黎明のフリーレン   作:新グロモント

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23:南の勇者

 民間魔法という報酬につられて勇者像磨きをする事になったフリーレン一行。大変にコストパフォーマンスが良い依頼だ。錆を落とす魔法など、掃除に特化した魔法がある。一流の魔法使いが揃うフリーレンPTならばこの手の依頼は朝飯前だった。

 

 今回の勇者像は、ヒンメルとは異なり人類最強と言われる南の勇者。歴史の中で風化されつつある最強の存在だ。

 

「って誰このおっさん!?」

 

「二人は初めて見るのか。南の勇者だよ。魔王を倒したのはヒンメルだけど勇者は一人じゃない。色々な勇者が魔王討伐に挑んだんだ。その中でも南の勇者は人類最強といわれていた」

 

 既に80年近く前の出来事だ。更には、勇者ヒンメルを称えるために、他の勇者達の像は激減していった。今では複数勇者が居た事を知らない人も多い。

 

「そうですね。彼は、人類最強でした。全員集結した七崩賢、魔王の右腕であった全知のシュラハトさんを全員同時に相手をして半数を討ち取る偉業を残しました。同じ事が出来る人類は、過去未来合わせても彼以外現れないでしょう。南の勇者とは、私も仲よくさせて頂きました。一時期、共同戦線で人類防衛ラインを押し上げた事が今も思い出せます」

 

「アンブラハンズ達を率いて、活躍していたみたいだね。当時の話は、勇者PTにも聞こえてきたよ。そう言うことだ。今も健在の七崩賢や大魔族はいるから気をつけてね」

 

 過去を懐かしむフリーレンとボンドルド。

 

 ボンドルドは今でも南の勇者に敬意を表している。今があるのは全て、彼のおかげだと。

 

………

……

 

 南の勇者像を掃除した後、立ち寄る街で悉く問題に巻き込まれていた。ヒンメルが取り戻した剣が盗難されたので、見つけてくれだとか。ボンドルドが、呪われているのでは無いかと考えて本気でフリーレンの事を心配した。

 

「魔族が単独で潜伏するなど疑問が解消されない依頼でした。どこかに隠れ潜んでいる魔族でもいるのでしょうか。フリーレンさんの見解は?」

 

「どうなんだろう。国防結界の内側で魔族が見つかることもあるらしいから、自然発生でもしているのかな」

 

 ボンドルドも魔族の生態については、判明していない事が多くて困っていた。種の保存をしたいが、種が発生するメカニズムが解明できていない。種の存続に同意(意味深)してくれたボンドルド管理の魔族達に質問や実験をしても答えには辿り着いていない。

 

「そう言う意味では、魔物も同じです。魔物と魔族の境界線はどこなのか、実に興味深い課題でもあります。いつか、その謎も解明したい。旅が終わりましたら、時間があったらお手伝い頂けると幸いです。フリーレンさん」

 

「確かに気になるね。100年くらいなら手伝うよ。どうせ、暇だしね」

 

 人を知る旅が終わった後は、魔族を知る研究も悪くないと思うフリーレン。一流の研究者二人が揃えば、謎の解明も早いだろう。お互い得意分野は異なるが、この世界でも上位の知識人だ。

 

 

◇◇◇

 

 

 今から80年以上前。

 

 魔族の大攻勢があった頃、南の勇者はボンドルドを訪ねていた。

 

 最強と自他共に認める南の勇者であったが、一人ではカバーできる範囲に限界がある。他にも勇者や後詰めの兵士が居たが心許ない。なにより、未来が見える南の勇者としては、犠牲(・・)を最小限に抑える方法が取れる。

 

「取引をしよう、ボンドルド殿。私はこれから北部高原を取り戻すため、死力を尽くす。その支援をして貰いたい。人類の為、そこで七崩賢数名を討ち取り全知のシュラハトと相打ちになる」

 

「是非協力をしたいのですが、生き残った七崩賢が相手では手に余ります。私は死ぬためにここにいる訳ではありません」

 

 ボンドルドは、自分の実力を正しく把握している。だからこそ、撃ち漏らした七崩賢を同時に相手にして生き残れると思っていない。南の勇者もそれは理解している。だからこそ、人類のため、取引カードを出した。

 

「私ならば、『プルシュカ』さんを誕生させるための未来像が描けます。ボンドルド殿の総力……アンブラハンズも含めた尽力があれば多少の犠牲はでますが、人類防衛ラインを持ち上げられる。七崩賢は、私を殺した後に引き上げるので、貴方が相手をする必要は無い」

 

「素晴らしい。全て引き受けましょう。出し惜しみは無しで、人類防衛ラインを引き上げます」

 

 南の勇者の手を取ったボンドルド。二人は握手を交わす。この時、人類最強と人類最凶が手を組んだ。最悪に見える光景だが、1000年先を見通す全知のシュラハトと双方が未来を読み合い妥協した結果がこれである。

 

 その結果、ボンドルドは魔王軍に参加していた大魔族を捕虜にして、使い潰し、捕虜にし、使い潰しを繰り返し英雄と呼ばれるようになった。南の勇者が死地に臨む際には、邪魔が入らないように魔王軍を押しとどめるなど功績を残す。

 

◇◇◇

 

 

 

ネタが尽きてしまったので、どのようなお話を知りたいか読者様にお伺いできればと思っています。全て何話程度やるかも全く未定です。

  • 過去編(1000年前、初代ボンドルド)
  • 過去編(人類防衛ライン戦)
  • 過去編(50数年前、居候フリーレン)
  • 閑話(ゼーリエとプルシュカの文通)
  • 閑話(プルシュカと女神の魔法)
  • バカか、全部やれ
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