黎明のフリーレン   作:新グロモント

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36:いい魔族

 ボンドルド達が離れた場所でソリテールと戦っている最中、デンケンはマハトと対峙していた。

 

 マハトも魔族の中ではソリテール同様に異質な存在だ。平和主義であり、争いを好まず、人類を理解しようと努めていた。その過程で、殺した人間の数は万を超える。人間を理解しようとした魔族の二人目であった。一人目が魔王、二人目がマハト、三人目がソリテール。人類側は、魔族が人間を理解しようとしたせいで戦争になり人類は勢力圏を1/3にまで減らして、死人で山が出来る程の犠牲を払った。

 

 そんな魔族の上澄みの一人である黄金のマハト相手に人類の上澄みの一人であるデンケンは、良い勝負をしていた。マハトは人類を知る為、一時期人間に仕えていた。その際に魔法指導をしたのがデンケンだった。これは、命を賭けた師弟対決。

 

「指導試合を思い出しますね」

 

「儂もだ。その動きは、数え切れないほど見た」

 

 過去を思い出しつつマハトに応戦するデンケン。長年鍛えた技術とコントロールは、彼の師であったマハトでも楽しめると評価する程だ。しかし、デンケンとマハトの魔力総量の違いは天と地ほどもある。

 

「デンケン様。どうやら私は貴方を侮っていたようです」

 

 マハトは、避難民に紛れて帝国領にまで逃げようとしているフリーレンを殺すつもりだ。結界の外に出れたからには、再び人類を知る研究を遠く離れた地で続ける予定でいる。幸いな事にマハトには同格であり人類研究をしているソリテールという新しい相方もいた。この二人がセットでいれば、世界のバグでも現れない限り負けないので、長く研究が続けられる。

 

 今後の事を考えて、帝国に逃げられて早々に追っ手がかけられては不都合でしかない。マハトは、十分に楽しんだと判断し、"万物を黄金に変える魔法"をデンケンに放った。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 全リソースを使いマハトの記憶解析を終えたフリーレンが目を開けた。ボンドルドにより"万物を黄金に変える魔法"は、壊せる物であるというイメージが出来ていたフリーレンは、対マハトに特化した防護魔法を予定より早く開発した。

 

 "呪い"の対処方法が生み出された。これで、マハトは七崩賢最強の座を降りることになる。"万物を黄金に変える魔法"が防げるのであれば、一級魔法使い達が徒党を組む事で、マハト討伐は世界のバグ無しで可能である。

 

 今フリーレンは、マハトより遠くで聞こえる子供の泣き声の方が気になっていた。"耳が良く聞こえる様になる魔法"でパパと泣く子供の声が僅かに聞こえていた。

 

「プルシュカが泣いている。55年振りに聞いた」

 

 まだ、とても小さかったプルシュカの姿を思い出したフリーレン。その頃の泣き声と今の泣き声の違いを理解できるまでに成長したフリーレンは、プルシュカの悲痛な声で心を痛めていた。

 

 当然、その場にいたソリテールの言葉もフリーレンはしっかりと拾い上げていた。【大丈夫よ、これからは私が一緒に居てあげる。ママになってあげるわ。ママって呼んでみて、さぁ】と。

 

「そっか、そっか。ママ ママ ママね~。初めてだよ…私をここまでコケにした魔族は」

 

 状況的にボンドルドの死を悟ったフリーレン。

 

 魔族絶対殺すウーマンの静かな怒りが、マハトとソリテールに向けられる。順番にあの世に送るべく、フリーレンはマハトとデンケンが戦う場へと向かう。

 

………

……

 

 フリーレンが到着した時には、デンケンとマハトの戦いは終局を迎えつつあった。

 

「デンケン様。どうやら私は貴方を侮っていたようです」

 

 フリーレンが開発した防護魔法は、黄金化を防ぐ物だ。黄金化した物質を戻すものではない。デンケンという戦力を失う前に彼に防護魔法を使う必要がある。大魔族を相手にするのに一級魔法使いという戦力は幾ら居ても良い。

 

「間に合わな……」

 

 マハトによって、黄金化される筈だったデンケン。だが、彼にも策があった。一級魔法使いになった事で手に入れた特権。ゼーリエが持つ魔法は、"呪い"ですら跳ね返す程の強力な物がある。過去に、ゼーリエはそれを使いマハトを殺す寸前まで追い込んだ。

 

 それが、デンケンの切り札である呪い返しの魔法(ミステイルジーラ)

 

 黄金化していくマハトは、ゼーリエとの戦いで使われた魔法を弟子であったデンケンが使うとは夢にも思っていなかった。強力無比であった魔法をそのまま自らで味わう事になる。

 

「…面白い。まさか、そう来るとは…」

 

「師が魔法を使う瞬間くらいわかる。たとえ魔力を感知できなかろうが、不可視の魔法だろうが。儂はお前の弟子としてどれだけお前を見てきたと思っている」

 

 自らの魔法で自滅して黄金化されるマハトを見て、フリーレンの口元が少し緩む。想像以上だ。上出来だと。間に合わないと思ったデンケンを生存させたまま、次のソリテール戦にいけるのだから、最高の結果だ。

 

 フリーレンは、一点集中の圧縮ゾルトラークをマハトに向けて構えた。

 

 パキパキと音を立て表面の黄金化が解除されていくマハト。マハトは、フリーレンを視認して直ぐに彼女を黄金化するが、防護魔法がそれを拒む。

 

魔族を殺す魔法(ゾルトラーク)。マハト、お前はいい魔族だったよ」

 

 マハトの左目を貫くフリーレンのゾルトラーク。黄金が解除された部位から、打ち抜き灰にしていく。対クヴァールに使ったのと同じメタ作戦を容赦なく決行する。

 

 死んだ魔族だけがいい魔族。それが、フリーレンの持論だ。

ネタが尽きてしまったので、どのようなお話を知りたいか読者様にお伺いできればと思っています。全て何話程度やるかも全く未定です。

  • 過去編(1000年前、初代ボンドルド)
  • 過去編(人類防衛ライン戦)
  • 過去編(50数年前、居候フリーレン)
  • 閑話(ゼーリエとプルシュカの文通)
  • 閑話(プルシュカと女神の魔法)
  • バカか、全部やれ
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