アンケート結果で左右されない部分程度まで投稿予定。
女神の石碑に触れたフリーレン。
彼女はヒンメルの年齢が23歳だと確認して、状況を纏めた。推論が正しい事を証明する。
実在するヒンメル達。
当時石碑を調べた際の記憶が1週間程度曖昧。
フェルン達の不在。
衣服の変化。
記憶の連続性。
過去に転移したのではなく、過去に意識だけが上書きされた。俗に言うタイムリープ現象であると。こう言う時、イドフロントにあった蔵書の無駄知識が役に立つ。
フリーレンには、一週間ほど記憶が無い時期があったがそれ以降は覚えている。魔王討伐した記憶もある。だが、仲間から未来の自分が来たという情報は聞いていない。歴史を変えない為、配慮された可能性があるとフリーレンは推測する。
次にタイムリープと仮定して、戻り先が何処なのか。コレは重要な問題。同じ世界線の過去なのか別世界線なのか。同じ世界線なら、何かをキッカケに戻れる可能性が高い。別の世界線なら戻れない可能性が高い。
今からの行動が未来に影響する。行動次第では、未来が変わってしまう事をフリーレンは理解した。どちらにせよ、帰還方法を探っておく必要はある。しかし、その方法はフリーレンでも分からない。
女神の魔法は、未解明であり解析をするにしても時間を要する。それこそ、転移した時間軸に追いついても足りるか分からない。
「ねぇ。――いや、なんでもない」
フリーレンは帰還方法を悩んだ。一人では解決できないと判断し、ヒンメル達に相談しようとした。だが、未来への影響が大きいと判断し、踏み切れなかった。
フェルン、シュタルクが消えてしまう可能性がある。そして、プルシュカ……は、何とかなるかと考えていたが、駄目だった。それは、選んではいけない選択肢だ。
未来の知識があるフリーレンがここから魔王討伐に全力を出せば、人類にとって良い未来が待っている。ゾルトラークと防御魔法を普及させ、黄金郷を不意打ちで殺し、黄金化を解除し英傑達を集結させ、ボンドルド達と合流して、ゼーリエに協力を頼み、一気に攻め上がる。
これを実現すれば、彼女が知る未来より遙かに人死にが少ない。だが、自身が知る時代を捨て、この時代に貢献するという選択肢をフリーレンは取れない。
無意識にお腹を摩る動作をしてしまう彼女の行動を見た勇者PTが何かを察する。
「調子が悪そうだな」
「石碑の解析がうまくいかなかったんだ。仕方ないさ」
アイゼンとヒンメルがフリーレンを気遣う。意気込んでこの場まで来て何の成果も得られませんでした。そんな二人の発言に、ハイターが活を入れる。自己中心的な仲間にお灸をするチャンスだと。
「甘い。皆さんはフリーレンを甘やかしすぎです。私達は魔王討伐の旅の途中なんですよ。こういうときはしっかり叱らないと…。より道ばっかりして!そんなに魔法が好きなら、よそのパーティーの子になっちゃいなさい!!」
「…ごめん」
何日もかけて辺鄙な場所にある女神の石碑まで来て、何一つ成果がない。ハイターの発言もその通りだと反省しフリーレンが謝罪をした。だが、それは当時の勇者PTにいたフリーレンの行動からは考えられない物だ。
勇者PTのフリーレンと言えば、天上天下唯我独尊な存在。
「謝ったぞ…」
「嘘だろ…いつもはどんなに自分が悪くても謝らないのに…」
この謝罪には、アイゼンとヒンメルも驚く。フリーレンも過去に色々迷惑をかけていたと多少反省した。しかし、仲間があまりにも驚く事にフリーレンは、自らの行動がそこまで破天荒だったのか考えた。
勇者ヒンメルのPTで、行動がマトモなのはドワーフのアイゼン只一人。勇者ヒンメルも人の頼みを断らないという素晴らしい人間。だが、サブクエストを全て消化しないと次の街に行かない。僧侶のハイターは、数日に一回単位で二日酔いで使い物にならないので問題だ。
「驚きすぎ。私だって、自分が悪いと思ったら謝る」
急成長を遂げたフリーレンに対して、ヒンメル達は少しの違和感を覚える。だが、原因までは分からなかった。事情を知らなければ、女神の石碑が彼女を成長させたのかと思うほか無い。
それからフリーレン達は山道を進み、何とか帝国へと続く街道に辿り着く。そこで待ち受けていたのは帝国軍の多数の死者。悲惨な状況を嘆き、帝国兵の死因を調べた。その死体の損傷からは落下した可能性が高い。
「…まるで空から落とされたみたいだ」
「ヒンメルの言うとおりだ。死体の破裂具合や血痕から相当な高度から落とされた感じだ」
フリーレンも同じ事が可能かといわれれば出来る。飛行魔法を使って一人ずつ持ち上げて落とす。だが、非効率すぎる。そもそも意味が無い。魔族は、自身の魔法を使って相手を殺す事に誇りを持っている。自らの研鑽の証を人間で試す。
