黎明のフリーレン   作:新グロモント

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33:ソリテール

 大魔族ソリテール。人類側に一切の情報が残っていない無名の大魔族であり、黄金郷の近くに潜伏している張本人だ。出会った人類は全員殺されており、人類側では謎の大魔族程度の情報しか残っておらず、容姿すら不明であった。

 

 ソリテールは魔族の中では変わり者。人類について研究している魔族として、魔族界隈では知名度があり、その関係でマハトとも知り合っていた。人類との共存を考えているマハト同様に異端者同士で気があった二人。方向性は違うが、人類に対して研究を怠らない姿勢が彼女達を引き合わせる。

 

 人類について研究している魔族など、人類側としては最悪であった。社会性がなく、個人主義の魔族が人間を理解する事で進化していくという脅威論は世間で昔から囁かれている。だが、そういった行動をしている魔族が確認できない事から人類は安心していた。

 

 ソリテールは、人類を研究する為に産まれてきたような魔族だと言える。女性型の魔族であり、角も目立たない程度に小さい。帽子を被れば遠目では人類と変わらない。触れれば折れてしまいそうな儚さを身につけており、庇護欲をかき立てる。更には、会話に重点を置いており、情報収集に余念が無いことだ。これには、もしかしたら会話が出来る魔族ではないかと誤認する者たちも多い。

 

 その結果、人類側が対魔族用として開発した一般攻撃魔法と防御魔法が魔族側に漏洩した。ソリテール経由でマハトも人類側の魔法が使えるようになり、脅威が更に高まる結果になる。

 

 一言で言えばソリテールは、魔族版フリーレンだ。

 

 だからこそ、ゼーリエが卓越した魔法技術を持つとまで褒めたマハトが解除出来ない結界をソリテールが解析して対応できる。人類の歴史、考え方、文化を理解して初めて解除可能になる対魔族特化の結界。

 

 黄金郷の結界前で解析を続けていたソリテールは、人類側が作った結界に関心していた。短命であり大魔族に遠く及ばない魔力しか持たない人類が生み出した高度な結界。芸術品だと。

 

「南側諸国で魔族の封印を生業としているカンム一族の守護方陣。不可逆性の原理を応用する事で生み出されたアンデラー式結界理論。統一帝国の国防を担った宮廷魔法の最高傑作、隔絶大結界。そして、北欧諸国の英雄が飛行魔法を妨害するために生み出したアビス結界。全ての解析が終わった。起源も術式もまったく違う魔法理論を合わせた芸術品。壊すのが勿体ないくらいだ」

 

 人類の叡智により作成されたマハト封印の結界がたった二ヶ月で解析されていた。解析されたと言う事は、この知識を全てソリテールが吸収したという事になる。彼女は、魔族版フリーレンである事を考えると、これが応用されて対人特化の結界魔法が生み出されるのも遠くない。

 

 崩れ落ちるマハトを封じる大結界。

 

 この瞬間、人類の敵が檻の外に出された。

 

 

◇◇◇

 

 大結界の崩壊を察知したフリーレン一行。後二日あれば、フリーレンがマハトの記憶解析を終えてメタ作戦が実行できた。だが、間に合わなかった状況での対策は限られる。

 

 一時撤退して準備ができ次第、マハトとソリテールを討伐する。

 現状戦力でマハトとソリテールを討伐する。

 大陸魔法教会にマハトとソリテール討伐を依頼する。

 

と、言う方法だ。ゼーリエが過去にマハト討伐を中断した事から、やり残しの仕事をさせた方が確実で安全だ。勿論、それは魔族側も承知しており、大陸魔法教会の目が届かない場所で再起を図るつもりでいた。

 

 集落からは遠くで崩壊していく大結界がよく見えていた。

 

「おやおやおや、物の見事に破壊されましたね。次の狙いは、恐らくフリーレンさんです。彼女がマハトさんの記憶解析をしているので、生きて帰したくないはず」

 

「止むを得んな。儂は、集落の人々を退避させよう」

 

 人命を優先させる為、デンケンは集落の人々を帝国領にまで逃げるように指示をする。黄金が広がる速度を考えれば、ギリギリ逃げ切れる算段だ。

 

………

……

 

 だが、どうでも良い人類が逃げることは問題無いが、魔法使いを生きて帰すほど優しくないのがマハトとソリテール。大魔族二人が避難民がいる方へ確実に近付いてきていた。

 

「ゆっくりですが、結界を破った魔族の反応が近付いています」

 

「この大所帯じゃ逃げ切れないよな…」

 

 フェルンとシュタルクが覚悟を決めた。フリーレンが全てのリソースをマハト記憶解析に当てたため、眠りについている。現状戦える戦力は、ボンドルド、デンケンを筆頭にフェルンとシュタルク、プルシュカとアンブラハンズしかいない。

 

 その頭数に意外と戦えるんじゃないかと誰もが思う。

 

「…俺が足止めに残るよ」

 

「なら、私も」

 

 勇敢にも殿を申し出るシュタルクとフェルン。死が二人を分かつ時まで一緒に居たいというフェルンも重さが滲み出る。

 

「その頭数に私達も入れて貰いましょう。こういうのは、年寄りの出番です」

 

「仕方ないわね。お姉ちゃんとしての威厳を見せないとね」

 

『お供します』

 

 ボンドルド、プルシュカ、そしてアンブラハンズが名乗りを上げる。並の大魔族ならこれで討ち取れると確信できる戦力。だが、デンケンには不安が残る。マハトの"万物を黄金に変える魔法"がある限り、総合力が上回っていても意味を成さない。対策手段を持たぬ限り、勝てないと。

 

「…いや、儂が行こう」

 

「デンケン殿。状況から察するに、"特権"で対抗策をお持ちなのでしょう。しかし、避難民の守りとフリーレンさんの護衛。最悪、彼女を抱えて帝国に逃げることが可能な人材は残るべきです」

 

 フリーレンが残っていれば最悪何とかなる。だから、安心して挑む事が出来るフリーレンPT。その信頼と団結力にデンケンは、ボンドルド達に殿を頼むことにした。

 

 だが、その数分後。デンケンは、「マハトがコッチに来ているだろう。殿を引き受けた黎明卿達は何をやっているんだ」と思わず言いたくなる展開が待っている。

 




アビス結界は、飛行阻害特化を想定しております。
上昇負荷は…無い感じです。
アレだと即死するので、ちょっとね^-^

ネタが尽きてしまったので、どのようなお話を知りたいか読者様にお伺いできればと思っています。全て何話程度やるかも全く未定です。

  • 過去編(1000年前、初代ボンドルド)
  • 過去編(人類防衛ライン戦)
  • 過去編(50数年前、居候フリーレン)
  • 閑話(ゼーリエとプルシュカの文通)
  • 閑話(プルシュカと女神の魔法)
  • バカか、全部やれ
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