【二次小説】航宙軍士官、星を統べる (原作:航宙軍士官、冒険者になる) 作:高坂 源五郎
ベルタ王国統一記 19 閲兵
「者共、この方が私がお仕えするアラン・コリント卿だ。私はコリント卿への忠誠を女神に誓った。以後、失礼のないようにせよ。」
ウルズラの号令に従い整列した500名の兵が一斉に膝を折る。ガンツの門前での閲兵は速やかに進行した。
「諸君、俺がベルタ王国護国卿のアラン・コリントだ。辺境伯でもある。この度、セシリオ王国のウルズラ・ドプナー女伯爵とは盟約を結び同志の間柄になった。彼女の事は俺が全力で庇護する。無論、諸君も我らの同志だ。君達をガンツに歓迎する。ささやかながら兵舎も用意した。」
女性の騎兵隊長のロベルタが進み出て謝辞を述べる。
「寛大なご配慮、痛み入ります閣下。」
ロベルタは礼儀正しくしているが抜き放たれた刀身のような危険な雰囲気を四方に放射している。すらっとしたショートカットの女性で、凛々しい顔立ちをしているから男性よりは女性に人気の出そうなタイプだ。
ロベルタは中々の猛者らしく、果敢にもドラゴンのグローリアに挑み掛かって攻撃を加えたらしい。グローリアの鱗に阻まれて武器を壊した事もあってセリーナの停戦の説得に応じたそうだが、人を相手にしていたら数名仕留められていてもおかしくない雰囲気だったそうだ。
「では、行きましょうか、コリント卿」
ぼんやりとウルズラの騎兵を眺めていると、ウルズラが俺に入城を促す。
「分かった。」
ウルズラと2人馬を並べてガンツの門に向かう。ウルズラの兵はあくまで従順だった。ちょっと拍子抜けする程だが、貴族同士が手を組むと従う部下は素直に言う事を聞くのは当然なのかもしれない。やはり彼らは貴族の私兵であって、国民国家の兵士ではないからだろう。
「(アラン、ウルズラはアランの嫁気取りじゃないですか?)」
「(そうそう、アラン。ちゃんと釘をさしておかないと)」
「(別に結婚の約束なんかしてないの、知っているだろう。)」
「(ウルズラの兵は、主人の夫だからいう事聞いている感じですよ。)」
「(リアもエルナもヤキモキしてるんじゃないかなー)」
今日はセリーナとシャロンからの通信がやけにうるさかった。俺としては味方を増やす絶好の機会と思ったのだが。リアを蔑ろにするつもりはないが、セシリア王国出身の人間が増えるとこれまでの結束がギクシャクするのだろうか。
いや、ベルタ王国だけでない。セシリア王国とアロイス王国が敵として控えている。味方に出来る相手は味方にしておくべきだろう。
「(俺がウルズラを仲間にしたのは純粋に国取りの目的の為だ)」
「(アランは世の中に不純な動機の方が多い事を理解した方がいいわ)」
「(むしろ恋愛こそが純粋だと思います!)」
予め事情を伝えておいたからだろう。ガンツへの入城にトラブルなかった。俺は頭の中に直接響く喧しい声に悩まされながら、俺たちはウルズラの兵を拠点へと連れ帰った。
「アラン様、ちょっと宜しいですか」
「どうした?」
会計を任せているカトルに声をかけられたのは、ウルズラの兵が兵舎に収まったのを確認し終えた頃だった。
「最近の金貨の消費が激しくて」
カトルの話す内容を聞いて俺は唸った。
「すぐに行くから、後は執務室で話そうか。」
アレスを迎撃に出て以降、捕虜の収容や兵舎の拡張で金を費った。単純に兵を動かすと金がかかる。イーリスのチェックを経ているので残高不足は無いはずだが、出費の多さが会計担当のカトルに懸念されるのは理解できた。
リアとエルナ、セリーナとシャロンに声をかけておこう。本来はロベルトに出席して欲しいところだが、ライスター卿は呼んでおこう。出席者が揃った所で開始を宣言する。
「さて、カトル。今日は会計について報告があるそうだね。」
「はい、アラン様。アレスを出て以降、資金は減る一方です。軍事活動に資金が必要なのは俺も理解していますが、これではすぐに立ち行かなくなります。」
カトルの纏めてくれた資料を回覧する。元々、手持ちの資金はその多くを開拓民の移動と雇用に回している。数年間は税収より持ち出しが多くなる事を覚悟してはいた。だが急に活動領域がアレスだけでなくガンツにまで拡大した事で経理が破綻しかけていた。
「ふむ、まず、ガンツにかかる経費がアレスの会計で計上されているものがあります。もうガンツの税収を利用できるのですから、そちらから資金を捻出すれば良いのでは無いですか?」
流石はライスター卿だった。
「どうなんだ、カトル?」
俺はカトルに尋ねた。
「費用面がここまで切迫しているのは確かにそれが理由です。アレスの会計でガンツの経費も支払っています。拠点の費用に兵舎の費用、捕虜や志願兵、同盟軍団の宿泊費ですね。」
「それをガンツの会計で支払えば解決じゃ無いか?」
「アラン様、それには手続が必要です。我々の商業ギルドの決済用の口座は一つ。アレスのものしかありません。ここに請求が集中します。我々は手持ち資金で支払った後に、改めてガンツの口座に請求します。そのタイムラグで手持ち資金が不足する可能性があるのです。」
「なるほど。ガンツの税収を抑えて安心していたが、そんな落とし穴があるんだな。」
「志願兵や同盟軍の滞在費は本来ガンツの会計で支払うものです。その辺りは商業ギルドとの折衝でどうにかなるのでは無いですか?」
