北部高原ルーフェン地方。
フリーレン一行が、その地域を通過しようとしていた際、野宿先に手紙を持った小動物が現れた。小動物はリスだった。なぜ、鳥など空を活用しないのか、疑問が残る。
気になる手紙の中身は、大陸魔法協会からの討伐依頼。近隣で村々を襲って壊滅させている魔族を現地協力者と手を組んで潰せとのお達しだ。これは、一級魔法使いとしての任務であり受ける受けないはフェルンの匙加減次第。
ただ、討伐依頼文面最後に仕事完了時には、フリーレンとボンドルドの出禁期間を五年縮めると書かれている。勝手に出禁にしたのに、その解除を報酬として使われる。本来ならば、村々を壊滅させている魔族の討伐ならライヒ金貨数枚程度は欲しい所だ。
「魔族かぁ、本当に何処にでもいるね」
「仕方ありませんよ、フリーレンさん。魔王が討伐されて以降、誰も第二の魔王となりませんでした。力こそ全ての魔族の統率者が死んだのですから、各々が好き勝手に動くのは当然の結果です」
魔族達も誰も第二の魔王を名乗ろうとはしなかった。
力がある魔族達もいたが、魔王討伐を成した勇者ヒンメルが居るのだから名乗れば最後、死ぬのが分かっていた。人間である勇者の死を待った後に行動を開始するレベルには魔族達は知恵がある。
魔王討伐されて直ぐは、各地で勢いが付いた者達による魔族狩りが盛んに行われた。魔族保護を謳っていたボンドルドの元を藁にもすがる思いで尋ねてきた連中もいる。魔族としては、一時的に身を隠して、どこかで再起を図ろうとしていたがボンドルド相手にそんな手が通じるかは火を見るより明らかだ。
「どうしましょうか、フリーレン様、ボンドルド様」
「フェルンが決める事だよ。これは、一級魔法使いとしての仕事だ」
「この依頼を受けても受けなくても、私はフェルンさんの意見を尊重します。しかし、一級魔法使いという立場には、それ相応の責任が生じます。権利ばかり主張して義務を蔑ろにする者は世間的にも好まれないでしょうから、バランス感覚を大事に持ってください」
一級魔法使いが各地に潜む魔族を討伐していたことを知ったフリーレンは、少しだけゼーリエの事を見直していた。魔法の探求だけでなく、その叡智を分け与え人類の生活を守っているなどゼーリエの昔を知るフリーレンからしたら考えにくい事だったからだ。
「俺は別にいいぜ」
「プルシュカも構わないわ!! そうだ、ゼーリエお姉ちゃん宛にお手紙を書くわ。引きこもりのゼーリエお姉ちゃんにもお外の世界を知って欲しいの。リスさん、お手紙を持って行ってくれるかな」
フェルンは、討伐依頼の手紙に同梱されていた返信用封筒をプルシュカに渡した。可愛らしい便箋をゼーリエ自身が街で購入したとは誰も思わない。
「分かりました。この討伐依頼を受けます。困った人達は、見捨てられません」
「そうだね。それじゃあ、急ごうか」
フリーレンは、フェルンの判断を嬉しく思う。
………
……
…
フリーレン一行が現地協力者との集合地点に着いたが、既に村は壊滅状態。家々は全て破壊されており、血痕があちこちに残っている。その近くには、足跡があり誰かが運び出した形跡があった。
「二足歩行の足跡。人類を模した魔族の可能性があります」
「最近増えたよね。人間に似ている魔族」
ボンドルドとフリーレンが現場検証を行う。元々強い魔族は、何故か人型に近かった。だが、昨今では弱い魔族も人型に近付いてきている。外見で人間と魔族が判断出来なくなる前に人類が再度総力を挙げて魔族を根絶やしにする必要性も高まってきた。
人類そっくりな人食いの魔族が、横で暮らしているかも知れないなど人類側としては最悪だ。魔王討伐の勇者PTの魔法使いフリーレン、北側諸国の英雄ボンドルド――影響力があるこの二人が呼びかければ応える国もある。魔族による被害は、各国も頭を悩ませていた。
「フリーレン様、教会の方に人の気配があります。魔力の残滓も」
「中が見えないか~。魔族と分かれば楽だったんだけどね」
教会の中に魔族しか居なければ、外から集中砲火で殺すだけという簡単な仕事になる。だが、人間も居る可能性がある。生存者がいれば、この方法をフェルンに使わせるわけにはいかないとフリーレンは考えた。
「私が、正面から入り注意を引きつけましょう。シュタルクさんとプルシュカは裏口で魔族が出てきたら切り伏せて下さい」
「それじゃあ、私とフェルンは教会窓から強襲しよう。殺気がすごい。手練れだと思うから気をつけるように」
教会を取り囲むフリーレン一行。
ボンドルドが先行して、教会の扉を切り裂いた。注目を集めると同時に直ぐにフリーレンとフェルンが教会窓から飛び込む。即座に、内部状況を把握し敵だけを殲滅するべくゾルトラークを構えた。
「おや、これは一級魔法使い試験でお会いしたゲナウ試験官でしたか。それと………」
「メトーデだよ、ボンドルド。まったく。凄い殺気のこもった魔力だったから魔族かと思ったよ」
双方が矛を収める。見ず知らずの者なら敵の偽装も疑ったがその可能性は無いと判断する。だが、ゲナウは一言文句を言いたかった。殺気がこもった魔力はお互い様だろうと。
誤解が解けたところでフリーレンPTが集合をする。
ボンドルドは、死体を確認して保存の魔法を掛けた。腐敗が進みつつ有り、教会内部に若干の異臭を放っていたからだ。フェルンに指示をして、洗濯魔法で衣服の汚れも綺麗にする。
死んだ者に祈りを捧げるボンドルド。その半端ない違和感にゲナウとメトーデの脳が理解を拒む。あの一級魔法使い試験で暴れまくったボンドルドが、女神様の像を前に死者の冥福を祈っているのだ。最高位である僧侶の祈りで、彼等も安らかに眠れると思えるはずだが、なぜか安心感がまるでない。
ネタが尽きてしまったので、どのようなお話を知りたいか読者様にお伺いできればと思っています。全て何話程度やるかも全く未定です。
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過去編(1000年前、初代ボンドルド)
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過去編(人類防衛ライン戦)
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過去編(50数年前、居候フリーレン)
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閑話(ゼーリエとプルシュカの文通)
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閑話(プルシュカと女神の魔法)
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バカか、全部やれ