街には、女神様の情報が無い事を理解したフリーレン。女神様の導きとやらを信じて流れに身を任せる方針となる。つまり、普段通りに動く。リメイヨと会話した一時間後には、酒場で護衛任務を受けてきたヒンメル。彼の行動力は流石だった。
魔王討伐に向かっている勇者PTがやるような依頼ではない。だが、そこがヒンメルの良い所だとフリーレンは思う。ただ、この状況下で護衛依頼を受けてしまった事を多少なりともヒンメルは申し訳ないと思うところもある。
未来にフリーレンを帰さないといけない。その為にアンブラハンズの協力も得たというのに寄り道をしてしまったと。
次の街に行くついでの護衛任務であり、お金も貰えるし、一石二鳥だった。護衛任務で街道を進みつつ、勇者ヒンメルPTは雑談で盛り上がる。
「別にいいよ。急いでいる訳ではなかったから。それに北部高原が魔物が多い場所なのもよくわかっている。護衛の仕事はどうせ誰かがやらなきゃだめなことだ」
「フリーレン……」
ヒンメルは、未来のフリーレンが成長したなと痛感した。今のフリーレンなら絶対にその発言はでない。それどころか、絶対に見捨てるだろうとすら思っていた。
「私なら放っておくけどね」
「相変わらずですね。未来でも旅を続けているんですか」
ハイターも一瞬、フリーレンが成長したなと思ったが、前言撤回した。未来でも、その性格は変わっていない。そのような考えが出来る時点で成長した事は褒められるが本質的な所は80年程度の時間では変わる事はない。
ヒンメル達としては、80年後にフリーレンが何をしているのかが気になる所だ。フリーレンの事だから魔法収集の旅をしているんだろうと誰もが予想した。だが、フリーレンは答えに困る。未来への影響を考えれば、その内容を今伝えることはできない。だから、最低限の事だけをフリーレンが教えた。
「まぁね。未来にどんな影響があるか分からないから詳細はいえないけど……。ただ、ハイターもアイゼンも良い仕事をしたと思っている。ヒンメルも励みになっている」
「それはよかった。色々なポーズで銅像をたくさん建てたかいがあったな」
ヒンメル達にとっては、それで十分だ。寿命の長いエルフの彼女に良い影響を与えられた。未来での彼女の旅路が良い物であることを嬉しく思う。
フリーレンは、沢山の銅像を思い出した。本当に各所にある銅像。魔王討伐した勇者なのだから、おいそれと撤去される事はない。一体何体の銅像があるのかすらフリーレンでもわからない。
………
……
…
魔力探知に敵が掛かったことでリメイヨも構える。
『フリーレン様、お荷物をお預かりします。私は後方を』
無言でフリーレンは、手荷物を渡した。リメイヨは、鞄を預かり直ぐに馬車の荷台に放り込む。リメイヨの早い行動にヒンメル達も囲まれている事に気が付く。
「魔力探知の結果は?」
「もう来てる。かなりの数だ。早いね。後方はリメイヨが固めたから大丈夫だ。私達は前方を守ればいい」
フリーレンは魔力探知の結果、後方から奇襲が予想される事を理解していた。だが、前方からくる戦力を倒してからでも十分だと判断。ボンドルドと同じ事ができるといったリメイヨを信じるフリーレン。
馬車の前方に魔物達が現れた。魔物達は、盾と剣で武装しており、弓まで持っている。しかも人間から学んだフォーメーションを取り込んでおり、後方から弓でチクチクと攻める。最低限の戦いが出来るレベルになっていた。
北部高原の魔物達の学習能力の高さが窺える。しかも、戦い慣れており、幾人もの冒険者達を始末してきた事が分かる程だ。
「フリーレン。背後からの敵襲は?」
「ある。だが、リメイヨがいるから大丈夫だ」
アンブラハンズの事を知らないヒンメル達にとっては、未知数の戦闘力。今この状況で背後から攻撃される危険を考えれば、一人は後方に回すべきだとヒンメルは考えた。
「敵は厄介だ。アイゼン、彼女と一緒に後方を守ってくれ。こっちは大丈夫だ」
「………いや、あれは、大丈夫そうだぞ」
アイゼンが見たのは暴力その物だ。旋風が刃になり魔物をバラバラにし、腕力だけで首をへし折るアンブラハンズ。数匹程度の魔物を殺すに数十秒も要らない。逃亡を図る魔物は、女神の三槍を使って串刺しにしていた。
『北部高原の魔物の学習能力は高い。皆殺しを推奨する。逃がせば被害が拡大する』
手を抜いていたわけではなかったヒンメルだが、本気を出すことにした。残影のツァルトを相手にしていた時ほどの力を出せば、この程度の雑魚は勇者の一振りで終わる。攻撃こそ最大の防御……それをヒンメルはアンブラハンズを見て学んだ。
相手が何かする前に、無力化すればいい。攻撃を許せば、守りに徹する必要がある。ヒンメルは一人じゃ無い。守りは、ハイターに任せてキッチリ仕事をすることこそ勇者の勤めだ。
その後は、魔物を殲滅する速度は格段に速かった。適材適所。鋼の肉体を持つアイゼンと勇者ヒンメルが前衛で魔物を皆殺しにしながらハイターとフリーレンが後方から魔法で支援。大魔族に比肩するハイターの魔力なら防御魔法を長時間張っても余裕だ。それどころか、回復魔法も併用して幾らでも前衛が継続戦闘できる。
………
……
…
護衛任務を終えたヒンメル達。
宿に着くと、リメイヨが椅子に座るフリーレンの靴を磨き始める。衣服に付いた埃を払い、飲み物を用意して肩を揉み始めた。その光景は異様そのものだ。どこのお姫様だと思われる待遇にヒンメルもドン引きだ。
「やっぱり、一家に一人はアンブラハンズが欲しいよね。身の回りの事が楽になる」
「嫌だろ普通に考えて」
一体何を見せられているとヒンメル達は頭を抱えた。ヒンメルは、一瞬家に一人アンブラハンズがいる風景を考えたが、普通に嫌だった。エルフとの感性の違いを改めて認識し始める。
『皆様分も含めて宿泊手配は完了済み。人を雇って女神様の魔法について聞き込みもさせています。明日の朝には、情報を纏めてご報告可能です。本日は、ごゆるりとお休みください』
聞き込みと言った作業も冒険として楽しむヒンメルにとって、効率重視で全てを終わらそうとするアンブラハンズとは相容れない物があった。だが、フリーレンが帰るまでの我慢だと割り切る。
アンケートにご協力有り難うございました。
以下の通り結果となり、引き続き頑張っていきます。
(785) 女神の石碑編normal ※週刊誌+独自
(641) 女神の石碑編another(原作世界線)
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