考え事をしていたフリーレンの魔力探知に魔族が掛かった。それと同時にヒンメル達も気配を察知する。勇者PTの誰にも気付かれずに背後を取った魔族が一人立っていた。
「魔族!?」
「なるほどなるほど。女神の石碑に触れたのか。時空干渉の原因はお前だなフリーレン」
ヒンメルがいち早く抜刀し魔族と対峙した。アイゼン、ハイターも同じく各々の役目に相応しい立ち位置で構える。その行動の早さに、懐かしさすら感じるフリーレン。
勇者ヒンメルと魔族の問答がされる。この時代にフリーレンの弟子であるフェルンが居たら、相手が口を開く前にゾルトラークの抜き打ちをしていた。フリーレンも一瞬ゾルトラークで撃ち殺そうかと考えたが、魔王討伐時代に存在しない魔法を使う事が後世にどのような影響があるか分からず使えない。
あぁ、今なら一瞬で殺せるんだけどな~と殺意満々の思考だ。
「俺は、七崩賢奇跡のグラオザームの配下、残影のツァルト」
「勇者ヒンメルだ」
ここまで来た勇者ヒンメルは、魔族との対話など不要だと痛感している。サーチアンドデストロイ。対魔族の知見を持つフリーレンが仲間に教え、今では勇者PTの共通認識。
ダイヤモンドすら粉砕し、自由落下ではノーダメージ、毒無効、鋼すら通さない強靱な肉体を持ち、水の上すら走れるバグのドワーフのアイゼン。
大魔族に比肩する魔力を持ち、人類最高の僧侶、ハゲと二日酔い以外ほぼ全て回復出来る、イかれたバグの僧侶のハイター。
魔族絶対殺すウーマン、魔法収集キチ、人の心とかないんかと言われるバグのエルフの魔法使いフリーレン。
そんなイかれたバグメンバーを統率して、誰も欠けること無く、笑える冒険を続けてきた勇者ヒンメル。その彼の実力は当然、それに相応しい物だった。
ヒンメルが、ツァルトに接近して振るった一振り。音速を超え、真空刃で十メートル以上先の木々を綺麗に切断し、ソニックブームでそれらを遙か遠くにまで吹き飛ばした。環境破壊兵器……未来の一級魔法使いの全力に等しい火力を一振りで再現できる。
「改めて思うけどヒンメルの攻撃って魔法より"呪い"の域だよ」
本物の勇者の剣なら、何かしらの魔法でバフが掛かっており不思議では無かったかもしれない。だが、これを素の身体能力で実現しているのだから、勇者の名に恥じない。
「消えた…?」
ヒンメルは、魔族を切った感じがしない。だが、気配も消えてた事から逃げたのでは無く、消えたと思った。魔族の不可解な魔法ならあり得る事。だが、あのタイミングで殺せない事に彼自身も疑問に思っていた。
それは、フリーレンも同じだった。だからこそ、油断する。本来なら起こりえない油断。フリーレンは、背中をツァルトに触れられたと感じた瞬間、元いた場所の遙か上空に転移させられる。
自由落下しながらフリーレンは思い出す。師であるフランメの手記に残された言葉を。魔族と人間の魔法体系には天と地ほどの差があり、才に優れた魔族の扱う魔法は熟練した魔法使いにさえ、おとぎ話に出てくる"魔法"のようだと言わしめると。
「なるほど。確かにおとぎ話だ」
空間転移の魔法。それは人類の魔法体系では実在することすら証明されていない。だが、この時フリーレンはこの魔法を身を以て知った。七崩賢の魔法ですら解析し利用するフリーレン。手札を見せて殺しきれなかった時に待つのは絶望だけ。
遙か下にある地面を見つつフリーレンはある人物の事を思い出していた。
「素晴らしい!! きっと、ボンドルドならこう言うよね。本当に、その通りだ。もう一度その魔法を見せてくれれば、楽に殺してあげるよ。残影のツァルト」
魔法キチには、見せてはいけない魔法を披露した残影のツァルトの未来は、暗い。
またどっかで、改心して天国に召されたアウラ様のお話でもやろうかな。
アウラさんも知り合いが居ないと寂しいでしょうから、挨拶しにいかないとね。
「おはようございます、アウラさん。必ずまた会えると信じてました」
80年の時を超えて再会を果たす……当時のボンドルドさん。
後は、フェルン*シュタルクの話。
妄想で、入れ替わりで未来に来たフリーレンさんとか。
このあたりが閑話でかけそうかな。
本作品の今後の展開について、アンケートのご協力のお願い。どんな話で続けようか、読者様のご希望を窺えればと思っています。
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女神の石碑編normal ※週刊誌+独自
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女神の石碑編another(原作世界線)