キーゼルに教えられた村に到着したヒンメル一行。そこは、魔物の巣窟となっていた。犬系の魔物が数十体とドラゴンがいる。その程度の戦力など、総合力で言えばヒンメルPTが抜きん出ている。
だが、ヒンメル一行は正面突破を諦めた。一時撤退して作戦を立てて再突入。リメイヨの見立てでは、正面突破でも十分やりきれるという判断だ。部外者であるリメイヨはその意見を尊重し、リーダーに全てを任せる。
ヒンメルの判断により、ハイターの隠密魔法で魔力探知から隠れて進む事になった。隠れて進んだ場合に一つ問題が生じる。どのみち、村長宅付近をドラゴンが根城にしているのだから、戦闘になると嫌でも敵が集まってくる。
よって、リメイヨから一つの提案がなされる。
『ヒンメル様、ドラゴンが村長宅付近を根城にしている。戦闘になる可能性が高い為、周囲の魔物を排除してから挑むのが宜しいかと。幸い、魔力探知に掛からないのであれば、闇討ちと隔離で減らすのが良い』
「ふむ、有りだな。リメイヨさんの提案を採用する」
リメイヨの提案が採用された結果、魔物達には悲惨の未来が待っていた。初手で、フリーレンとリメイヨが
この効率の良い殺し方は、以後勇者PTの基本戦術の一つに取り込まれた。
ドラゴン一匹になれば勇者ヒンメルPTの敵にはなり得ない。カップ麺が出来上がるより早く料理されてしまう竜。
………
……
…
村長宅を捜索するヒンメル一行。村長宅の蔵書は中々の物だった。保存状態も良く、村長が知識人であった事が窺える。書物を漁っていると、フリーレンが目的の物を発見。
「…あ、あった。女神の石碑に関する記述」
「やっと冒険らしくなってきたね」
ヒンメルは、コレだから冒険は止められないとワクワクしていた。未来にフリーレンを送り返す冒険。その手がかりが今目の前にある。
『フリーレン様、その本の内容にはなんと?』
「聖典の時巡りの鳥の章に、帰還のための魔法の名前が記されているって書かれている」
その内容にリメイヨは疑問に思った。なぜ、帰還のための魔法だと書かれている。本来であれば、過去と未来を行き来する魔法と書かれるべきではないのかと。この状況は、女神様の想定範囲内で、帰還のための魔法と記載された書物は、フリーレンのために用意された物で有ることを裏付ける。
女神様への忠誠心が更に上昇するリメイヨ。
だが、ボンドルドと同じ知識があるリメイヨ。その彼女であっても、時巡りの章についての情報は皆無だ。1000年の人類史の中で一番知識があるといっても過言でない存在がその章の存在をしらない。
『理解した。時巡りの鳥の章については、今現在未発見だ。卿でもそれについては知らない。新しい聖典が発見され、それが解明されるまでの時間は膨大だと予想される。フリーレン様の状況から推測するに、80年は掛からないでしょう』
「流石にそこまで時間を掛けるわけにはいかないね。解読している間に私のいた時代に辿り着いてしまうかもしれない」
悲しい表情をするフリーレン。未来に辿り着いてしまうと、彼女が過ごした未来が無かった物になる。フェルンとの出会い、シュタルクとの出会い、プルシュカとの出会い。それら全ては彼女の今を形成している大切な思い出だ。
「待つ。それもまた一つの選択だと思うがな。長寿種の特権だ」
「アイゼン。私は私の過ごした時間に戻りたいんだよ。私はこれでもこの旅がおわってから沢山のことを学んだんだよ。新しい大切な物も沢山できた。それを失ってしまうのは流石に嫌かな」
帰らないと泣く子が一人いるなと思うフリーレン。一度は捨ててしまった。だが、二度も捨てるわけにはいかない。必ず未来に帰る。それがフリーレンが出来る事だ。
「今のお前の居場所か…」
「そんな重たいものじゃないよ。ただ帰りたいだけだ」
フリーレンは、アイゼンも子供を持てば分かるよと一瞬言いそうになる。子供は宝だ。その子供と一緒に旅を出来ている未来の状況は、過去の自分からは想像もできないだろうと。
フリーレンから何かを察したヒンメル。優秀な男である彼は、フリーレンの未来の為、自らの全てを捧げると決意する。己の寿命を費やしたとしても必ず未来に送り届けると。それが男ヒンメルができる最大限の行動だ。
「君らしくない。とてもいい。君は僕達とそうしたように、皆で笑い合えるようなくだらない旅を続けているんだね。よし、決めた。魔王を倒した後に調べよう」
「ですから、それでは遅いと…」
「分かっている。だから、
「…そういうことですか」
ヒンメルの考えを理解したハイター。
未来からきたフリーレンが居る以上、未来で女神様の魔法を唱えた結果が確実にある。そして、その呪文は誰によって解析されてフリーレンに伝わったのか。答えは、ヒンメル達だ。
今この瞬間、魔王を倒した後に必ず時巡りの鳥の章を解析する未来が確立した。またフリーレンが、魔王が倒された未来から来た存在である事がヒンメル達にバレた瞬間でもある。
人間の短い人生を全てエルフのためにつぎ込む覚悟を見せるヒンメル。なぜ、これでモテないと、リメイヨは哀れに思えてきた。やり方は異なれど覚悟のレベルは、ボンドルドと同等だろう。
「フリーレン。君が未来で女神の石碑を調べたときにどこかに文字が刻まれていなかったか?」
「……お、覚えてない。確かに、刻まれている何かを口にした記憶はあるんだけど、その横にとんでもない石碑があってさ」
プルシュカがあの瞬間にママからの手紙だといった石碑に意識が集中しすぎて、思い出せなくなっていた。
『問題無い。ヒンメル様が魔法の名前を確実に刻めればよい。それは、私が保証する。フリーレン様が困っている状況、助けが居る状況、必ず何とかする』
リメイヨの絶対的な自信にヒンメルも納得する。フリーレンが答えを覚えていなくても、リメイヨが未来から答えを持ってきてくれるのだと。ヒンメルの直感は、正しい。
「僕達がこれから長い年月を掛けて見つけ出し石碑に刻む、君を未来に帰すための魔法の名前だ」
魔王討伐後の新しい目標が設定される。その事をこの時代のフリーレンは知ることはない。その目標達成の裏でフリーレンがナニをしていたか知れば、ヒンメルの脳が壊れてしまう。アイゼンが危惧したのも頷ける。
過去から来たフリーレン編でも独自解釈でやろうとおもいます。