北側諸国グラナト伯爵領。
今現在フリーレン一行は、厳重警戒中の町中を散策していた。長い旅路である為、必需品の調達は必須事項。各位がそれぞれ担当を受け持って、調達に当たる。
「パパ、甘い物が食べたい。プリンがいいな」
「仕方がありませんね、プルシュカ。ですが、旅路で長期保存出来ませんので、本日のおやつで我慢しましょうね。このあたりで、皆様のご希望を叶えられるお店は……フリーレンさんは、 メルクーアプリンで宜しいですか」
「そんなにわかりやすいかな?――あ、魔族だ」
ボンドルドが先頭に立ち、近場の甘味処へと向かった矢先で魔族三人を町中で発見してしまう。恐ろしい事に、平然と身なりの良い人間と会話しており、何かの間違いでは無いかと思ってしまうフリーレンとボンドルド。
だが、歴戦の二人の行動は早い。
ボンドルドが瞬時に魔族達の上を取る。
「
ボンドルドの左腕から無数の触手のような物が飛び出した。それが檻となり対象の逃げ場を塞ぐ。そして、閉じろというキーワードと同時に触手が一瞬で縮まり対象達を床に押さえつけた。
当然、このような魔法である為、範囲内にいれば人間も一緒に巻き込む事になる。だが、死にはしない。この魔法は、拘束に重点を置いており鍛えた人間ならば数本骨を折る程度で済む。
「き、貴様はボンドルド!?」
「我々を嵌めたな、人間」
あまりの出来事に理解が追いつかないグラナト伯爵。彼は、魔族との和睦のため、嫌々ながら使者を受け入れた。そして、対談のため屋敷に向かう最中であったのだ。本当に、今回の出来事には関与していない。
だからこそ、魔族達も咄嗟に対応できなかった。
人間達に一切の不審な行動がなかったからだ。
本来なら和睦の使者に対して、このような行動は大問題だ。それこそ、直ぐにでも過ちを認めて当事者達を処罰して、体裁を保つ必要がある。だが、事を起こしたのが北側諸国の英雄だ。
「おやおやおや、どこかで見た顔かと思えば七崩賢アウラさんの所の配下ですね。フリーレンさん、これ以外は処理して構いません。そろそろ、交換したかった頃合いでしたから」
「ま、待ってくれ黎明卿ボンドルド様。一応彼等は、和睦の使者としてこの場に来ている。どうか、このグラナトの顔に免じて、魔族達を離してくれないか」
「そいつ等が本当に和睦に来たかをボンドルドと一緒に尋問すれば分かるよ。フェルン、シュタルク。なれておく必要があるから、魔族二人を殺しなさい」
人に似た生物を殺すというのは、ストレスが溜まる。
更には、そういった経験が無いといざという時に正しい判断ができない。だからこそ、この場で拘束されて身動きが取れない魔族を殺す事で最低限の経験を積まそうとする師匠の心意気だ。
「待ってくれ!殺してはならん。話を聞いてくれ黎明卿ボンドルド様」
「いいえ、待ちません。話を聞くのは一人で十分です」
ボンドルドは、封魔鉱の細かい欠片が混ぜられた液体の入っている注射器を取り出した。リュグナーの首筋から注入する。こうすることで、魔法を一時的に使えなくする事ができる。
「恨みはありません。ゾルトラーク」
「悪く思うなよ。こっちも魔族の事は、師匠から嫌と言う程聞かされているんだ」
グラナト領内にて、その領主であるグラナト伯爵の制止も空しく魔族の二名が殉職した。周りに居た憲兵達もボンドルド相手では止めるに止められない。この地に銅像が建つほどの英雄で有り、祖父母の代では大変お世話になったという恩人だ。
その後は、拘束したリュグナーをボンドルドが締めあげながらグラナト伯爵の屋敷に向かうフリーレン一行。
………
……
…
屋敷に着くと、フリーレン一行は応接間に通された。
それから、エルフが勇者PTのフリーレンであった事が分かると、グラナト伯爵も勝機を見いだした。だからこそ、グラナト伯爵も和睦の使者としてきた魔族の尋問を許可しただけで無く、立ち会いをした。
当初は、魔族が口を割るなどあり得ないと思っていたグラナト伯爵。だからこそ、ボンドルドが行う尋問に興味があった。今後その方法を覚えれば、対魔族戦において優位に立てると。
