黎明のフリーレン   作:新グロモント

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02:クヴァール

 フリーレンと愉快な仲間達となった。

 

 そのイかれたメンバーは、フリーレン、フェルン、ボンドルド、プルシュカの四人。当初想定していたメンバーに、子供であるプルシュカが加わるという事でメンバーに花が増える。

 

 プルシュカの実年齢は、フェルンより遙かに上であり、その年齢は52歳。人間としては、既に老年の域であるが、エルフとしては新生児といっても過言で無い。しかし、見た目どおりで無いのがエルフである。

 

 既に、一人前の力量を有するプルシュカの同行を拒む理由はなかった。

 

 他にも思わぬ副次効果を生む事になる。

 

「フリーレン様が自分で起きて、身だしなみも整えていらっしゃる。嘘でしょ」

 

 衣食住の全てをサポートしていたフェルンの負担が激減した。それどころか、自分で料理まで始めてしまう。あまりの天変地異に、フェルンが本気で大きな街で診察を受けましょうと提案する程だ。

 

 更には、早起きしてきたプルシュカを着替えさせて髪を整えていた。その様子は、まるで親子のようだ。その様子に何やら満足した様子のボンドルドが呟く。

 

「フリーレンさんでも子供(・・)の前で無様な姿はさらせないのですね」

 

「あぁ~、その通りですよねボンドルド様。同族の子供の前では、流石にフリーレン様も恥という概念を持ったんですね」

 

 師に対して、段々と遠慮の無い発言をするようになってきたフェルン。新しい出会いが人を成長させたという確固たる証であった。

 

 プルシュカの髪を結ぶフリーレン。

 

「えへへ、ありがとう。フリーレンお姉ちゃん」

 

「どう致しまして」

 

 その様子にフェルンが焼き餅を焼く。自分ですらフリーレンに髪を結んで貰った事がないのにプルシュカにだけ特別扱いをする師に対して何かを言いたそうな弟子がここに誕生する。

 

 それから、フリーレン一行が勇者PT時代にやり残した仕事をする為に動いている事を知ったボンドルド。つまり、封印処理で留めていた魔王配下の「腐敗の賢老」の異名を持つクヴァール討伐だ。

 

「なるほど、クヴァールの討伐ですか。過去ならいざ知らず、今現在ではフリーレンさんが動かなくても倒せると思いますが……」

 

「そうね。でも、ヒンメルなら自分で動くかなと」

 

 その言葉に勇者ヒンメルがフリーレンに良い影響を与えたことを再認識したボンドルド。自分では、千年掛けても出来なかった事を僅か10年でやってのけたのだから偉業であると褒め称えたいと本気で思っていた。

 

「なるほど、分かりました。私も貴方のバックアップとして最善を尽くしましょう。取り急ぎ何か、お手伝い出来る事はありますか?」

 

「フェルンも交えた模擬戦をしようか。どの程度、戦えるか把握しておきたい」

 

 フリーレンの言葉から、プルシュカも模擬戦に交えるという言葉にフェルンは本気かと少なからず思っていた。勿論、エルフの子供が子供ではないのは理解していた。だが、師が言うのだから何かあると納得した。

 

「おやおやおや、私は仲間はずれですか?」

 

「ボンドルドまで混ざったら、模擬戦にならない。で、プルシュカは何処まで使えるんだい?」

 

 その問いに対して、ボンドルドはお楽しみにしておいてくださいと言うだけであった。

 

………

……

 

 フリーレンの一般攻撃魔法を凌ぐフェルンとプルシュカ。総魔力量では、プルシュカに軍配があがるが、精密や速度においてはフェルンが上回る。その結果に対して、純粋に感心をするボンドルドがいた。

 

「素晴らしい!! 人の身でありながら、その習熟度。その域に達する事ができる魔法使いが過去にどれほど居た事か。それを僅か20歳にも満たない少女が……おっと、私の悪い癖が出てしまいましたね、申し訳ありません」

 

「フェルンお姉ちゃん、すごーい、すごいーい。どうやってるのその発動速度!? やっぱり、構築式が違うのかな」

 

「ありがとうございます。でも、プルシュカちゃんのあの魔法も凄いですよね。フリーレン様の防御魔法を貫いてました。そもそも、あの防御魔法って貫けるんですね」

 

