フランメは、弟子達を連れて師匠であるゼーリエと顔合わせをする。ゼーリエは、神話の時代から生き続けているエルフであり、生きる魔道書と呼ばれるほどの大魔法使い。古今東西全ての魔法を習得していると言われている。
フランメは幼い時にゼーリエに才能を見いだされ、育てられた。フランメの才覚は、ゼーリエが見込んだ通りである歴史に名を残す程だ。
だからこそ、ゼーリエも彼女が連れてくるという弟子達に期待をしていた。自らの眼前に跪く三つの人影。弟子が大好きなゼーリエはご機嫌だ。
「時の流れというものは早いものだな。気まぐれで育てた弟子がもう孫弟子を連れてきおった」
「フリーレンとボンドルドだ」
フランメが一人ずつ紹介した。だが、ゼーリエの興味は、フリーレンにしかない。同族であり、秘める魔力がハッキリと分かったからだ。
ゼーリエがフリーレンの前にやってくる。
「強いな。気に入った。望む魔法を言うがいい。一つだけ授けてやる。私は、今までの歴史で書かれたほぼ全ての魔道書の知識を持っている」
「……望む魔法?」
ゼーリエが座る椅子の背後には、山積みにされた魔道書が散乱していた。ボンドルドは、それを見て片付けたい衝動にかられる。どうして、この時代の人達は物を整理整頓しない。書物ならアルファベット順に並べるとか、著者順にならべるなど色々とある。あんな雑な扱いでは、書物の寿命を減らしてしまう。
「魔法使いというものは人生を懸けて望んだ魔法を求めるものだ。それを言え。私が授けてやる」
「いらない。魔法は、探し求めている時が一番楽しいんだよ」
ボンドルドは、ゼーリエとフリーレンの二人の言葉に酷く共感した。
魔法使いは、人生を懸けて望んだ魔法を求める。魔法は、探し求めているときが一番楽しいんだよ。両者の言葉は、実に素晴らしい。だから、ボンドルドはこの場にいる。
しかし、ゼーリエはフリーレンの回答は好ましくないと判断する。聞く前から分かっていた事だが、わざと確認するあたり性格が悪い。
「フランメ、やはり駄目だこの子は。野心が足らん。燃え滾るような野心が」
フリーレンほどの才覚ならば、時間をかければ望む魔法に辿り着ける。悠久の時を生きるエルフだ。時間だけはいくらでもある。
その後、フランメがフリーレンの事をフォローした。フリーレンは、魔王を倒せる存在。平和な時代の魔法使いだと。その紹介を終えてフランメが気を遣いフリーレンを先に退室させる。
「凡人。貴様のような人間が、何故フランメの弟子をやっている。フリーレンの方が遙か高みにいる。だが、野心という点については、ボンドルドの方がマシだ。良い目だ。何かを求める為に犠牲を厭わない狂気の目」
「
不老不死などエルフにしてみれば興味が無い分野だ。だが、それに関する魔法は、ゼーリエとて所有していないのも事実。過去、誰もその魔法開発に成功していない。フランメが態々それを伝えてくる事にゼーリエもまさかと思った。
魔法とは、常に天才だけが生み出す物ではない。凡人がふいに思いついたアイディアが開発の決め手になった魔法など沢山ある。
「面白い。私が興味を引くような話なら協力してやらんこともない。資料を見せてみろ」
「こちらに、ゼーリエ様」
ボンドルドが、基本理論を纏めた資料をゼーリエに渡した。その資料は、フランメのチェック済み資料で、最低限の体裁は整っている。
ペラペラと用意した資料をゼーリエが黙読する。今まで考えつかなかった視点でのアプローチ。どのような育ちをすれば、このような革新的なアイディアが出てくるのだろうかとゼーリエも思った。
「よく出来た理論だが、欠陥魔法だ。今までの常識を覆す新しいアプローチである事は褒めてやる。貴様が第一人者だ。だから、貴様を凡人だと思ったが訂正しよう、狂人だ。この魔法は使用者の生命の事を何も考えていない。使えば確実にお前は死ぬ。精神を植え付けた肉体がどうなるかも未知数だ。なにが、お前をそこまでかき立てる」
