも確認してダメだったら、諦めてねママ。もし、ダメだといわれても研究を続行したら、ゼーリエママ様とパパを呼び出すから。この大事な時期に!!」
母親の説得を諦め始めた娘二人。この世界の行く末は、この二人にかかっているのだからもうちょっと頑張って欲しいところだ。女神様もそろそろ堪忍袋の緒が切れて、オレオールへの受け入れを拒否してしまう。
………
……
…
それから一時間もしないでイドフロントにいるリメイヨが召喚された。それから、事情を説明されたリメイヨからは、疲れた雰囲気がにじみ出た。
『フリーレン様。その魔法の開発は、許可できません。それに、この部屋にある書物は、卿が秘匿技術に指定している物です。フリーレン様とて、勝手に読まれては困ります。得た知識を消す事は難しい。どうか、心の内にとどめてください』
「だってさ…最近、新しい魔法を覚えないとプルシュカやアリスに教えられる事がないしさ。私が得意な魔法を子供に教えたいんだよ。二人とも強いから、私も必殺の魔法がないと試合が厳しいんだよ」
母親として子供に何かを教えたいという気持ちからの行動であった事が判明した。気持ちは、子供達もアンブラハンズも理解できる。だが、アトミック・ゾルトラークを開発して子供に教えるのは、常識の範疇を超えている。
『フリーレン様は、仮にアトミック・ゾルトラークを開発ができたとして使わずに我慢できますか?卿との訓練試合や子供たちへの指導試合で使うのではないでしょうか?私の子供ならこのくらい耐えられるよねと・・・』
リメイヨの言葉に、プルシュカとアリスは想像を膨らませた。母親であるフリーレンが、魔法指導と称して新作魔法を見せてくる。「むふ~、これが私が開発したアトミック・ゾルトラークだよ。ちょっと、威力が強いから当たらないようにね」とか、いう映像が。
「・・・・・・い、いや。流石の私でも子供にそんな魔法を向けたりは」
「有罪確定!! これより、ゼーリエママ様とパパを召喚します。アリスは、ちょっと二人を呼びに行ってきて。私とリメイヨでママを見張っておくから」
「分かりました。アリスは、重要任務を引き受けました」
困った顔であたふたするフリーレン。だが、裁きの時は早かった。
突如、フリーレン達がいる場所の空間が歪んだ。開かれた虚空の穴から、額の血管をぴくぴくさせたゼーリエが指をポキポキ鳴らしていた。
「なんか、来るの早くない?ゼーリエ」
「リメイヨが呼ばれてお前の元に来るまで一時間かかっただろう。こちらにはすでに連絡が来ていたんだ。よかったな、一部始終は勝手に聞いていた。説明の手間は省けたぞフリーレン」
世界最強の魔法使いの称号を持つゼーリエ。幾度となく、フリーレンが起こした問題の後始末をやってくれた面倒見がよいツンデレさんだ。
「あ、パパだ~。私とアリスは、向こう側に避難しておくからゼーリエママ様は、年上としてしっかり教育しておいてね。パパ~、プルシュカにも赤ちゃんを抱っこさせて~」
「あ、プルシュカお姉ちゃんだけずるいです。アリスも赤ちゃんを抱っこします。ゼーリエ師匠。あの子のお名前はなんていうの?」
「プラナだ」
この世に生まれた新しいエルフの子供を抱きしめる為、プルシュカとアリスが虚空に空いた穴から別の場所へと移動した。そこには、父親であるボンドルドもおり、本当に疲れきっていた。
フリーレンは、ここから生存ルートを探す必要がある。
「おめでとう、ゼーリエ。でもさ、いい加減自分で産んでよ。ボンドルドは私の夫だからね。そこんところ忘れてない?」
「なるほどなるほど、初手は謝罪でなく煽りか。フリーレン、夫が世界最高峰の僧侶でよかったな。死なない程度に分からせてやる」
フリーレンとゼーリエの試合を安全地帯から眺めるボンドルド一家。プルシュカとアリス、アロナとプラナ。二つの家庭を持った英雄ボンドルドは、いつまでもエルフに振り回される。
イドフロント魔法学校編とかも、脳内で考えてしまった。
全寮制の学校で鉄仮面を被る事で寮が決まる。
ヒンメル寮:勇気と騎士道精神
ハイター寮:博愛と信仰
アイゼン寮:忍耐と友情
フリーレン寮:知性と機知
PS:
パソコンを買い替えて一太郎のライセンスを紛失してしまった。
Googleドキュメントを使って執筆しておりますが、まだ慣れない。