黎明のフリーレン   作:新グロモント

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22:青春

 魔法が使えない状況下では、流石のボンドルドも手は限られる。前衛であるシュタルクが生命線となりえる状況では、安全第一。よって、相性が悪い敵に運悪く遭遇した場合には逃走する事も視野に入れられる。

 

 ただ、逃亡する際にボンドルドは両脇にフリーレンとプルシュカを抱え、シュタルクがフェルンを担ぐ事になるとは想像もしていなかった。鍛え方が違う二人は、女性達を背負っても速い。

 

「パパ、頑張って!! 後ろから、蛙みたいなのが追っかけてきてるよ」

 

「ボンドルド、シュタルクに負けているよ。頑張らないと」

 

 戦士と僧侶を同じ次元で比較するフリーレン。シュタルクは、戦士の中で上澄みの一人だ。ボンドルドとて、負けていないと言いたいが魔法無しでは一枚劣る。

 

 毒極竜は、久しぶりの食事を逃がしたくないため、必死で追いかけてきていた。魔法が使えないこの場所を根城にしているあたり、魔物の性格の悪さが滲み出ている。ここならば、普段勝てない相手でも勝てると分かっているのだろう。

 

 必死の思いで、魔物から逃げて洞窟の外まで脱出に成功したフリーレン一行。魔物から逃げる過去を思い出し、逃げるのも悪くないというフリーレンに皆が賛同する。勝てないときは逃げるに限る。

 

………

……

 

 ボンドルドは、フリーレンとフェルンに詰め寄られていた。

 

「ボンドルド様、私達は旅の仲間ですよね。どうして、今まで教えてくれなかったんですか」

 

「他にも色々便利な物を隠している。吐け、ボンドルド。――そういえば、ボンドルドはいつも一人で入浴していたな。戻ってきた時には、湯上がりで石けんのいい匂いもしていた」

 

 彼女達は、プルシュカの機能的な下着に秘められた性能を知った。ワンピース型のランジェリーが主流の中、プルシュカだけ上下が分かれた下着を着けていた。更には、胸を支える事に特化した下着で、型崩れを防ぐや大きく見せるなど女性が欲しい機能が盛り込まれた物。

 

 重力と老化には逆らえない。これを、予防する下着など誰が発想出来ただろうか。それを独占しているなど、女性達にとっては許しがたい事だった。

 

 お陰でシュタルクが偶然水浴びをしていた所を覗いてしまった事など、些細な問題となっている。

 

「汗臭い男性が居ては、女性達も困るだろうと思い可能な限り清潔を心がけております」

 

 ボンドルドは、『しわ鍋』と『洗剛』という宝箱産の希少品を見せた。だが、なぜ、今更女性陣営がそれに疑問を感じたのか理解できないという感情がある。

 

 『しわ鍋』は、炙ると大きくなり乾燥すると小さくなる鍋だ。ボンドルドが見せた『しわ鍋』は大人が浸かれるほどのサイズになる希少品だった。『洗剛』は細かく砕けば、泡立つ洗剤だ。これ一つで何年も洗剤に困らない

 

 これで隠れて入浴していたとなれば、白い目で見られるのも当然。

 

「もしかして、シュタルク様もそれをご存じだったんですか?」

 

「あぁ、俺も使わせて貰っていたから。プルシュカが居るから、二人もてっきり入っていると思ってた……良い匂いするし」

 

 軽く殺意が芽生えるフェルン。水浴びがどれだけ辛い事だったか。今まで男性陣営は、温かいお風呂に入って洗剤で清潔を常に保っていたなど許されないと。

 

「プルシュカにも同じ物を持たせております。皆様でご利用して貰うようにお渡ししておりましたが……どうしました、プルシュカ。まるで逃げるように隠れて」

 

「ちょっと、待とうか。プルシュカ」

 

 フリーレンが拘束魔法でプルシュカの逃亡を妨害した。ガチガチに拘束されており、プルシュカでは解除不可能なほどだ。

 

「違うの!プルシュカ悪くないもん。気が付いたら、鞄から無くなっていたんだから」

 

「プルシュカちゃんが紛失してしまったから、私達は今までお風呂にも入れず石鹸も使えなかったんですね」

 

「寒いな~、どこかに温かいお風呂ないかな。私、寒いのも暑いのも苦手なんだよね」

 

 チラチラと何かを要求してくる女性陣営。

 

 『洗剛』は分断できるが、お風呂代わりにできる『しわ鍋』はそうはいかない。つまり、男性陣と女性陣のどちらかが先に入浴して、後から残りが入る事になる。

 

「俺、フェルン達が入った後で入浴する方向で良いぜ」

 

「えっち」

 

「なんでだよぉーーー」

 

 そんな青春的なやり取りを温かく見守りつつ、フリーレン一行は北部高原へ向かう分かれ道へと到着する。主要な街道沿いである為、宿屋も併設されていた。

 

 今夜は野宿せずに温かい食事にありつけると皆が喜ぶ。その宿には、一級魔法使い試験で一緒だった者達もおり、会話が弾んだ。こう言うとき、コミュニケーション能力が高いプルシュカやシュタルクは直ぐに相手と意気投合する。

 

「英雄ボンドルド。北の辺境出身の俺でも知っている英雄……ガキの頃にはあんたの話も色々聞かされたぜ。あんたに救われた者達は沢山居た。感謝する」

 

「ヴィアベルさんでしたね。貴方のような方の未来を守れたのならば、私にも価値があったという事です。北の地では、魔族が再度暴れていると聞き及んでいます。お気をつけください」

 

 見た目に反して紳士的であったヴィアベル。ボンドルドに挨拶してから、シュタルクの引き抜きに入った。見る目がある者にとって、シュタルクは魅力的だ。前衛として、頼れるという存在は、中々見つからない。魔法使いが強すぎる弊害がここにある。

 

 フェルンは、シュタルクが引き抜きに合うのではないかとハラハラしていた。だが、シュタルクはフリーレンPTを選んだ。そんなやり取りを若い男女が宿のテラスでやっているのだ。飯のネタになるのは当然。

 

「青春だね」

 

「青春ですね」

 

「青春よね」

 

 フリーレン、ボンドルド、プルシュカが若い二人の様子を窓から覗き見して同じ感想を言う。これが若者を見る年寄りの反応だ。

 




黄金郷……黎明卿の親戚みたいな名前ですよね。

ネタが尽きてしまったので、どのようなお話を知りたいか読者様にお伺いできればと思っています。全て何話程度やるかも全く未定です。

  • 過去編(1000年前、初代ボンドルド)
  • 過去編(人類防衛ライン戦)
  • 過去編(50数年前、居候フリーレン)
  • 閑話(ゼーリエとプルシュカの文通)
  • 閑話(プルシュカと女神の魔法)
  • バカか、全部やれ
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