黎明のフリーレン   作:新グロモント

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38:溢れんばかりの魔法と祝福

 黄金郷マハトとソリテールが、フリーレン一行の手によって滅ぼされた。

 

 万物を黄金に変える魔法(デイーアゴルゼ)で黄金化された街も防護魔法を開発したフリーレンならばじきに解除可能だ。だが、解除する前にフリーレンはいくつかの問題を片付けておく必要がある。

 

 フリーレンに呼び出された、ボンドルド。呼び出された先の個室にはフリーレンが椅子に座って待っていた。

 

「私に何か言う事はないの?」

 

「フェルンさんとシュタルクさんの記憶を一部消した事は、申し訳ないと思います。今後の旅路を考えれば最適でした。それと、二人には精神魔法に対しての防御手段を学ばせた方が良いです」

 

 拘束魔法や精神魔法に対しての防御については、魔法使いとして基本中の基本。格下が格上魔法使いを倒す為の常套手段。その対策有無が生死を分ける。

 

 ボンドルドの問いに、フリーレンが不機嫌になる。

 

「……プルシュカが泣いてた。とても苦しそうな声だった」

 

「辛い思いをさせました。それについては、これからの働きで挽回します」

 

 ボンドルドは、仲間の記憶を消した事を責められると思っていた。

 

 もしかして、気が付いていなかったのに墓穴を掘ったかと考えるボンドルド。

 

 プルシュカの泣く声が遠くにいるフリーレンに聞こえていたと言う事は、他のことも聞かれている可能性は高い。

 

「いつか、言ってた。私に嘘をつかないって。五感、魔力探知の全てが貴方をボンドルドと正しく認識している。立ち振る舞いまで全て同じだと私も感じている。けど、違う。人間を知りたいと思った頃なら分からなかったと思う。答えて、貴方はボンドルドなの?」

 

 真剣なフリーレン。人間を知る旅の成果は確実に出てきた。今まで1000年間、気が付きもしなかったが今は違った。シュタルクやフェルンが気付かなかったボンドルドの違和感をフリーレンが気付く。

 

 ボンドルドとしては、嘘をつかないという約束を違えるつもりはない。鉄仮面を外し、素顔を晒した。その素顔は、フリーレンが55年前に見た素顔とは違っていた。そもそも、1000年前の素顔とも違うという事に今気が付く。

 

「どうですか、なかなかのイケメンでしょう。そんな目で見ないでください……分かりました、説明します。1000年前、ある一人の少年が居ました。その彼は、森の中で一人のエルフに出会う。悠久の時を生きるエルフにとっては短い時間だったでしょう。しかし、少年は違った。一人で長い時間過ごすのは寂しいものです。だから、少年はエルフと同じ途を歩めるように努力しました」

 

「……ばかじゃない。なんで、そんな頑張ったの」

 

「一目惚れです」

 

 フリーレンとしては、理解できない。彼女の人生からしたら僅かな期間一緒に過ごした人間がここまでやるのかと。だが、一目惚れと言われて気分が悪い女性は少ない。おもわず、むふーというドヤ顔をしたフリーレン。

 

「やっぱり、人間って愛があったら不死身? 愛があれば不滅とかいってたよね。何その魔法?知らないんだけど」

 

「地獄耳ですね。人間の寿命など、長くはありません。だから、私は一つの方法を考えました。フリーレンさんには内緒で、自分を他者に植え付ける魔法をゼーリエ様とフランメ様の力を借りて開発しました。それが、精神隷属機(ゾアホリック)です」

 

 優秀なフリーレンは、ここまで聞けば全貌を理解する。芋づる式でアンブラハンズ達の正体、記憶の連続性を保つ方法。だからこそ、その異常性が理解できてしまう。他人に自分を植え付ける魔法……簡単に思えるが、それがどれほどの苦痛が生じるのか。年を重ねるほど引き継ぐ経験と記憶が多くなり、想像を絶する苦痛が待っている。

 

「その魔法を使い続けると、いつか死ぬよ。プルシュカを悲しませないで」

 

「フリーレンさんは、悲しんでくれないのですか。この程度では死にません。私は、ボンドルドですから」

 

 エルフの寿命は不明だ。長命種だからといって、限界はあると信じたいボンドルド。だが、ゼーリエみたいな神話の時代から生きているエルフもいる。後、2000年は生きるつもりで頑張る予定だ。

 

「そっか、人間って凄い。しかし、そうなると、プルシュカのパパは卒業だね。ママの出番が近かったりするのかな。やっぱり、血の繋がった家族って大事だと思う」

 

「血は薄いですが、私の娘です。家族とは、血の繋がりのみをいうのでしょうか。私はそうは考えていません。慈しみ合う心が人を家族たらしめるのです。血はその助けに過ぎません。愛、愛ですよ、フリーレンさん」

 

 納得するフリーレン。プルシュカのパパは、ボンドルドである事に変わりはない。

 

「そうね。きっと、プルシュカを産んだ母親も外見じゃなく中身を見る。人を外見で判断しては駄目だ。ありがとう、これからもよろしくボンドルド。スッキリした。最後に、精神防御を解いたから、この部屋での記憶を消しておいて」

 

「どうか、フリーレンさんの旅路に溢れんばかりの魔法と祝福を。ti amo――"数分間の記憶を消す魔法(オブリビエイト)"」

 

 フリーレンには、分からない言語。最後の一言がなんて言ったのか、彼女は永遠に知る事はない。

 

………

……

 

 フリーレンは、柔らかい感触と良い匂いを感じた。ゆっくり目を開けてみると、天井が見える。但し、視界の1/3は謎の膨らみで見えない。

 

「フリーレンお姉ちゃんが、やっと起きた!! 駄目だよ、眠たいならベッドで寝ないと」

 

「プルシュカの膝の上。記憶が無いのは、そう言うこと」

 

 ソファーで横になりプルシュカに膝枕されているフリーレン。

 

 争った形跡はない。時間もそれ程経っていない。フリーレンは、自分が納得して選んだ道が今であると理解した。

 

 フリーレンが眼前にある謎の膨らみに手を伸ばして揉んだ。フェルンほどではないが、確かなサイズがある。フリーレンの行動に対して勝ち誇った顔のプルシュカがいた。

 

「むふ~。ママの胸が恋しいのかな。ペチャパイのフリーレンちゃんは」

 

「よしきた、その喧嘩買った。表に出ろ」

 

 フリーレンとプルシュカの喧嘩と言う名の指導試合が始まる。

 

 プルシュカは、ソリテールが残したマハト製の黄金を操る方法と魔力をぶつける方法を模倣しており想像以上に善戦する。だが、試合中に黄金解析が終わり劣勢に立たされボコボコにされ実力差を実感した。

 

ネタが尽きてしまったので、どのようなお話を知りたいか読者様にお伺いできればと思っています。全て何話程度やるかも全く未定です。

  • 過去編(1000年前、初代ボンドルド)
  • 過去編(人類防衛ライン戦)
  • 過去編(50数年前、居候フリーレン)
  • 閑話(ゼーリエとプルシュカの文通)
  • 閑話(プルシュカと女神の魔法)
  • バカか、全部やれ
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