新門紅丸のヒーローアカデミア   作:キノピオ隊長

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新門家に関する設定は、ヒロアカ世界用に考えた物なので炎炎ノ消防隊とは無関係のものです。





『原点』

 

プレゼント・マイクの合図と共に一斉に走り出す受験生たち。紅丸は足元から火を噴出させて一気に加速し、八百万もその他の受験生も置き去りにして先頭に躍り出た。

 

風を纏う少年と氷結を扱う少年は、それに追随するが徐々に引き離されていく。

 

「 チッ! アイツ、火の個性……負けねえ!」

「おお、マジっすか! 流石、雄英推薦入試って事っすね!!」

 

炎を纏い、熱風を巻き起こす紅丸の姿を見て受験生たちの中には思わず足を止めた者もいた。その圧倒的な存在感と迫力に圧倒されていたのだ。しかし、それでも諦めることなく走り続ける。

 

「……テメーら全員、遅ェ!!」

 

紅丸は更に加速し、後続の受験生たちを置き去りにする。そしてあっという間にゴールした。タイムは歴代記録をごぼう抜きする──圧倒的な速さだった。

 

(……まァ、こんなもんか)

 

紅丸は小さく息を吐き出すと踵を返して歩き出す。八百万も直に追いついてきたが、その表情には悔しさが滲んでいた。そんな彼女を横目で見ながら紅丸は口を開く。

 

「そんな悔しそうな顔するんじゃねーよ」

 

「ですがッ!! 私は負けましたわ。紅丸さんに勝てませんでしたもの……」

 

「勝ちとか負けとかじゃねェだろ。俺はただ全力で走った……お前だって全力でやってんだろ? ならそれでいいじゃねェか」

 

「……そうですわね! ありがとうございます!」

 

八百万は笑顔で答えると、そのまま紅丸の腕に飛びついた。

 

「おい、暑苦しいから離れろ」

 

「嫌ですわ!」

 

「…ったく」

 

「ふふ」

 

八百万は嬉しそうに笑うと、紅丸の腕を抱き寄せた。そして二人はそのまま試験会場を後にする。

 

 

 

 

 

 

雄英高校ヒーロー科推薦入試試験は無事に終わり、紅丸と八百万はそれぞれ帰路についた。そして後日──結果発表の時が訪れる。

 

「若様、試験結果の通知が届きましたよ」

 

「おう……ありがとよ」

 

紅丸は家政婦から封筒を受け取ると、その場で開封して中身を取り出す。そこにはディスクの様な物があった。

 

「これは……」

 

紅丸はディスクのボタンを押すと、映像が投影され流れ始める。そこには雄英高校の校長である根津が映っていた。そして彼は話し始める。

 

『やぁ! 初めましてだね!僕は雄英高校で校長をしている根津さ!さて、早速だけど本題に入らせてもらおう!』

 

根津はそう言うと、ディスクを操作して別の映像を映し出す。それは雄英高校の実技試験の映像だった。そこには紅丸が映っている。

 

『まずは筆記試験の結果だけど、これは文句無しの合格さ! そして次に実技試験なんだけど、率直に言おう。君はトップの記録で合格さ!』

 

「まァ……当然だ」

 

『だけど、試験結果を見て驚いたよ!まさか歴代最高記録を叩き出す受験生が現れるなんてね!!驚きだよ!!』

 

根津はそう言って笑う。紅丸もまんざらでもない様子で笑みを浮かべた。

 

紅丸は炎熱を自在に操る強力な個性の持ち主であり、その実力はプロヒーロー顔負け。しかし、彼はヒーローになるつもりは無かったため雄英高校の推薦を受けるつもりはなかったのだが……幼馴染の八百万百がどうしても受けて欲しいというので仕方なく受けたのだ。

 

(それなりに手応えはあったか……)

 

紅丸は自分の掌を見つめながら内心で呟く。彼の個性は非常に強力で汎用性も高い為、その気になればトップヒーローとして活躍することも夢では無い。だが、彼はその道を選ばなかった。理由は単純明快──面倒くさいからである。

 

(まァ……百の奴がどうしてもって言うから受けただけだしな)

 

紅丸は面倒くさそうに頭を搔くと欠伸をした。そして椅子にもたれかかると目を閉じる。そんな彼を見て家政婦は苦笑いを浮かべた。

 

「若様なら、最高のヒーローになれます。この町のみんな、そう思っているんですよ……」

 

 

 

 

──新門紅丸。

地元の住民たちからは「紅、紅ちゃん、若」の愛称で親しまれており、心の底から慕われている。

 

 

何故、慕われているか……

 

その特別な家系が理由か?─否

その強力な個性が故か?─否

その強靭な肉体が故か?─否

 

彼を慕う理由はただ一つ、その行動と精神が故だ。彼はこの街の人々にとって、真にヒーローなのだ。八百万百が彼を慕う理由もまた、同じ……。

 

 

 

 

「紅丸さん、今日は私の家にいらっしゃいませんこと?」

 

私は幼馴染である新門紅丸さんにそう声をかけた。彼は面倒くさそうに頭を掻いた後、口を開く。

 

「あ? なんでだよ」

 

「私達二人の合格祝いですわ、今日は私の家に招待しようと思っていましたもの。それにお父様もお母様も貴方に会いたがってますわ」

 

「面倒だな……ちょっと待ってろ」

 

紅丸さんは面倒くさそうにしながらも渋々了承してくれた。

 

「ありがとうございます!」

 

私は満面の笑みを浮かべて答える。すると紅丸さんは小さくため息を吐いて立ち上がった。そして私の頭を軽く小突くと、そのまま歩き出す。

 

「ほら、行くぞ」

 

「はい!」

 

私は元気よく返事をすると、彼の後を追った。

 

(ふふ……紅丸さん、貴方はヒーローになるべきです。いや、あの時から私にとっては……)

 

 

 

 

新門紅丸の地元、静岡県浜松市天竜区は、浜松市を構成する7つの行政区の1つ。

 

天竜地区はその豊かな森林に恵まれ、有名な観光名所も多く、『今の根本』と言われる秋葉山本宮秋葉神社もその1つ。

 

 

──『天竜大火災』

後に、タルタロス監獄に投獄されるほど凶悪なヴィランによる犯行が原因の大火災が今より2年前に起こった。

 

最悪の事態。町に事務所を構えるヒーロー達も怯え逃げ出す中、立ち向かった若者が居た。

 

それが、新門紅丸である。

彼は熱を操り、火災を鎮火させただけでなく、事態の最中に人を攫っていた凶悪ヴィランの元に単身乗り込み制圧した。

 

 

 

八百万百は、ヴィランに攫われていた当事者だった。

 

 

 






次回、【新門紅丸:オリジン】──“天竜大火災”。
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