黎明のフリーレン   作:新グロモント

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25:寝る子は育つ

 北部高原に足を踏み入れたフリーレン一行。

 

 北部高原は、最北端の対魔族最前線にも匹敵すると言われる程の危険地帯がいくつかある。事実、強力な魔物も多く、人類生存圏が限られる地方だ。だが、それでも人類は、この大地にまで手を広げている。

 

「ここが北部高原か…なんだか危険って言われていたわりには普通の場所だな」

 

「…本気で言っているんですか、シュタルク様」

 

 シュタルクは、現状を正しく理解できていない。魔法使いは、奇襲に備えて常時周囲を警戒する魔法を使っている。だからこそ、周囲から迫る脅威を正しく認識し対応する準備が出来ていた。

 

「シュタルクは、前衛でこのPTで唯一の戦士なんだから気を引き締めないと駄目だよ。魔物の気配が察知できないなら、後でプルシュカが探索魔法を教えてあげようか」

 

 すでに囲まれているフリーレンPT。街を出発してすぐにこれでは、魔法使いや僧侶が必要とされるのも納得できる。常時、襲い掛かってくる魔物をなぎ払って進まないといけない。

 

 だが、所詮は魔物。

 

「囲まれたね」

 

「そうですね、しかし良い機会です。可愛い子には旅をさせろと言います。フリーレンさんと私は、防衛以外しないで行きましょう。この一つ一つの経験が彼等を強くします」

 

 敵を観察し、対処方法を考える。それが意識せずに出来るようになれば、今後の旅が楽になる。魔物の強さも、雑魚過ぎず丁度良い経験値だと大人二人は判断した。

 

 そんな思いがあったフリーレンとボンドルドだが一つの過ちを犯す。

 

 フリーレンは、過去にヒンメルが北部高原に住む人の為に進んで魔物を倒した事を思い出し、子供達の成長を促して一石二鳥だと思い"微弱な魔力を周囲に放出する魔法"を発動した。魔力感知に優れた魔物が押し寄せてくる。

 

 ボンドルドは、彼等の成長に期待して魔物が大好きな"血と汗の臭いを発生させる魔法"を発動する。これで嗅覚が優れた魔物達が押し寄せてくる。

 

「「…」」

 

 フリーレンとボンドルドがお互いに顔を見合わせる。双方が魔法発動を察知したからだ。大魔法使いの二人が使う魔物寄せの魔法が同時発動する。これには、フェルンもプルシュカも嫌な予感を察知するほどだ。

 

「ねぇ~、なんか嫌な予感がしたんだけど何か魔法とか使った?」

 

 シュタルクの勘も捨てた物では無かった。

 

「ボンドルドが、"血と汗の臭いを発生させる魔法"を使ったよ。嗅覚に優れた魔物が押し寄せてくる伝説の魔法だ」

 

「フリーレンさんが、"微弱な魔力を周囲に放出する魔法"を使いました。魔力感知に優れた魔物が押し寄せてくる伝説の魔法です」

 

 周囲の森に潜んだ魔物達が動き出す。本来の縄張りを越えて餌を求めてこの場に大集合して来た。視界の悪い場所での対魔物経験を積む良い機会だ。

 

「フリーレン様、ボンドルド様。これも試験ですか?」

 

「そうだよ、フェルン。三人居るんだし何とかなる」

 

 実際何とかなるだろうとボンドルドは思っている。シュタルク、フェルン、プルシュカの三人で作戦を考えれば対処可能だ。

 

「分かりました。プルシュカちゃん、枢機に還す光(スパラグモス)で私達を中心に半径100m程の木々をなぎ倒した後は大型の魔物を撃ち殺してください。シュタルク様は、私とプルシュカちゃんが撃ち漏らした小型の魔物を確実に倒してください。私は、少し上空から遠くの敵を狙い撃ちます。これを基本戦術としていきます」

 

 遠距離から数を減らすフェルン。

 中距離で大型魔物を狙うプルシュカ。

 近接で小型を対処するシュタルク。

 

 良い感じの役割であった。ボンドルドは、数日間睡眠も食事も不要になる魔法を三人に掛けた。

 

 彼女達は、こうして効率よく魔物を倒す手段を実践から手に入れる。しかし、それが三日三晩も続くと、疲弊を隠せなかった三人だった。

 

………

……

 

 道中の集落に着くまで、様々な魔物に襲われその全てを殲滅していたフリーレン一行。集落で一泊する際に、街道を襲っていた魔物を根絶やしにしたと言うことで歓迎を受ける事になる。

 

「疲れた、お腹もいっぱい。プルシュカ、もう一歩も動けない。これなら海路の方が良かったんじゃない?」

 

「海路で北部入りも可能でした。しかし、旅というのは目的地に行くまでの過程も楽しむ物ですよ。プルシュカの言うとおり、海路という手段は陸路より安全で早いでしょう。ですが、それでは風情がありません。この旅路は、プルシュカにとってとても良い経験になります」

 

 長い旅路は良い経験になる。これは事実だ。だが、フェルンやシュタルクの寿命などを考えると悠長な事は言っていられない。全盛期という物は短い。だから、帰路は船旅だろうなとボンドルドは思っていた。

 

「プルシュカ、食べて直ぐ寝たら太るよ」

 

「大丈夫。プルシュカはエルフだから、エルフ細胞的な物で太らないってパパが前に言ってた。それに、プルシュカは成長期だから、食べた分だけ体に還元されるの」

 

 エルフの成長期が来るはず無いと考えたフリーレン。プルシュカを横に並べてみた。僅かだが身長が伸びている事を知る。そして、自らの起伏とプルシュカの起伏を比較した。

 

 スラッとしているフリーレンに対して、凸凹がハッキリと分かるようになってきたプルシュカ。これで勝敗は決した。

 

 エルフ二人が同じベッドで横たわる。

 

「駄目ですよ、フリーレン様。食べて直ぐ寝たら、太りますよ」

 

「フェルン、寝る子は育つんだ。間違いない」

 

 手の掛かる子供を育てている気分になるフェルン。これには、ボンドルドも申し訳ないと思っていた。

 

ネタが尽きてしまったので、どのようなお話を知りたいか読者様にお伺いできればと思っています。全て何話程度やるかも全く未定です。

  • 過去編(1000年前、初代ボンドルド)
  • 過去編(人類防衛ライン戦)
  • 過去編(50数年前、居候フリーレン)
  • 閑話(ゼーリエとプルシュカの文通)
  • 閑話(プルシュカと女神の魔法)
  • バカか、全部やれ
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