「フリーレンさんの横に並び立つ為に。エルフの女性に一目惚れしました。しかし、彼女に「私より弱い人に興味はない」と、鼻であしらわれました。だから、私は女神様に誓いました。必ず、この愛の試練を乗り越えてみせると」
「フランメ、こいつも駄目だ。こんなもの愛の試練などではない。自殺行為だ」
「魔法とは、イメージが大事だと伺いました。私は既に、自らの精神を他者に植え付ける確固たるイメージが出来ています。私が、ボンドルドで有る限り、必ず成し遂げられます。どうか、ゼーリエ様の知見を貸してください。この誰も開発に成功していない不老不死の魔法にゼーリエ様とフランメ様の名前を刻ませて欲しいのです」
弟子大好きなゼーリエ。フランメとの共同制作の魔法。誰も開発出来ていない魔法。神話の時代から生きてきたゼーリエが気持ちよく開発出来る状況を作る事こそ、ボンドルドの役目。
この時、優秀過ぎたゼーリエは、頭の中で既にボンドルドから見せられた基礎理論を元に魔法式などの組み立てを始めていた。だからこそ、分かってしまう。コレは実現出来る。基礎理論の開発者ボンドルド、術式構築にフランメ、アドバイザーにゼーリエ。この面子がいれば、数年で出来ると言い切れる。
「手伝うメリットがない」
「私が、今後開発する全ての魔法をゼーリエ様に献上します。古今東西の魔法はあれど、将来作られる魔法までは無いはずです」
ゼーリエにとって、数年間、魔法開発に力を貸すなど刹那の時間だ。それで、今後ボンドルドから新しい魔法が献上されるのならば趣味も満たせるし悪くない取引だと考えた。
「いいだろう、人間の可能性を見るにも楽しそうだ」
「ありがとうございます、ゼーリエ様」
こうして、ゼーリエ、フランメ、ボンドルドの
………
……
…
ボンドルドが共同開発を初めて3年で魔法が完成した。試行錯誤した結果、現時点でこれ以上の出来はないと言うレベルに達している。
だが、魔法の性質上、テストできていない。一発本番の命懸け。
だからこそボンドルドの準備にも余念が無い。フランメの元で修行をしつつ魔族のせいで家族を失った者達を保護していた。その中から、資質が高い人間と子供を作り一定年齢まで育て、一番有能な者を選出する。
ボンドルドは、フランメに書き置きを残し謎の失踪。その置き手紙には、10年経って戻らなければ死んだと思ってくださいとだけ書かれている。フランメは、10年ってエルフの感覚でものを言うんじゃないと思わず手紙を破り捨てたくなる。
「そんなわけで肉体が育つ10年間をここで匿ってください。ゼーリエ様」
「対価は?」
「世界初の不老不死を実現したこの身体で払います。後は、身の回りのお世話をさせて頂きます」
「人間とは、面白い。暇つぶし程度にはなるな」
フリーレンとの共同生活より先にゼーリエとの共同生活を実現してしまう。
ふぅ~、初代ボンドルド編はこんな感じです!!
二代目以降で徐々に魔法に改良を加えたり、コピー元が死なないような工夫がされていく。経験の引き継ぎも徐々に開発されていきます。
まずは、肉体の乗り換えが最優先。
次の閑話は、過去編(人類防衛ライン戦)を予定しております。
時系列的にやるのが良いかと思っております。
本作品の今後の展開について、アンケートのご協力のお願い。どんな話で続けようか、読者様のご希望を窺えればと思っています。
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女神の石碑編normal ※週刊誌+独自
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女神の石碑編another(原作世界線)