大魔族ソリテールの前に立ち塞がるボンドルド達。ソリテールとしては、明らかに戦力の均等分配ができていないと考えた。フリーレンが機能不全になっている事を把握していた為、ボンドルドが避難民を守ると考えていた。
それなのに、ボンドルド、プルシュカ、アンブラハンズ、フェルン、シュタルクと言うほぼフリーレンPTと戦う事になる。ソリテールは、これでは何のために魔力感知に掛かるように来たのか分からないと思った。
普通は、マハトが感知できなければ警戒して民の防衛に人数を割くだろうと。
だが、ソリテールはそのような心の内は顔に出さない。負け戦はするつもりはないが、彼女にも勝算はある。
「構えなくて大丈夫だよ。私に戦う意思はないから。私は、君達の事が知りたいだけなの。少しだけ話し相手になってくれないかな」
「思ったより強くなさそうだな」
「そうでしょうか。私にはそうは見えません」
対話を求むソリテール。容姿だけ見れば、マハトより弱そうに見える。だが、フェルンは本気のフリーレンにも引けを取らない魔力を感じており、戦略を練っていた。
「お姉ちゃん!! お名前なんて言うの?私は、プルシュカ。パパの娘よ」
「人と出会ったら、まずは挨拶。私は、大魔族ソリテールよ。よろしくね、お嬢ちゃん。パパって不思議な言葉よね。私達、魔族にはない言葉。とても素敵だわ」
ソリテールの興味を引いてしまったプルシュカ。
彼女の研究対象であった人類。その中には、エルフの子供のサンプルは存在しなかった。いつ、どこで、どのように産まれ、どのように過ごした、何を思っているのか、何がしたいのか、知るべき事が有りすぎて混乱してしまいそうなソリテール。
この場に、フリーレンが居たらソリテールの事を「魔族版ボンドルド」と評価しただろう。
「私は、ソリテールなんて名前の大魔族を知らない」
「つまりは出会った奴をほとんど生かして帰していないってことか」
フェルンは、大魔族の名を知らなかった。彼女は、フリーレンより北部高原入りする前に要注意魔族を教え込まれている。大魔族は、例に漏れず膨大な魔力を有しており、フェルンが単独で勝機を見いだすのは半世紀早い。だから、出会ったら逃げろとキツく言われている。
「誤解しているようだけれども、私は人目を避けてひっそりと暮らしたいだけ。人を殺した事なんて一度も無いわ。大丈夫。恐くないよ。おいで。お姉さんと一緒にお話しましょう」
何処で学んだ言葉なのか。人類を長い年月研究しなければ、魔族がソコに到達できる事はないと考えたボンドルド。だが、歩み寄る姿勢だけは褒められるとボンドルドは一定の理解を示す。
「初めまして、ソリテールさん。私は、ボンドルド。人は私の事を黎明卿と呼びます。魔族でありながら、人類を知ろうとする貴方の考えは実に素晴らしい。私も、魔族を知ろうとあの手この手を尽くしました。今では、種の保存の観点から保護に力を入れております。娘の事を知りたいようでしたので、一度イドフロントに来て頂いて、話し合いをしてみませんか」
「黎明卿ボンドルド。えぇ、知っているわ。人類史に名を残す英雄。残念だけど、貴方の手は取れないわ。私は、もっと人類を知りたいの。アウラみたいになったら、プルシュカちゃんとお話ができなくなるわ」
魔族で一番人類を研究したと言っても過言でないソリテールは、ボンドルドの事も理解していた。彼が使う異質な魔法も研究対象であり、アウラ戦でその一端を彼女は知る。これほどまでに研究熱心な彼女の手にカートリッジが一つでも渡れば、魔族により箱詰め娘が量産された可能性すら有る。フリーレンは、それを警戒して使い終わったカートリッジを即座に消滅させていた。
「既に、カートリッジの基本原理を理解しているとは。私が、長い年月かけて開発したカートリッジをすら模倣しようとする。……プルシュカ、下がっていなさい。貴方では、足手まといになります」
「うぅーーー、分かったわ、パパ。絶対勝ってね」
プルシュカは、ソリテールとの力量の差を把握した。邪魔にならない場所で情報をフリーレンに持ち帰る方が得策だと。プルシュカと一緒にアンブラハンズも下がった。
プルシュカはまだしも、アンブラハンズまで後ろに下がる必要性に疑問を感じるフェルン達。だが、それに対してボンドルドが何も言わないので、黙っていた。元々、個人保有の戦力であり、その利用方法にとやかく口を出すべきではない。
「本当に、可愛い子だね。今まであった、人間の中にも子供はいた。だけど、あの子が一番よ」
「お世辞でも嬉しい事を言ってくれますね。その言葉は、どのように学んだのかも気になります」
親と子に関連する言葉や習慣を理解する為には、人間の親子を使った実験を幾度もなく繰り返した証拠だ。魔族の未知への探究心は、人類へと近付きつつある。
「ねぇ、プルシュカちゃんが言っていたパパは黎明卿なんでしょう。エルフであっても、母親って居るのかな。あの子の母って、もしか……」
「君のような勘のいい子供は嫌いですよ。――
大魔族であっても1000年を生きた存在は、極めて希だ。精神年齢1000歳オーバーのボンドルドからしたらガキと言っても問題は無い。
ボンドルドは、安い挑発に乗って魔法を放った。全ての防御魔法を貫く最強の矛。だが、ソリテールの前に黄金の板が現れて、ボンドルドの魔法を弾いた。黄金の板に凹みが残る。
「ふふふ、やっぱり凄いわ。マハトの黄金を変形させるなんて。貴方の魔法であっても、コレを貫くのは大変なのは知っているわ。だから、活用させて貰うの」
「私への対策も万全と言う事ですか。何も問題ありません」
ボンドルドは、信頼していた。フリーレンが作り上げた弟子……
素晴らしい成長ぶりを発揮したフリーレンの弟子。ボンドルドは、フリーレンが片手を黄金にされた際、面倒を見るついでに色々と物語を聞かせたかいが有ったと思っていた。
ネタが尽きてしまったので、どのようなお話を知りたいか読者様にお伺いできればと思っています。全て何話程度やるかも全く未定です。
-
過去編(1000年前、初代ボンドルド)
-
過去編(人類防衛ライン戦)
-
過去編(50数年前、居候フリーレン)
-
閑話(ゼーリエとプルシュカの文通)
-
閑話(プルシュカと女神の魔法)
-
バカか、全部やれ