フリーレンとプルシュカが本当の意味で親子になり二週間。二人は手を繋いで街で買い物をしている。親子なのに美少女エルフ姉妹として、無駄な知名度を得ていた。フリーレンは、娘に杖を買うべく相応しい物を今も探している。
「ねぇ、フリーレンお姉ちゃん。プルシュカ、もうコレでもいいよ」
「いいや、駄目だ。それはプルシュカに相応しくない」
ママでなく、フリーレンお姉ちゃん呼びなのは変わらず。周りに家族のみの場合は、ママ呼びに変わるという仕様であり、特別感があってフリーレンも気に入っているようだ。
そんなフリーレンは、威信をかけて娘に送る杖を選び抜いている。絶対に妥協できない。母親として初めて娘に贈る大事なプレゼント。
「ボンドルドも見てるだけで無く考えて。私が、初めてプルシュカに贈るプレゼントなんだ」
「私が口を出しては駄目だと思いますよ。ですが、アドバイスは致します。重視するポイントは何ですか?デザインとか歴史的な物とか、色々有ると思います」
ボンドルドとしては、勇者の剣レプリカと同じくギーゼルにでも頼めば一定品質以上の物が用意されるのでそれで良いと思っていた。だが、それはフリーレンが納得しない。
「そうだね。まずは、歴史がある杖がいいね。新しい杖だと、魔法使いとして新参者を意味する。だから、格下に見られることがある。
「フリーレンさんも存外親ばかだったんですね。そうですね~、魔王城なら歴史的な杖とかいっぱいあると思いますよ。例えば、魔王が使っていた杖とかこれに勝る品はほぼ無いでしょう……冗談ですよ。冗談ですからね、フリーレンさん」
何やら真剣に考えるフリーレン。
大魔族が使っている杖は、トロフィーとしても用いられるが実戦でも使用可能だ。プルシュカに合うように加工して使う事もできる。
「魔王が使っていた杖!?――プルシュカ、それが欲しい!! 伝説の装備とか憧れるじゃない。ねぇ~、プルシュカの杖を用意してくれるんでしょう。だったら、魔王が使っていた杖がいいよ~」
「任せておけ。魔王城は、ヒンメル達と行った時でも未探索な場所だ。きっと、歴史的な装備が沢山でてくる。魔王城に安置されていなくても、大魔族達なら何か知っているはずだ」
「大魔族の何名かは、魔王城を根城にしているという情報もあります。複数人同時に相手にするのは骨を折りますよ……80年前で学んだ筈では?」
にやりと笑うフリーレン。
「私は、魔王を討伐した勇者PTの魔法使い。ボンドルドは、北側諸国の英雄。今でも、七崩賢や大魔族を殺している現役だ。プルシュカの為、魔王城を再制圧出来ないとでも?」
「その通りでした。どのみち、目的地は魔王城のご近所。素通りは難しいです。それなら、後の憂いも考えて殺しておきますか。早速、エンデまでの道のりを確認して出発したいところですが……あの二人は何時になったら部屋から出てくるんでしょう」
大魔族から魔王城を奪い取り、残された遺産を娘のために奪う最強の夫婦がそこにはいた。
「ねぇ~、プルシュカは早くフェルンお姉ちゃんに「昨晩はお楽しみでしたね」って言いたいのに、まだなの~?」
「ボンドルドだって、一ヶ月私を部屋から出さなかったじゃん。まだなんじゃない」
「子供の前で止めて頂けませんか、フリーレンさん」
フェルンとシュタルクが顔を見せたのは、それから一週間後だった。ツヤツヤなフェルンに対して、げっそりとして体重が落ちたシュタルク。戦士が夜戦で戦死しかけるとは情けない。
………
……
…
ボンドルドの手元には、アンブラハンズが集めたエンデ周辺に居るであろう大魔族達の情報がある。総数にして6名。大分刈り尽くされており、大魔族と言えるレベルの存在は減少の一途を辿っていた。
ゼーリエが一級魔法使いに与えている特権も大きく関係しており人類側の魔法使いが一定水準を超えているお陰だ。
今後の方針について、フリーレンPTが勢揃いで決める。
「大魔族は根絶やしにするよ。プルシュカの為にも、未来のフェルンの子供のためにも。アイツラは、居るだけで害悪だ」
「フリーレン様の意見に賛成です。不安の種を刈り取るには、今が一番でございます」
フェルンとしても打算があった。
未来の子孫の安全を考えれば、フリーレンとボンドルドの協力が取り付けられる自分の代で終わらせるべきだと。子孫の代で、大魔族を殺せるだけの人材に渡りを付けられるとは考えられない。
「なんか、女ってこえぇな」
「シュタルクさん、母は強しという言葉があります。子供が絡むと母親は強くなるんですよ。では、隠れ潜んでいる終極の聖女トートあたりから処理していきましょう。帝国の魔法使い部隊には話を付けました。我々が殺すなら、あちらは大歓迎だそうです」
これから殺しに行く大魔族の中にはシュタルクの故郷を潰した血塗られし軍神リヴァーレもいる。
エンデ周辺にいる大魔族を根絶やしにするフリーレンPT。その偉業は、後世で語られることになるだろう。
11月中に完結を目指しております。
次は、一気に魔王城あたりに。つまり、後数話で本編完結予定。
(|)「投降は無意味です。最後の抵抗をしてください」
F「魔王が使っていた装備を献上したら、苦しまずに殺してあげるよ」
P「魔王装備を揃えたら、次は勇者の称号を貰いに行くんだ」