手始めに過去編の投稿を始めます。
※独自解釈による過去編になるので、原作と乖離していも誤差だと思って下さい。
「ボンドルド。それが貴方の名前よ」
その言葉を赤子が初めて聞いたとき、名付けられた者は思った。これは、死んだと。天寿を全うして死んだと思ったら、平成のトラウマ製造器として名高いボンドルドと言う名の子供に生まれ変わっていた気持ちなど誰にも理解される事は無い。
せめて、五歳児くらいになった時に記憶が目覚めて転生だと理解できれば幸せだったが……ボンドルドは、幼少期を地獄だと感じる。古代ローマだと思わせるような生活習慣、恐ろしい衛生状況、子供の死亡率は非常に高い。
そんな中、比較的裕福な家に生まれた事だけが幸運だと言えた。
「また、近隣の森で魔物が出たんですって」
「魔族の目撃情報もあちこちである。この街もいつまで安全なのか」
両親の会話内容が聞こえたが、ボンドルドには何も出来ない。赤子の仕事は寝ることだけ。古代ローマ的な生活、魔物、魔族……キーワードだけを頑張って拾い上げながら、ここが何処なのか必死に考えている。
だが、多様性の文化があった日本。その程度のキーワードを持つ作品など掃いて捨てるほどある。オリジナルの世界という可能性もあり不安で一日20時間しか眠れなかった。
………
……
…
寝る子は育つ。ボンドルドは、五歳になり多少の自由を得る事に成功する。だが、ボンドルドが知る自由とは、掛け離れている。親同伴での自由行動。行きたい場所に連れてってくれるというだけの事だ。
「本が読みたい」
ここが何処であれ、過去からの知識が残されている書物ならその手がかりになるとボンドルドは信じていた。
「うん?魔道書が読みたいの?もう、エルフ語を学ぶの。やっぱり、私の子ね」
「違うよ、歴史書を…うん?魔道書?エルフ語?」
産まれて五年間、全く聞いた事が無い単語がボンドルド母の口から飛び出した。
毎日の生活だけで手一杯であり、一般人は学問など学ばない。読み書きすら出来ないのは当たり前。認字率など10%もない。それがこの世界の常識だ。上位10%に入っていた母親を持つボンドルドは、確実に上級国民の一人。
だが、古代ローマ的な時代においての上位10%というだけだ。ボンドルドの家も生活が楽というわけでは無い。
「でも、ママはお勉強より身体を鍛えた方がいいと思うわ。ほら、あの子達を見て。同じ位の子供がいる」
「こっわ、何あれ!? 自分より大きな岩を背負って走り回ってる!? あいつ等、本当に人間かよ」
ボンドルド母が指で示した先には、5歳児くらいな子供が岩を背負って走り回っていた。明らかに同年代の子供が持てる重量ではない。古代ローマ風ドラゴンボールかと思わせる光景だ。虐待かと疑いたくなる。
「そお?パパも子供の頃はあのくらいの石を担いで走り回ってたわ。貴方も出来る。パパとママの子供だから」
「これ、スーパーマサラ人ってことか。魔物は、ポケモン。魔族は、古代トレーナーって線がワンチャンあるな。だが、魔道書とエルフ語ってどんな要素なんだ。魔道書は、古代ポケモンボール、エルフ語は何の隠語なんだ」
悩む息子を見るボンドルド母。手の掛からない子供だったが、それはそれで可愛らしいと思っていた。
「エルフ語はね、魔道書に書かれている言葉の事よ。エルフの人達が使う言葉で、魔法使いの人は皆それを覚えると聞いたわ。この町には、魔法使いはいないけど、何時か覚える機会があれば良いわね。ボンドルドは、頭が良いからきっと大丈夫よ」
「頑張るね、ママ」
母親に連れられて街を回り、ボンドルドは気が付いた。想像以上に整備された街並み。古代ローマとは、これほどまでに民度が高いのかと少し感心する。目新しい物に興味が尽きないボンドルド。
