黎明のフリーレン   作:新グロモント

40 / 147
40:世界一

 北部高原エルンスト地方。

 

 帝国領付近にある農村で一泊お世話になったフリーレン一行。農村で畑を荒らす魔物を討伐する事になる。本来、農村を守るのは国の仕事だ。ここ北部高原ではノルム騎士団の支配下だが、帝国領が近い緩衝地帯であり、派遣が難しい状況。

 

 そんなわけで、腕に自信があるフリーレン達にお鉢が回る。その報酬は魔道書。

 

 宿での食事中、フェルンが遂に疑問に思っていた事を聞いてしまう。

 

「プルシュカちゃんって、エルフですよね?」

 

「そうだよ、プルシュカはエルフだよ。この耳を見て分からないかな~」

 

 全員が何を当たり前の事を言っていると感じた。エルフの絶対数が少ない為、比較対象が少ない事実はある。だが、フェルンは、ゼーリエ、フリーレン、プルシュカ、クラフトといった現存する数少ないエルフと関わりを持った人物だ。見分けが付かないなどありえない。

 

「でも、ボンドルド様って人間ですよね?ハーフエルフだから、フリーレン様より……その~、成長しているのかなって」

 

「そっか、今の時代の人って知らないんだっけ。ボンドルドが説明してね。パパなんだから」

 

 プルシュカは、ハーフではない。完全なエルフだ。

 

 その理由は、1000年前を知る者で無ければ分からない。

 

「一言で言えば、エルフが産んだ子は必ずエルフになります。逆にエルフの男性が女性を妊娠させてもその子供は必ずエルフになります。この事が原因で魔王がエルフを殺せと1000年前に命じました。エルフの遺伝子が強すぎた事が原因です」

 

「そう言うことだよ。前にも言ったけど、エルフは恋愛感情、生殖本能が欠如しているからあんまり増えなかったけどね。でも、長命種であるから魔力が高い者が多かった。魔王は、人類が皆エルフになることを警戒したんじゃないかな」

 

 知られざるエルフの生態。

 

 美男美女揃いの不老長寿種族に恋愛感情や生殖本能まで備わっていたら、今頃全人類はエルフしか残っていなかった。しかも、1000年以上生きるとなれば、魔族も危機感を感じる。魔王が率先して数を減らすのも当然の流れだった。

 

 いつ、恋愛感情や生殖本能が優れたエルフが誕生するか気が気でなかっただろう。

 

「それ、本当なんですか?ボンドルド様」

 

「本当ですよ、フェルンさん。プルシュカがその証拠です」

 

「エルフの遺伝子は、世界一!!」

 

 どっかの誰かに似ているプルシュカが、自身の遺伝子を自慢する。

 

 彼女は、遺伝子的には完全なエルフ。だが、間違いなく父親の血も引いている。そうでなければ、主に胸部装甲に違いが出る理由が説明できない。

 

「そう言う背景もあって、当時の人類とエルフはあまり仲が良くなかった。魔王軍から助けてもくれなかった。……暗い話はお終い。じゃあ、仕事に行こうか。畑を荒らす謎の魔物を倒しに」

 

「また、竜なのかな。頭から囓られるのは、もう嫌なんだけど」

 

「……本当に何で生きているんですか」

 

 シュタルクは、ここに来るまで何度も竜に丸呑みにされかけた。だが、竜に囓られたくらいでは無傷の耐久力で、フェルンから引かれる。

 

………

……

 

 荒らされていない畑の前に隠れるフリーレン一行。寒い夜空の元で待機して、相手が来るのを待っていた。

 

「フリーレン様。魔力探知に反応が…」

 

 フリーレンとボンドルドも魔力探知で気が付く。魔物にしては、少しおかしな反応であり、違うと二人は結論づける。

 

 ノロリノロリと森の方から籠を背負った蛇みたいな物体が現れる。カマキリのような腕が何本も生えており、その腕を使って畑の野菜を切り裂いていた。切り裂かれた野菜は、背負っている籠に投げ込むという謎の行動を見せる。

 

「統一帝国時代のゴーレムだ」

 

「統一帝国って確か1000年以上前に大陸全土を支配していた大帝国だろ…未だに動けるのかよ」

 

 シュタルクが博識になりつつある。これも、勉強の成果が出てきた証拠だ。バカではフェルンの怒りを買うので、恋愛だけでなく歴史の勉強もバッチリだ。

 

「大魔法使いフランメによる魔法全盛期の時代の産物だよ。軍用だったら、かなり厄介だった」

 

「懐かしい品です。コレほどの美品が、まだ存在していたとは……発見者が所有権を主張しても問題ありませんね」

 

 ボンドルドとフリーレンがゴーレムの前に出た。だが、ゴーレムは攻撃をしない。このゴーレムは、調理用ゴーレムでありフランメが平和利用の為、開発に尽力した。このゴーレムは、当時画期的で一時流行るが……料理しか出来ない事とスペースを取る事で失敗作と呼ばれる悲しい商品。

 

【ゴチュウモンハ?】

 

「Administrator権限。特権ユーザー、ボンドルド。機能停止」

 

 ゴーレムが機能を停止した。

 

 大魔法使いフランメが関わっていたのだから、弟子であるボンドルドも関わっている。万が一に備えての停止手段を持っておくのは危機感がある人間としては当然だ。

 

 翌日、機能停止した調理用ゴーレムをボンドルドが買い取る方向で農村と話がつく。被害が補填された農村としては、有り難い取引だった。

 




エルフが魔王に抹殺命令が出された原因を独自設定しました。

ネタが尽きてしまったので、どのようなお話を知りたいか読者様にお伺いできればと思っています。全て何話程度やるかも全く未定です。

  • 過去編(1000年前、初代ボンドルド)
  • 過去編(人類防衛ライン戦)
  • 過去編(50数年前、居候フリーレン)
  • 閑話(ゼーリエとプルシュカの文通)
  • 閑話(プルシュカと女神の魔法)
  • バカか、全部やれ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。