皇獄竜。北部高原で最強の竜種だといえども、未来の知識があるフリーレンの前では、的のでかいトカゲ同然。勇者ヒンメルPTにしてみれば、容易い。馬鹿正直に地に足を着けて戦ってくれた皇獄竜。制空権を取って戦えば、善戦できただろうに……頭脳はトカゲ並みだった。
ヒンメルが剣を振るえば、真空刃が発生。ハイターが女神の三槍を使えば、大岩を貫通。アイゼンが斧を振るえば大地が割れる。フリーレンが魔法を使えば全てをなぎ払う。世間では知能指数が高いと言われていたが、ここに飛び込んでくるのは自殺行為だった。
『
リメイヨの魔法が皇獄竜の身体を貫通し、目標を沈黙させた。勇者ヒンメルPTによってズタボロにされたところにとどめの一撃だ。圧倒的だったが、ヒンメルの悪い癖が出てしまっている。最初は様子見で手加減する。だから、無駄に手傷を負ってしまう。
「ヒンメルさん、肩を怪我されています。今治療します」
「ありがとう、リメイヨさん」
リメイヨは、ヒンメルの肩に付着した血を採取し、回復魔法で傷を癒やした。今はこの血液を使った技術は何も開発されていないが、遠い未来に役立てる。未来を見据えた行動をする事が今を生きるアンブラハンズ達の使命。
その様子を見ているフリーレン。過去の旅で強敵と対峙した後は何時も騒がしかったなとしみじみと思い出していた。
「どうしたんだフリーレン?」
「いや別に。ヒンメル達は変わらないと思ってね」
ヒンメルにしてみれば当然だ。未来からきたフリーレンには過去の思い出だろうが、今現在魔王討伐の旅をしているヒンメル達にしてみれば、何時も通り。
「そんなの当たり前だろ。僕達は何も変わっていない。でもフリーレンは、変わったような気がする。なんだか達観しているように見える」
「
「プル?まぁ、頼りがいがあるのは今も未来も変わらないか」
一瞬、プルシュカの存在を伝えて良い物かと思ったが……この時代への影響を考えて口を閉ざした。この時、リメイヨだけは見逃さなかった。アンブラハンズの仮面がなければにやけてしまい何事かとヒンメル達に言われていただろう。
………
……
…
邪魔者だった皇獄竜を排除して、統一帝国時代に残された聖堂を大捜索した。ミミックに食べられるフリーレン。未来から来てもそこだけは変わらないとヒンメル達にため息をつかせた。
数日にわたり、隅々まで探索したが女神様の石碑に関する情報は無かった。第一候補であった場所が潰れてしまった事にみんなが凹む。だが、ヒンメルは「これは無駄骨ではない。この地域に平和が戻った」と前向きな言葉で皆を励ます。
リメイヨは、なんでここまで出来るのに女にはモテないんだろうかと正直思っていた。敵に塩を送るわけではないが、ヒンメルの気持ちに全く気が付かないフリーレンもフリーレンだなと。場合によっては、この旅路の中で勇者ヒンメルの遺伝子確保も有りなのではと考え始める。
南の勇者の血筋、魔王討伐した勇者の血筋、ボンドルドの血筋が悪魔合体すれば、魔王にも勝てるのではと思ってしまう。リメイヨは、どっかでヒンメルが意識不明になるくらいの重傷を負ってくれないかなと思い始めた。
「じゃあ、次の集落に行こうか……次の候補は何処かな。リメイヨさん」
『各地方にある修道院などは人を雇って探させている。街に帰り次第情報が集まる予定。だから、我々はこの近くに住むドワーフへの聞き込みをした後に街へ戻る。人間より長命種の彼等ならば、我々より情報を持っている可能性は高い』
満場一致でドワーフが住む村へと向かうことになったヒンメルPT。流れに身を任す事も大事である。
次の村へと移動する途中、リメイヨはフリーレンにある事を確認したいと思っていた。女性同士の会話という体裁で、フリーレンだけを少し離れた場所に呼び出したリメイヨ。フリーレンとしては、何の用事だという雰囲気だ。
「何の用?」
『夜明けの花』
ピクとフリーレンの眉が動いた。その言葉の意味を知っているならば、答えは一つしかない。その確認が出来ただけでリメイヨは十分だった。これで、リメイヨの覚悟も決まる。
「………私は何も答えないよ」
『問題無い。フリーレン様に最前線を離れて後方支援をしているアンブラハンズ達の位置情報をお渡しします。今後、万が一の際には彼等を頼ってください。必ず、貴方の力になってくれます』
一枚の紙を受け取るフリーレン。それを懐にしまいその場を離れた。フリーレンは、口にしないでも表情で未来の情報がバレる可能性があると理解した。今後はよりいっそう気をつけないといけないなと。
グラオザームの魔法が遂に公開されましたね。
(I)「叶わぬ夢などありません。人は夢を叶える為にあらゆる努力をする。夢が実現出来ないのは、努力不足なだけです」