黎明のフリーレン   作:新グロモント

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閑話:プルシュカと女神の魔法

 黄金郷マハト、無名の大魔族ソリテールの戦いで力不足を感じたプルシュカ。フリーレンとの旅路で、彼女は飛躍的な成長を遂げていたが覚悟と実戦経験の不足が否めない。如何に才能があっても、それを活かす事が出来なければ宝の持ち腐れだ。

 

 だが、プルシュカを目覚めさせるキッカケがあった。父親ボンドルドの死と復活。皮肉にも親の死が娘を成長させる。絶対無敵だと思っていたボンドルドでも死ぬ魔族との戦い。もう、同じ思いはしたくない。後悔しないため、本格的な修行に取り組む。

 

 全てにおいて、日々の積み重ねが大事。

 

 一朝一夕で急成長すれば、誰だって苦労はしない。そんな彼女が選んだのが女神様の魔法。原理が解明されていない魔法。それは、"呪い"と同レベルであり魔族達にも効果的だ。

 

 そんなわけで、魔法の修行の時間。プルシュカは、ボンドルドを頼る事にする。

 

「パパ~。プルシュカに女神様の魔法を教えて」

 

「おやおやおや、急にどうしたのです。魔法の研鑽は、飽きてしまいましたか。ほら、フリーレンさんがあちらで泣きそうな顔をしていますよ」

 

 良かれと思いフリーレンは、フェルンとプルシュカに厳しい指導をしていた。魔法使いとしての基礎を徹底的に教え込む。その方法は間違いなく魔法使いとしてのステージを一段階あげる事に寄与する。事実、フェルンは、一般攻撃魔法でだいたいの魔族を殺せる。

 

 だが、プルシュカはどちらかといえば派手好きだ。色々な魔法に手を出して手数で勝負するタイプ。デンケンから教わった魔法も全て習得しており、学習能力の高さは母親似だろう。実際、そろそろフリーレンも教える魔法の数が無くなりつつあった。後は、一つ一つの習熟度を上げれば魔法使いの上澄みの一角となる。

 

「プルシュカ。女神様の魔法は、産まれながらの資質が大事だ。学びたいからといって学べる物じゃない」

 

「フリーレンお姉ちゃん。プルシュカは、パパの子供だよ。資質があるに決まってるわ。そうだよね、パパ。それに、フリーレンお姉ちゃんも女神様の簡単な魔法は使えるよね。女神様もエルフ耳だから、エルフには絶対に資質があるわ」

 

 フリーレンの過去の思い出が蘇った。よかれと思って面倒を見た子供が、何故か自分以外の方に懐く。魔法が好きになって欲しい。プルシュカと接する時間を作ろうと思い頑張っていたのに振られてしまった。

 

 だが、プルシュカに才能がある可能性は高い。

 

「勝手にすれば、もう知らない。フェルン、基礎訓練は止めて実戦にしよう」

 

「よろしいのですか。まだ、基礎修練の時間が終わっておりません」

 

 とばっちりを食らうフェルン。完全な八つ当たりであったが、それを咎める者はいない。子供だなと思うボンドルド。だが、そこが彼女の良い所だ。もう少し素直になれば色々と改善されるだろうにと思うばかりだ。

 

 不機嫌気味のフリーレンに連れられたフェルンが離れた場所へと移動した。

 

「プルシュカ。後で、フリーレンさんに謝っておきなさい。分かっていると思いますが…彼女は、彼女なりに貴方の事を思って魔法指導をしてくれています。女神様の魔法は、別にこの旅路が終わってからでも私が直接指導できますが、魔法指導で彼女より優れた師はいません」

 

「はーい。でもね、聞いてパパ。このパーティーで回復魔法が使えるのってパパだけでしょ。だから、プルシュカならきっと女神様の魔法も覚えられると思うし、皆の助けになりたい。それに、女神様の魔法まで使えるようになったらプルシュカは最強よ!! だって、フリーレンお姉ちゃんの魔法とパパの魔法の両方が使えるんだから」

 

 両親の魔法を覚えたいという子供の思いに応えるのは親の役目。地獄耳を立てて聞いているエルフも納得する。

 

「フリーレンさんの魔法と私の魔法の両方とは、プルシュカは欲張りですね。本当に可愛い。貴方用の聖典を用意します。さぁ、女神様に祈りましょう。貴方の思いは、必ず女神様に届きます」

 

「女神様の魔法が使えれば、フリーレンお姉ちゃんから初勝利を奪い取るのも夢じゃないんだから」

 

………

……

 

 数日後の夜。

 

 プルシュカは寝床で枕を涙で濡らす。結論、プルシュカには僧侶としての資質は、ほぼ(・・)無かった。父親には最高峰の才能があるのに、その資質は娘であるプルシュカにない。この事が彼女には響いている。

 

「ぐすんぐすん、酷いよ~、あんまりだよ」

 

「プルシュカは、そんなに僧侶の資質が無かったのが残念なの? 魔法の才能だけじゃ駄目?」

 

 落ち込むプルシュカを見かねたフリーレンがプルシュカに近寄る。枕を退けてプルシュカの頭を膝の上に載せた。頭を撫でて落ち着かせる。

 

