黎明のフリーレン   作:新グロモント

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閑話:過去編(1000年前、初代ボンドルド)②

 ボンドルドが、今まで築いた全てを捨てフランメに弟子入りし10年が経過した。彼の両親は、既に他界しており天涯孤独。即決即断即行動の身の軽さは、独身貴族だからこそ出来る。隣町の治療など既に知ったことではなかった。

 

 行方不明の一人二人、不思議じゃ無い世の中だ。

 

 ボンドルドが弟子入りをした事をフリーレンは不思議に思っていた。唯の人間。何処にでもいるような平凡な存在。エルフと違って魔力総量も低い。それどころか、今まで魔法の研鑽を積んでいない。

 

「人間の寿命を考えれば、大成しないよ。師匠(せんせい)のような例外じゃないんだ」

 

「分かっている。だが、人間の意思の力は凄い物だぞ。いずれ、お前にも分かる時がくる」

 

 フリーレンは、庭先で魔力操作の訓練をしているボンドルドを見ていた。魔力総量ではどうしようもない人間だからこそ、コントロール、操作などで相手を出し抜こうとする。間違った鍛え方では無い。だが、年数を重ねた魔族の前にはボンドルド程度の魔力では、その防御を突破する事は不可能。

 

「あの魔力では、攻撃魔法を使っても意味ない」

 

「分かっているさ。ボンドルドは、フリーレンや私とは違う。話し合った結果、ボンドルドには座学を中心に教えている。私からボンドルドに教える魔法は、精神魔法(数分間の記憶を消す魔法)一つだけだ……尤も、これから作るけどね」

 

 興味が無いフリーレン。精神魔法なんて格下が格上を倒す為に使う欺瞞の方法。圧倒的な魔力と精神防壁があれば、対処可能だ。ボンドルドが幾ら頑張ってもフリーレンのような規格外を前にしては、小手先レベルではどうしようもない。

 

 だが、その魔法を敵に使うならばという前提が付く。ボンドルドは、フランメに魔法を習い始めた時より考えていた。今の自分では、死んでも届かない高みに居るフリーレンに並び立つ方法を。足りないのは気合いでも根性でもなく、【寿命】だ。

 

「常人は10年同じ訓練したら飽きるのに頑張るね」

 

「それ、フリーレンのせいだ。五年前にボンドルドから告白されて指輪を贈られただろう。「私より弱い人に興味はない」とか、無茶苦茶言うからだ。一緒に修行を始めて五年。少しは考えてやれと言いたいが、ばっさり即答して、指輪を捨てるとか……見ていたコッチが泣けてきた」

 

 全ては大魔法使いフランメの手の上。

 

 人は、目的が無ければ走り続けられない。ボンドルドはフリーレンに対して明確な好意があったのはフランメの目からも分かっていた。その事がボンドルドの未来に強く影響する事も。

 

 フランメも超えられない寿命という壁。それを超越する究極の凡人ボンドルドがフランメの手で完成しつつある。フランメは、自分の手で魔族を根絶やしに出来なくても良いと思っている。自分以外の第三者の手でそれが遠い未来で達成すれば良い。

 

「見てたんだ。悪趣味」

 

「今はどうか分からないが、未来は誰にも分からない。フリーレンが、ボンドルドに負ける未来もあるかもしれない」

 

 フランメの言葉を鼻で笑うフリーレン。あと数十年で死ぬであろうボンドルドを見て、天地がひっくり返っても負ける事はないと彼女は思っていた。

 

………

……

 

 フランメの元で10年間修行したボンドルド。ある一つの魔法について、術式の基本理論を考えついた。寿命を超越するのは、早々に諦めて別方向へシフトする。ただ、その新しい方法も一つだけ問題がある。

 

 魔法開発にあたり、何年かかるか未知数だ。魔法のプロフェッショナル達の協力なくて、不可能だと察する。ボンドルドは、その解決をするためフランメと話し合いをしていた。

 

 改めてフランメの顔をよく確認したボンドルド。違和感に気が付く。

 

「フランメ様。弟子になってから10年程度経ちましたが……お会いした頃と変わらない気がします。不老不死の魔法が既にあるのでしたら教えて頂きたいのです」

 

「ボンドルド、止めて差し上げろ。それは幻覚魔法を使って若く見せている。魔法の研鑽が足りてないよ」

 

 当然、ぶっとばされたフリーレン。フランメは見た目に反して体育会系だ。

 

 女性に年齢の話は、どの時代でも駄目だと痛感させられていた。

 

「さて、フリーレンはしばらく起きないから言ってみな。考えた不老不死の基礎理論を」

 

「分かりました。まず、寿命を人間の身で超越するのは諦めました。だから、考え方を変えました。別に、今の私が未来でフリーレンさんの横に立っている必要はありません。私と連続した記憶を持つ者を作る。私と同じ記憶を持つ者が居れば、それは私であると判断できます。いうならば、"自分を他人に植え付ける魔法"。その開発を手伝って頂けませんか」

 

 発想の転換。有史以来、魔法使い達は寿命を超越しようと様々な研究をしてきた。だが、魔法使いの頂きへと手が届く可能性がある者達でも寿命には勝てずに、その命を落としていった。その結果、魔法使いの業界では、寿命を超える事が出来ないと結論づけられている。

 

 だからこそ、ボンドルドの革新的な考えには、フランメも感心する。

 

「大魔法使いとしての見解でいえば、実現出来る。だが、師匠として一言いうなら……ボンドルドは、それでいいのか。お前は死ぬぞ」

 

「時間がありません。基礎理論を元に魔法が完成すれば、後々の私が改良を加え素晴らしい魔法へと昇華します。知っていますか、愛という感情は全てを凌駕する。最後に、フリーレンさんの横に立っているのが今の私である必要はありません。なぜなら、彼女の横に立つのもボンドルドである私だからです」

 

 フランメには見えていた1000年後の未来で苦しむ魔族達。ボンドルド率いる謎の軍団が魔族達を蹴散らしていく光景が鮮明に。

 

 常人が努力すれば、その域にまで到達する。自分より弱い目の前の弟子が、遠い未来で魔族を蹴散らす。コレほど痛快な事はない。

 

「わかった。私だけより、師匠(せんせい)にも相談した方が完成度が高まる。フリーレンと一緒にボンドルドも紹介する。三日後までに師匠(せんせい)の興味が引けるようにレポートを纏めておけ」

 

「必ず!! フランメ様の師匠に気に入られるレポートを用意します」

 

 ボンドルドに残された寿命は長くはない。この時代の人間など長寿である方が珍しい。長く見積もっても残り20年程度だ。それまでの間に、魔法の開発と平行して引き継ぎ先も作る必要がある。

 




いつまでも若いゼーリエ様にお会いしに行かないと!
魔法の発展に貢献する人は多分すきなはず。

本作品の今後の展開について、アンケートのご協力のお願い。どんな話で続けようか、読者様のご希望を窺えればと思っています。

  • 女神の石碑編normal ※週刊誌+独自
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