黎明のフリーレン   作:新グロモント

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32:祈り手(アンブラハンズ)

 黄金郷のマハト討伐。実現不可能だと思われていたが、可能性が見えてきた。

 

 一級魔法使いレルネンがマハトから奪い取り、デンケンへ譲り渡したマハトの記憶。これを利用してマハト攻略の糸口を探るのがデンケンが考えていた方法だ。

 

 記憶の解析には3年掛かると見込んでいたデンケンだが、フリーレンが二ヶ月でやってのけると言う。だが、フリーレンとて二ヶ月で魔族の記憶解析には、労力を要する。魔力リソースを大きく利用するため、生活能力が落ちる。フリーレンが、衣食住の世話を全部フェルンに依頼していた。

 

「二ヶ月ですか、保険をかけておきます。デンケン殿、近くに街はありますか?手紙を出したいのですが」

 

「近くに唯一の集落がある。フリーレンもこの調子じゃ、解析が終わるまでそこで過ごす方が良いだろう。ここは、長期滞在には向いていない」

 

 フェルンが一瞬だけフリーレンを支えたまま、動きを止める。まるで何かを見つけてしまった様に見える。

 

「はっ!! まさか、ゴキブリ!? プルシュカ、あれ嫌い!! フェルンお姉ちゃん、何処何処」

 

「違います。今、一瞬だけとてつもない魔力が…」

 

「残念ながら、私は黄金リンゴを潰すのに魔力を使いすぎました。広範囲の感知は行っておりません」

 

 フェルンだけが感知した膨大な魔力。黄金郷という土地、それを封印する結界がある為、

誤検知という可能性もある。デンケンも魔力を感知できなかった事とこの地では魔力探知で誤検知する事も珍しくないと話をする。

 

「ただ、そうなると。フリーレンと黎明卿の魔力探知が弱まる瞬間を狙って、黄金郷に接近し今も潜伏している可能性が高い。儂等四人の魔法使いに見つかることなく」

 

「おじさん、プルシュカも入れて五人なんだからね」

 

 プルシュカは、頭数に入れられなくて怒っていた。一級魔法使い試験では共に肩を並べたというのに、一人前のレディー扱いがされていないと。

 

「そうじゃったな。じゃあ、お詫びに儂のとっておきの魔法――裁きの光を放つ魔法(カタストラーヴィア)を教えてあげよう」

 

「今回だけ許してあげるわ」

 

 フリーレンも魔法を教えてくれると聞いて、私もと言いたかったがリソースをマハト記憶解析に使っており、出来なかった。

 

………

……

 

 集落に移動したフリーレン一行とデンケン。二ヶ月後のマハト攻略に向けて、各々が最善を尽くす。七崩賢最強と言われる魔族相手に準備は幾らあっても良い。

 

 デンケンと訓練を積むプルシュカ。

 

「「裁きの光を放つ魔法(カタストラーヴィア)」」

 

 同じ魔法がぶつかり合う。だが、速度、正確さ、習熟度が優れているデンケンの方が一枚上手。デンケンの魔法を防いだプルシュカだが、爆風を目隠しに利用されて一本取られる。全盛期の勘を取り戻しつつあるデンケンは、今が絶好調だった。

 

「また、負けたぁーーー」

 

「後10年も研鑽を積めば、プルシュカの方が強くなれる」

 

 デンケンの年齢で10年だと死んでいるだろうなと観戦しているボンドルドは思っていた。だが、その位の差はあった。この訓練にフェルンも混ざるが、彼女の方がプルシュカより戦績が良い。

 

 フリーレンが育て上げた魔族殺すビルドは対人においても有効だ。

 

 

 そんなマハト戦に向けての訓練を積み始めて二ヶ月が経過しようとしていた。宿では、フリーレンが解析を続けている。夕食を食べさせて貰っているフリーレン。フェルンは、良い母になるだろうと誰もが思う光景だ。

 

「フリーレン様、しっかり噛んで食べて下さい」

 

「ヨシ!! フリーレンお姉ちゃん、緑の美味しい野菜をあげるね。あーーん」

 

 エルフは森の住人。だから、野菜が好きだというのは勝手な妄想だ。緑に輝くピーマンをフリーレンに食べさせるプルシュカ。代わりに、フリーレンの唐揚げが奪取される。碌に動けないフリーレンを相手にこの二ヶ月美味しい思いをしていたプルシュカは、後で酷い目にあう。それを、人は因果応報という。

 

 食事をしているフリーレン一行の元に一人の来客がある。ピンク色の仮面を被った男。その服装と佇まいがボンドルドと似ており、仮面から妖しい光を放っていた。

 

「"揺らいでいる"。ボンドルド様のお知り合いですか?」

 

「ほぅ、彼の"揺らぎ"がフェルンさんには見えているのですか。素晴らしい才能です。彼は、私が『信頼のおける祈り手(アンブラハンズ)』です。マハト戦の保険です」

 

 アンブラハンズ。それは、魔王軍との大戦において、黎明卿が保有していた個人戦力として有名だ。彼等と共に人類防衛ラインを引き上げた者達。歴史に名を残す傭兵みたいな感じで各地に伝わっていた。

 

 ボンドルドは、二ヶ月前に保険としてアンブラハンズの一人をこの場に派遣させていた。

 

「黎明卿とアンブラハンズ。子供の頃に聞いたおとぎ話の再来か。感謝する」

 

「お気になさらず、デンケン殿。私は、必要な事をしたまでです」

 

 正体不明の大魔族が潜む可能性もあるこの状況。マハトという特記戦力を相手に出し惜しみして負けましたでは話にならない。フリーレンの解析が終わるまでは、彼女を死守するのが勝利条件となる。それが叶えば、マハトの魔法は完全に地に落ちる。

 

「ねぇねぇ、プルシュカの冒険のお話を聞きたい? 聞きたいよね!? パパ達と一緒に旅にでて色々と勉強したんだよ」

 

 異様な雰囲気であったアンブラハンズだったが、プルシュカにとってはフリーレン一行より長く付き合いがある者達だ。もはや、家族と言っても過言でない。プルシュカを優しく撫でる様子を見て、見た目と違って子供に好かれやすい人なのだと全員が認識した。

 

 

 

ネタが尽きてしまったので、どのようなお話を知りたいか読者様にお伺いできればと思っています。全て何話程度やるかも全く未定です。

  • 過去編(1000年前、初代ボンドルド)
  • 過去編(人類防衛ライン戦)
  • 過去編(50数年前、居候フリーレン)
  • 閑話(ゼーリエとプルシュカの文通)
  • 閑話(プルシュカと女神の魔法)
  • バカか、全部やれ
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