 子供同士で何が良かったか、改善点は何処にあるのかなど魔法議論がなされる。今を生きる者達は、このようにして日々成長していく。実に素晴らしい事だと感心するばかりだ。

 

 その反面、疲れた顔をしているフリーレン。

 

 思わず一瞬本気になってしまったフリーレン。嫌な予感がして万が一に備えていたピンポイント多重防御魔法で逸らさなければ大怪我をしていた。

 

「ボンドルド。あの子になんて魔法を教えている。枢機に還す光(スパラグモス)なんて、子供が使ってよい物じゃ無い」

 

「その子供を守る為の魔法です。プルシュカには、私の全てを教えました。一介の魔法使いとして、子供に魔法を教えるのは当然ですよ。そう思いませんか?フリーレンさん」

 

 何処に出しても恥ずかしくない魔法使いにすべく英才教育が施されたプルシュカ。その結果、魔族側としては考えたくもない悪魔となるだろう。

 

「―――分かった。ボンドルドは、魔法の先生に向かないよ。私がプルシュカにも魔法を教える。いいね?」

 

「勿論です。プルシュカは、母親から魔法を教えて頂けなかったので、嬉しい限りです」

 

 嫌々ながら少し嬉しそうな声色のフリーレン。それを見逃さないボンドルド。

 

「そうだね、何処をほっつき歩いているか分からない母親代わりに私が教えてあげるよ」

 

「全くですね。きっと、魔法収集の長旅にでもでているんでしょう。もしかしたら、魔王なんて討伐してるかもしれませんね。お礼に、私がフェルンさんに魔法を教えます。今後の事を考えれば、覚えておいて損はしないでしょう」

 

………

……

 

 魔族のクヴァールが封印された地にて、完全待機するフリーレン一行。戦いに卑怯など無い。封印中は、外部からのダメージが無効になる。だからこそ、封印解除途中から魔法を照射する事で相手の意識が覚醒する前に殺し尽くすというやり方だ。

 

「あの~、フリーレン様。このやり方は、宜しいのでしょうか?」

 

「え、何か問題でもある?封印からの解除後に殺し尽くすのは、魔法使いの戦い方として常套手段だ」

 

 余りに哀れな最後になったクヴァール。

 

 目覚めたと同時に、フェルンによるゾルトラークの速射飽和攻撃。

 追い打ちで、フリーレンの限界チャージされたゾルトラーク。

 更に、ボンドルドとプルシュカの枢機に還す光(スパラグモス)

 

 これで生き残れる者はいないとフリーレンすら断言できる程だった。そんな連中に狙われたクヴァールの最後の言葉は、「それは、なし……」だった。

 

「その通りですよ、フェルンさん。クヴァールは、魔族の中でも特に魔法を使う事に優れた方でした。我々が80年掛けた叡智を僅か数分で追い越す可能性すらあります。それに、戦いに卑怯もクソもありません」

 

「ねね、パパみてた!? プルシュカ頑張ったよね。やっぱり、パパの魔法が最強よ」

 

「待って、プルシュカ。確かに、ボンドルドが開発したスパラグモスは凄い。だけど、それが最強じゃない。もっと、色々教えてあげるから、そこから最強を決めようね」

 

 何故か対抗心を燃やすフリーレン。

 

 その様子に頬を膨らますフェルン。思わずボンドルドがフェルンの頭に手を置いてなで始めた。

 

「可愛いですね、フェルンさん。大丈夫です。フリーレンさんは、貴方の事をしっかりと見ています。今は温かく見守ってやってください」

 

 情緒が育ちつつあるフリーレンとフェルンを可愛く思うボンドルド。

 

 無事に勇者PTのやり残しを処理したフリーレン一行は次なる目的地へと足を向けた。彼女の嘗ての仲間であるドワーフの元に。




効率重視のフリーレンなら、本来この程度やってくれると信じています。

ネタが尽きてしまったので、どのようなお話を知りたいか読者様にお伺いできればと思っています。全て何話程度やるかも全く未定です。

  • 過去編(1000年前、初代ボンドルド)
  • 過去編(人類防衛ライン戦)
  • 過去編(50数年前、居候フリーレン)
  • 閑話(ゼーリエとプルシュカの文通)
  • 閑話(プルシュカと女神の魔法)
  • バカか、全部やれ
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