黎明のフリーレン   作:新グロモント

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19:三次試験

 一級魔法使いの三次試験が開催された。その内容は、大陸魔法協会トップであり、大魔法使いゼーリエとの個別面談。彼女の直感で合否判断される。場合によっては、人殺しでも合格する。その反面、実力がある者でも不合格となる。

 

 二次試験を合格した者達が続々と面談を始める。大半が不合格をもらう。

 

 そして、ボンドルドの番がきた。

 

「お久しぶりです、ゼーリエ様。おやおやおや、イメージチェンジされたのですね。良くお似合いですよ」

 

 花畑を出す魔法で設えた面接会場を眺めつつ、ボンドルドがゼーリエと対面する。ゼーリエとボンドルドも旧知の中だが、顔を合わせるのは100年振り以上。

 

 何も言葉を返さないゼーリエの横に立つボンドルド。

 

 沈黙が流れゼーリエの髪が槍のように纏まり、ボンドルドの首を狙う。ボンドルドの防御魔法で一瞬阻まれるがゼーリエの圧倒的魔力を前に易々と突破される。ボンドルドが頭部を横に逸らすことで少し肩を切られる程度で済んだ。

 

「私がゼンゼに与えた魔法だ。この魔法でお前を殺しても良いと思っていた。だが、あまり意味も無い。お前が本当にこの場にいるのかすら、私にも分からん。本来なら不合格だが……一度だけチャンスをやる。お前の好きな魔法を言ってみろ」

 

「ゼーリエ様とフランメ様のお二人と共同開発した精神隷属機(ゾアホリック)

 

 人間の精神を植え付ける事で永遠の時を生きる事を実現させた魔法。ここだけ聞くと素晴らしい魔法に思える。だが、自分を"増やす"という行為。これを忌避感無く行える存在をゼーリエはボンドルド以外に見たことが無い。

 

 ゼーリエとて、精神隷属機(ゾアホリック)を使えば精神がどうなるか想像に難しい。

 

「思った通りの回答だ。なぜ、お前はそこまでやれる。本来あの魔法を使えば発狂死してもおかしくない」

 

「愛、愛ですよゼーリエ様。愛が人を強くします。愛がある限り私は不滅です」

 

「多少人間について理解できてきたが、お前のことはいまだに理解できん。――不合格」

 

「気分一つで不合格は止めて頂きたいのですが、仕方がありません。最後に一つ、以前お会いしたときと比較してゼーリエ様の魔力が予定より増えていません。隠すなら、もう少し増やされた方が宜しいかと」

 

 フリーレンやプルシュカと身近にエルフがいるボンドルドは、日々修行に励むとどの程度魔力が増えるのか数値化したデータを持っていた。それをベースにゼーリエが、魔力を抑えていると答えに辿り着く。

 

………

……

 

 ボンドルドの次に呼ばれたのがプルシュカであった。

 

 父親のまさかの不合格に、プルシュカは納得できなかった。ボンドルドは娘に対して、私の代わりに頑張ってきてくださいという言葉を送る。

 

「ゼーリエちゃん、なんでパパが不合格なの?」

 

「おい。言うとおり服も着ているだろう。敬え」

 

「ゼーリエお姉ちゃん、パパが不合格って納得できない!」

 

「別に納得しないで良い。試験官殺しは罪だ。ゼンゼは私のお気に入りだった。それだけだ。今は、プルシュカの試験だ。なぜ、一級魔法使いになりたい」

 

 ゼーリエの魔力を全く気にしないプルシュカ。

 

 しかも、本気で仲良くなれると思っている当たりゼーリエとしては、今までにないパターンだと思っていた。それ故に、ゼーリエにとってプルシュカは今後が楽しみの一人だ。それが、ボンドルドの娘でなければ手放しで喜べただろう。

 

「強者ロールがしたいからよ!!強敵を前に『いつから、これが現実だと錯覚していた』とかいってみたいじゃない」

 

「いいや、全く思わん。つまり、強い魔法が欲しいという事か?」

 

「完全催眠の魔法みたいなのがいいな。ゼーリエお姉ちゃんは持っているの?」

 

「よく分からん。どんな魔法か言ってみろ」

 

 鰤について、語るプルシュカ。当然、その熱意の半分も分からないゼーリエは、大体の概要を理解したことで答えを出す。

 

「ない。催眠の魔法ならあるが、プルシュカの望む魔法はその域ではない。事象改変すら可能な催眠など持ち合わせて居ない。他は?」

 

「そっか~。じゃあ、プルシュカ大人になる魔法が欲しい」

 

 藍染様プレイをしたかったが出来ない事を理解したので、妥協するプルシュカ。この時の失望感は、凄まじく。この程度の魔法ならあるだろうとの思いでゼーリエに質問している。

 

「持っているが、何に使う?」

 

「ママを探したいなって。プルシュカ、ママの事って記憶に無いの。でも、プルシュカが大人になった姿は、ママにも似ていると思うのよ。大人のプルシュカは、ナイスバディなレディーの姿だから。プルシュカに似ているエルフを見たこと無いかって聞いて回れば手がかりの一つや二つ見つかるわ」

 

 魔法の無駄遣い極まるレベルの方法。

 

 ゼーリエは、プルシュカの容姿を確認した。銀髪、エルフ……これだけでゼーリエの中では少なからず候補が絞られた。

 

「無駄だな。大人になる魔法は、プルシュカの想像通りの物では無い。その魔法を使っても私の姿は変わらない。エルフの遺伝子を甘く見るな」

 

「1000年経っても成長できない可能性に、絶望したわ」

 

「不合格だ。30年くらい魔法を研磨して出直してこい。お前は、二人(・・)の良い所を受け継いでいる」

 

 不合格通知を聞いて、とぼとぼと面接室を後にするプルシュカ。外で待っていた、フリーレンが余計な一言を言う。

 

「親子揃って、不合格か」

 

「パパが落ちたんだから、フリーレンお姉ちゃんだって危ないんだからね」

 

「はいはい。どうせ、私は不合格ですよ」

 

 自信満々に不合格宣言をしたフリーレン。

 

 フリーレンが名前を呼ばれたのでゼーリエとの面談室へと入っていった。中では、本当に嫌な顔をしたゼーリエが待っていた。

 

「お前は私が不合格と告げると分かっている。だが、今この瞬間ほど、お前に合格を言い渡したいと思った事は無い。どこぞの親子同様に不合格にするより、合格にした方が面白いと言う理由でだ」

 

「でも、そんな事はしないでしょ」

 

 ゼーリエとフリーレンの問答が行われた。最終的にフリーレンは不合格となる。だが、不合格者の割に口元が緩んでいた事をゼーリエは見逃さなかった。

 

 第二次試験での功労者であったフリーレンPT。その中で唯一合格したのがフェルンだけとなった。ゼーリエから直弟子にならないかとまで誘われるほど有能で有り、プルシュカが拗ねる。

 

 

 




ヨシ!大体六巻分まで終わった。

ネタが尽きてしまったので、どのようなお話を知りたいか読者様にお伺いできればと思っています。全て何話程度やるかも全く未定です。

  • 過去編(1000年前、初代ボンドルド)
  • 過去編(人類防衛ライン戦)
  • 過去編(50数年前、居候フリーレン)
  • 閑話(ゼーリエとプルシュカの文通)
  • 閑話(プルシュカと女神の魔法)
  • バカか、全部やれ
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