中央諸国ブレット地方。
アイゼンが、フリーレン達を見送って月日が経過した。彼は、近付く冬に備えて近隣の街で生活物資の補充をして帰宅する。帰宅した彼が目にしたのは、人様の家で寛ぐフリーレン一行だった。
「あ、おかえりアイゼン。鍵が閉まってたから、勝手に開けたよ」
「師匠!! 会いたかったぜ。本当に」
「ご無沙汰しております、アイゼン様」
フリーレンの解錠の魔法にかかれば、南京錠のロック程度は朝飯前。
アイゼンは、まるで自分の家みたいに寛ぐフリーレン一行の度胸は、ある意味凄いと思った。家主が居なければ、外で待つとかないのかと。アイゼンが何度数えてもフリーレンとシュタルクとフェルンの三人しかいない。
ボンドルドとプルシュカは、近くにあるフランメが住んで居た住居の掃除に向かっていた。そこに残された結界の残滓から、プルシュカの結界復元のテストが行われる。
「これは、俺がただいまと言わないといけないやつか。意外と早かったな。フリーレン、フェルン……そしてシュタルク。黎明卿とプルシュカはどうした?」
「二人なら、今頃フランメの住居の掃除だよ。教わった結界魔法の練習をするんだって。アイゼン、私はこの旅路で色々と勉強をした。プルシュカとも向き合ったよ。今じゃ、立派なママだ。褒めても良いんだよ」
何も褒めるような事はないとアイゼンは思っていた。
そんな事は、80年以上前から知っている。今まで、どれだけ苦労して隠していたと思っていると叫びたくなる。だが、アイゼンはフリーレンの言葉に気になる事があった。ママである事を隠さなくなったと言う事は、ヒンメルは重傷で済んだのかという点だ。
「そうか。――ヒンメルは、無事だったか?無事だと言ってくれよ」
「むふ~、大丈夫だよ。ヒンメルにも、プルシュカを私の娘として紹介して、幸せになっている事を喜んでくれたよ。
アイゼンは、フリーレンの言葉に異物が混ざっている感じがした。聞き間違いだと思いたかった。その面子の中に一人だけ七崩賢がいないかと。仮に、同姓同名の英雄がいたとしても、自分が知らない存在を連ねるなと。
「師匠、分かるぜ。フリーレンの説明が雑な事は。だが、そのアウラってのは本当に七崩賢断頭台のアウラって奴らしいんだ。俺からしてみれば、近所の世話焼きお姉さんに見えたんだがな。ヒンメルさんとハイターさんの介護をして暮らしているらしいんだ」
「シュタルク様。それだけでも伝わりませんよ。そんなことより、もっと大事な事が有るのではありませんか?」
開いた口が塞がらないアイゼン。あのアウラが
フェルンは、大きくなってきているお腹をさすりながら無言のアピールをする。
「あぁ、そうだった。師匠……俺はフェルンと結婚したんだ。もうすぐ、一児のパパなんだぜ。ハイターさんにも娘さんを下さいって言って土下座してきたんだ。すごいだろう」
「あぁ、凄いな。凄すぎて、もう何が何だか理解が追いつかない。きっと、ハイターが血涙を流していたんじゃ無いか。とりあえず、二人に会えたなら良かった。
「当然だよ。アイゼンは、私を何だと思ってる。私は、フェルンとシュタルクの恋のキューピットだよ。大人の民間魔法も教えてあげるお姉さんなんだから。それを聞いたハイターも泣いて喜んでくれた。ヒンメルにも、愛を知ったと伝えたら泣いて喜んでくれたんだから」
アイゼンは、どうやら黎明卿は約束を守ったがフリーレン達がやらかしたんだと理解する。どう考えてもヒンメルとハイターに致命傷を与えて帰ってきたなと。こんな事になるなら旅路に同行すればよかったとすら思った。
「アイゼン様、よろしければ子供の名前を考えては頂けませんか。ハイター様には、男女三人ずつ分を考えて貰いました。アイゼン様にも同じ位いただければと」
「構わんが。ハイターが6人分で、俺も6人分……シュタルク、お前は俺を越える最強の戦士だ」
「よくわかんねーが、師匠がそう言ってくれるなんて俺うれしいぜ!!」
馬鹿な子ほど可愛いと思うフェルン。
アイゼンは分かっていた。シュタルクは、女房の尻に敷かれるタイプだと。そこで気になったのが、12人も子供を作ったら何処で育てるかだ。アイゼンとしては孫的存在は可愛がりたい。だが、ここでは手狭で不可能だ。
「フェルン、こいつはバカだが良い男だ。しっかりと首輪を付けて管理してやってくれ。あんたのようなしっかり者がコイツには必要だ。何時誰に騙されるか分からないからな」
「えぇ、最初からそのつもりなので安心してください」
それからは、フリーレン一行の旅路の一端を知るアイゼン。勇者PT時代より過酷な旅路であったかもしれないと知る。
………
……
…
「で、お前達は結局何処に腰を落ち着けるんだ。ハイターが住んで居た家は、数年前の嵐で倒壊しているぞ。地下にあった書物などは、教会が回収していった」
「それは残念でございます。思い入れがあった場所だったのですが……せめて、教会が回収した書物だけでも取り戻したいです」
今のフェルンならば、ハイターが集めた蔵書を読むこともできる。だから、ハイターの遺品が無い事が悲しかった。後日、ボンドルド経由で全ての書物が返却される事になる。
フリーレンがアイゼンに誘いを掛ける。
「アイゼン……ボンドルドが管理するイドフロントに来ないか?フェルンとシュタルクは、子育てもあるし、一緒に住む。アイゼンも年でしょう?それに、二人の子供を可愛がるチャンスだ。魔王城から回収した沢山の武器もあるし、暇にはならない」
「誘いは嬉しいが、ここには妻と子の墓がある」
妻帯者だったアイゼンの気持ちを今のフリーレンは分かる。妻と子供の墓を守るという事がアイゼンの大切な事だ。それを無理に変えることは出来ない。
「そうか。人間の成長は早いから、顔は出しに来てよ。アイゼンの孫みたいなものなんだから」
「成長したなフリーレン。お前がそんな顔をするなんて、良い旅路だったんだな」
暫くして、プルシュカが元気いっぱいで帰ってくる。騒がしい日々も偶には悪くないと思ったアイゼン。皆に特大ハンバーグを用意する。
アイゼンは、何だかんだで年間の1/4程度はイドフロントで過ごすようになる。その間、人類最強と言われた戦士の技術を二人の子供に叩き込んだ。彼が老衰で亡くなるときには沢山の弟子達に囲まれていた。
閑話も全て完了です!!
完結の閑話までお付き合い頂きありがとうございました。
劇場版とか第二期とか放送されて感化されたら、突発的にアナザーが発生するかもしれません。
例えば、葬送のプルシュカ とか アウラ、結婚しろ とか 大魔王城イドフロント とか 誰かが原作時空に行く とかこんな感じかな。