「だって、だって!! プルシュカは、回復魔法も使えないんだよ」

 

「大丈夫だ。それは私も同じだよプルシュカ。エルフの遺伝子なんだから仕方が無い。でも、魔法の才能はある。良いじゃ無いか。それに、ボンドルドは1000年の研鑽を積んだ魔法使いであり僧侶だ。それを数日で真似しようなんて難しい」

 

 泣く子供とは対照的に機嫌が良くなるフリーレン。その様子を近くで見ていたフェルンは思わず、フリーレンの性格が悪いなって思ってしまう。

 

「なんか、フリーレンお姉ちゃんが嬉しそうなのが気に入らない。今、笑った?笑ったよね?」

 

「ぷ、そんな事はないよ。真剣な子供の悩みを笑う大人なんていない、気のせいだ」

 

 エルフの強固な遺伝子は、プルシュカが備える筈だった資質にまで影響を与えていた。だが、その資質は消えたわけではない。偏ってしまった。

 

「本当は、次のフリーレンお姉ちゃんとの試合に備えて秘密にするつもりだったけどビックリさせてあげるわ。プルシュカは、僧侶としての資質が無かったわけじゃないわ。パパ曰く偏った………獣化!!」

 

「何で使えるの?」

 

 ボンドルドの切り札である。女神様の魔法。それをプルシュカが使える事には、フリーレンも驚いた。ボンドルドが数百年かけて習得した魔法。娘ならば適性があったかもしれないが数日は異常を通り越している。

 

 プルシュカが、モフモフになっていく。ボンドルドのような猛獣ではなく、可愛らしい小動物のいいとこ取りしたような容姿。真っ白な兎みたいな耳、全身をおおう真っ白な毛、リスのような尻尾。おおよそのカワイイを詰め込んだ生物が誕生する。女性特有の柔らかさと子供特有の甘くて良い匂いがする。

 

「むふー。凄いでしょ。パパだって驚いたんだから。でもパパみたいに格好良くなるには、まだまだ時間がかかるみたい」

 

 フリーレンは、プルシュカをもふもふと触る。実に肌触りが良い。幸せを感じる瞬間がそこにはあった。可愛い生き物の化身プルシュカを前には、フェルンも思わず彼女を抱きしめた。

 

「プルシュカちゃん、可愛い。今日から寝る時は、その姿になってくれませんか。寝袋も繋げるので一緒に寝ましょう」

 

「駄目だフェルン。プルシュカは、私の抱き枕になる。ふかふかで、やわらかくて、良い匂いだ。プルシュカは、良い魔法を教わったね」

 

「むふ~。強くて格好良くなったプルシュカに二人ともメロメロよ。ねぇ、ちょっと二人に抱きつかれたら暑いよ。ねぇ、聞いてる?」

 

 今日はよく眠れそうだと言うフリーレンとフェルン。二人は、プルシュカが逃げないように両脇をしっかりと抱えていた。

 

「そうだな、私はプルシュカにメロメロだ。認めるよ、プルシュカ」

 

「私もお腹に顔を乗せて深呼吸しても宜しいですか」

 

 二人の大きな子供が出来た気分となったプルシュカ。流石に体臭を嗅がれる事に抵抗感はあったが、彼女を助ける者は誰もいない。

 

 翌日朝、女性達から解放されたプルシュカを見たシュタルクが可愛いなと言った事がキッカケでフェルンが覚悟を決める。フェルンが獣化の魔法を教わろうとボンドルドに相談した。

 

 純後衛魔法使いのフェルンには僧侶の才能がなく、諦める。一体、どこで獣化を使う気なのか優しいボンドルドは聞かない。知りたくも無かった。

 




祝福プルシュカは、メイドインアビス5巻の背表紙?に実在しています。
カワイイの化身ですわ。

二話目のネタがなく、本閑話は一話完結です。


【新しいアンケートのご案内】
前回のアンケートにご協力誠にありがとうございました。
本話の投稿で前回のアンケート結果を全て終える事ができました。

熱が冷めないうちに、今後について考えた結果、読者様にお声を反映した内容にしたいと思っております。

アンケートの回答期限は、11/8(水)24:00までにしたいと思います。
それまでの間は、アンケート集計を確認しつつ、準備を始めたいと思います。

アンケートの選択肢って20文字までしか入力できない!!

①女神の石碑編normal ※週刊誌の内容+オリジナル
 新刊販売を待たずに週刊誌の内容で始める。
 経産婦のフリーレン 改め 葬送のフリーレンの魔王討伐。

②女神の石碑編another(normal + 原作世界線)
 世界線を越えて原作軸に行ってしまったフリーレン。
 そうなったら、本SSの世界線には原作が来たのかって?そうです。そうなります。
 ※石碑の手紙の帳尻合わせは行います。

本作品の今後の展開について、アンケートのご協力のお願い。どんな話で続けようか、読者様のご希望を窺えればと思っています。

  • 女神の石碑編normal ※週刊誌+独自
  • 女神の石碑編another(原作世界線)
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