街には少ないながらドワーフもおり、古代ポケモン世界という線が消えた。
暗黒竜の角が希少品として売り出されており、マジモンの化け物が生息する世界だとしる。
世界地図らしき物で、どうみても島らしき全貌で統一帝国とかいう胡散臭い国家がある事を知る。
ボンドルドは、数少ない情報を集めた結果……推論を立てた。
「ここ、ロードス島戦記だよな。あんまり覚えていないけど、その特徴が大体似ている。島国くさいし、魔法があるし、竜がいるし、化け物と普通に戦える強化人間みたいな子供達もいる。メイドインアビスでなかっただけ、不幸中の幸いだ」
化け物みたいな子供達は、環境に適用した結果だ。魔法使いは、極めて一部の者しかいない。だから、身体を鍛えて魔物を倒す必要がある。筋肉は裏切らないを素で行う人類が産まれるのは当然。鍛え抜かれた肉体が、魔物や魔族に立ち向かい生存競争を勝ち抜いていた。
極まった戦士達は、魔族が相手でも魔法を使われる前に殺す。殺して死ぬのだから、恐くない。何処に出しても恥ずかしくない薩摩武士達。街で鍛え抜かれた戦士達は、仲間の屍を超えて本気で魔族の首すら切り落とす。
当然のことだが、ボンドルドも今や薩摩武士育成コースに入れられる。弱い事は罪だ。弱者は狩られるだけの世界。魔法という超常が存在する世界だが、それは一部の者だけ。
「貴様ら雌豚が俺の訓練に生き残れたら各人が兵器となる。魔族との戦争に祈りをささげる死の司祭だ。その日まではウジ虫だ!大陸上で最下等の生命体だ貴様らは人間ではない両生動物のクソをかき集めた値打ちしかない!」
「「「「今日もご指導ありがとうございます」」」」
これほどの罵倒を受けても訓練兵達は決して逆らわない。上官に勝てる未来が浮かばないからだ。魔族将軍とも戦って生き残っている歴戦の戦士であり、人類の上澄みの一人。
ボンドルドは、僧侶適性が高かったが……身体が資本であり、まずは肉体改造を強いられる。
………
……
…
新兵を卒業し、何年か過ごしたボンドルド。
女神様へ祈りを捧げ、訓練に明け暮れた彼に転機が訪れる。街の顔役から、一つの依頼。ボンドルドの職業は、傭兵だ。一番安定した職業であり、食べるのに困ることはない。
「隣町で魔物に襲われ負傷した者が多数いる。お前は、女神様の魔法が使えるから今すぐに現地にいって恩を売ってこい」
「分かりました。では、数日で戻ります」
回復魔法は、重宝されており、安定した収入と地位を獲得していた。生活のため、生きるため、ボンドルドは泣きながらこの世界で毎日を送っている。
だが、物事は順調に進まない。
隣町に向かう道中、魔物と遭遇し全力逃亡をした結果、迷子になる。魔物と一騎打ちなど狂気の沙汰。大人数で囲んで殺すのがセオリーだ。単独で出会った場合は、逃亡する事が推奨される。
「――迷いました。食料も尽きてしまう。女神様の魔法で、石をパンに変える事は不可能みたいです」
ボンドルドは、空腹のあまり石を握って女神様にパンにしてくれと願う。だが、その願いは女神の力を超えている。遭難したときの心得などボンドルドは知らない。
ガサガサと、物音を聞いたボンドルド。人里離れた山奥で出会う存在と言えば、獣か魔物。だが、背に腹は代えられないと思いボンドルドは音の方を確認した。
茂みをかき分けて抜けた先に一人のエルフが居る。銀髪の幼さが残る少女。ぺらぺらの薄着で見てはいけない物が見えそうなレベル。何より、顔が良かった。街にいる女性の顔が平安時代美人だとすると、銀髪幼女のエルフの顔は令和時代でトップアイドル。
可憐で目を奪われてしまう、ボンドルド。
だが、ボンドルドは、その顔に見覚えがあった。ここが何処であるか、その時初めて理解する。