「グラナト伯爵、魔族から情報を聞き出す方法はいくつかあります。魔法による情報抽出です。精神系魔法が得意な者がいれば、それが可能です。私がやるのは、もう少しスマートな方法です」
手術台のような場所に固定されている魔族。魔法を封じられており、手も足も出ない。だが、彼に恐怖は無かった。魔族のため、決して口を割らない覚悟がリュグナーにはある。
ボンドルドが麻酔を手に持ち頭部の何カ所かに注射する。そして、糸鋸を取り出した段階で流石にリュグナーも嫌な予感がし始めた。
「これから何をする気だ。そんな物騒な物を持ち出して」
「魔族の方は頑丈です。この程度では、死ねません。それに、私は僧侶として回復魔法も修めております。安心してください、時間はタップリあります」
糸鋸で頭蓋骨を取り除き、脳が開帳される。悪趣味なことにその様子が、被験者にも見えるように鏡が設置されている。自らの脳みそをみる機会は魔族でもないだろう。
ボンドルドが、30cm程の細長い針を取り出し、無造作に魔族の脳みそに突き刺した。クチュクチュとする音が尋問室に響き渡る。魔族を殺したい程憎んでいるグラナト伯爵も流石に吐き気がするほどの光景だ。
「アっア…ァ」
「良い具合ですね。さぁ、グラナト伯爵。今の彼ならば、何でも答えてくれます。どうぞご質問を」
吐き気を飲み込み覚悟を決めたグラナト伯爵が質問を始める。既に後戻りはできない。今は、可能な限り情報を絞り出して、ボンドルドとフリーレンの二大巨頭を活用して魔族を殲滅する。それしか、グラナト伯爵領が生き残る道は無くなっていた。
そして、グラナト伯爵は一つ賢くなる。
魔族と仲よくなんて不可能だと。アイツラは、人の皮を被った悪魔であると。だが、その希望を裏切られた事により発生した強い恨みこそ人の原動力。
「グラナト伯爵様、私とフリーレンさんは、貴方に全面的に協力します。恐れることはありません。我々が手を組めば、七崩賢アウラとて倒せます。真の平和のため、今こそ立ち上がるときです」
「その通りだ。黎明卿ボンドルド様!! 」
「あぁ、それとこれの処分はコチラで引き受けます。今後の作戦を後で練りましょう。対魔族の専門家であるフリーレンさんと私がいるのです、大船に乗った気でいてください」
英雄から勇気と活力を与えられたグラナト伯爵が、元気よく尋問室を出て行った。
そして、ボンドルドは新しい
◇◇◇
ボンドルドが詰め物をしている頃。
七崩賢アウラは、仲間二名の死を察知していた。だが、リュグナーが健在であるから、何かしらの問題が人間の街で発生したと考えている。彼女が想定していたのは、フリーレンが原因だという考えだ。なぜなら、フリーレンが再び北上している情報を彼女が掴んでいる。
「今度はあのときのようにはいかないわよ」
魔力に絶対的な自信を持つ彼女。その特性にあった魔法を保有しており、格下殺しとしては最強の部類である。
だが、その自信が裏目に出ることを彼女は知る事になる。
ネタが尽きてしまったので、どのようなお話を知りたいか読者様にお伺いできればと思っています。全て何話程度やるかも全く未定です。
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過去編(1000年前、初代ボンドルド)
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過去編(人類防衛ライン戦)
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過去編(50数年前、居候フリーレン)
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閑話(ゼーリエとプルシュカの文通)
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閑話(プルシュカと女神の魔法)
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バカか、全部やれ