「あれ?ロードス島じゃなくて、フリーレンじゃない?ここ」
「最近、人とは関わりを持った記憶はないけど……だれ?」
森の中でいきなり名前を呼ばれたフリーレンは、少し混乱する。知らない人から名前を呼ばれた。フリーレンは、ボンドルドの魔力を確認したが警戒するに値しないレベル。拭けば消し飛ぶ存在だ。ボンドルドが100人いてもフリーレンには届かない。
ボンドルドは、ここが分岐点だと理解する。目の前の彼女が、ボンドルドが知る想像通りの人物なら、逃がす手は無い。このくそったれな世界で生き残る為には、彼女……フリーレンの力が必要だと。
「私は、ボンドルド。あぁ、逃げないでください。少しだけ、貴方とお話をさせてください」
「興味がない。私は忙しいんだ」
絶好の機会は、二度と来ない。20年近く前の記憶を思い出しつつ、彼女の興味を引く話題を出す必要があった。
「貴方の師である大魔法使いフラダンスさんに、お取り次ぎ頂きたい」
「フラダンス?もしかして、フランメのこと?なんで知ってるの?
生きるのに必死過ぎて、20年以上前の漫画の内容などほぼ覚えていない。紙の記憶媒体は貴重品で、漫画の情報を色々書き出す無駄遣いはできない。だから、二文字もあっていたのだから上出来だ。
「誤差の範囲です。紹介してくれたら、街にある魔道書を探して一冊差し上げます」
「ほら、早く行くよ」
ボンドルドは街に魔道書があるかどうかなど知らない。この場を乗り切る事に全力をかける。魔道書など、後で探せばどうとでもなる。
フリーレンは、ボンドルドをフランメが居る場所に連れて帰る。実に人柄が良さそうな美女のフランメ。彼女がボンドルドを見た瞬間、苦虫を噛み潰したような顔をした。美人が台無しな顔になり、フリーレンも彼女のそんな顔は見たことが無い。
「フリーレン。元いた場所に捨ててきな」
「人の顔を見るなり、酷くはありませんか。大魔法使いフランメ様。どうか、私を弟子にしてください。非才の身ですが、女神の魔法を修めております。なんでもします」
絶対に逃がさない。この腐った時代に見つけ出した希望の光。どのような犠牲を払ってもしがみついてやるとボンドルドは意気込んでいる。
「
「それが人間。必要に迫られた状況なら、何でもする。私は、私利私欲の為にしか行動しません。大多数の幸福より少数の幸せを選びます」
「凄い、フランメが引いてるよ」
1000年先を見通して準備ができるフランメ。この時、ボンドルドという特級呪物に匹敵する存在を前に、未来像が見えていた。遠い未来の為、魔王を滅ぼす為、人類の生存の為、絶滅危惧種のエルフの為、魔法を広く普及させる為……彼女は清濁併せ呑む事が出来る歴史に名を残す大魔法使いフランメだ。
魔族を苦しめるか、魔族をとてつもなく苦しめるか。その選択肢でフランメは後者を取る。
「いいだろう、面倒を見てやるボンドルド」
魔族によって全てを失い、魔族を恨む大魔法使いフランメ。遠い未来で魔族スレイヤーとなる二人の弟子を育てる。
新刊発売までゆっくり投稿。
但し、10/31までのアンケート集計は続けます!!
もしかしたら、過去編の初代ボンドルド編だけになるかもしれないからね^-^
本作品の今後の展開について、アンケートのご協力のお願い。どんな話で続けようか、読者様のご希望を窺えればと思っています。
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女神の石碑編normal ※週刊誌+独自
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女神の石碑編another(原作世界線)