エルナが口を挟む。捕虜だった志願兵を管理する立場だけに気になるのだろう。
「商業ギルドが絡む以上、請求の精査に時間がかかるそうです。」
「そうなんですね。」
エルナが少しションボリしている。せっかく兵を増やそうとしているのに、資金の制約で頓挫するのを恐れているのだろう。俺がガンツの領有を認められたと言っても3年間の期限付きである。俺の物でない以上、手続きは管理する商業ギルドに従う必要がある。
「これは傾向という話だよな?軍の報酬や経費で金貨を支払ってしまうと、ガンツから回収する前に手持ちの資金が尽きる可能性があると。」
「はい、そうなります。」
カトルの返事は明快だった。
「なるほどな。」
大量の金貨がある内は問題は表面化しなかったばすだ。いや、こちらの経済規模に対して金貨の量が相対的に大きかったのだ。今の段階で資金が不足しているわけではないが、俺たちの経済規模が飛躍的に増えたので手持ち資金が不足する可能性が出たのだ。
「担保を設定するなど解決策はありますが抜本的な解決になりません。」
「なにが理由なんでしょうか? 帳簿上は黒字に収まっているように見えるのに。」
シャロンが質問する。セリーナとシャロンはイーリスの帳簿を参照できる、他のメンバーより問題を追求できるだろう。
「そうですね。理由は幾つがありますが、究極的にはガンツの商業ギルドに対して赤字なんです、金を払うだけで資金の回収が出来ていません。」
全体で見ればイーリスによる操作で最適化されている会計も、実際に金を支払う事の多い商業ギルドとの関係で見れば、持ち出しになっているのか。
「本来はアレスの商品をガンツに販売する事で回収可能な予定です。ですが、これが滞っています。」
「どうしてだろう?会計上の金額はかなり抑えている数字のはずだ。」
たまらず俺も口を出した。どうも問題の根源が特定できそうな気がした。
「理由は幾つがありますが、やはり商業ギルド絡みですね。」
「というと?」
「アレスは発展途上の都市ですが、その為に幾つか欠点があります。その一つが商業ギルドがまだ存在しない事です。」
「ガンツの商業ギルドに機能を肩代わりしてもらっているがそれは問題か?」
「はい。アレスで売買出来ないので、会計上不利になります。税収もそうですが、ガンツまで運ぶ経費もこちら持ちです。」
「なるほど。売買に伴う税金はガンツに入る仕組みか。」
「というより、アレスで本来発生する税収がガンツに吸い取られていますね。」
イーリスによる計算上は、ガンツで税を回収してもアレスで税を回収しても違いはない。だがガンツで回収した税は、商業ギルド経由となる為に支払いが遅れる。
また輸送費もバカにならない。仮に同じ値段で買い取られるならガンツよりアレスで売る方がいいだろう。確かに輸送距離は伸びるが、買い手にとっては許容範囲内の筈だ。ここでの問題は輸送費を代金に上乗せして回収できるにしても、経費として先に払う必要があるという点にあるらしい。輸送費は先払い、輸送後の代金受け取りで決済時期も数日後ろにズレて、税の回収は後払いとなると。
カトルに解説されると構造的な問題が見えてきたな。
「無限に資金があれば、このような決済時期の違いは問題になりません。」
「しかし、軍を動かして金を使うと帳簿上は金はある物として使えるが、未回収の税や代金があると会計上は問題なくても手持ち資金が一時的に尽きるんだな。」
兵の宿泊費などは毎月固定の額ではない。その為、金のやりくりがシビアになるらしい。
「対策としては現金を多く確保する事です。が、それは可能だとしてもあまりやりたくないですね。」
「それはどうして?」
セリーナが問う。セリーナはギニーアルケミンの存在もアレスに保管する金の総量も把握している。現金の保有を増やせると知っているので、それを解決策としたいのだろう。
「物理的に持ち運べる量に限界がありますし、盗難対策など管理の問題もあります。それに金貨は寝かせておいても増えませんし。まぁ元々金貨は簡単に増やせないんですけどね。」
カトルはそう言って笑っていた。だがギニーアルケミンを入手した今、樹海で確保した手持ちの金は全て金貨として使える。現金の保有量は格段に増やせる筈だった。だがそれはそれとして、今の歪な構造には対策が必要だろう。
「カトル、アレスに商業ギルドがあれば状況は改善するか?」
「そうですね。改善はします。」
アレスに商業ギルドが出来れば、輸送費は商人が払い、税収はアレスに入る。カトルの説明したモデルだとそのように機能するはずだ。
「ただ、資金の消費先がガンツ主体なのはやはり問題ですね。」
「まぁガンツの税収を直接扱えない以上、今は難しいな。」
この問題をじっと時間をかけて分析していたライスター卿が問題を見抜いた。
「兵舎や拠点の費用も結局は商業ギルドが管理しているのです。精査の必要がないものもあると思いますよ。恐らく一括で請求を出すのではなく、商業ギルド請求のものはそのまま請求書を突き返すようにして『ガンツに請求しろ』と伝えるとスムーズに行くはずです。」
「なるほど。商業ギルドに言われた通りに支払うものは、審査期間の短縮を申し込めそうですね。特に固定で費用が発生するものは。」
カトルも納得している。手続き論もあったという事か。こちらで会計をまとめずに請求書をそのままガンツに回すという手法。ギルド発行の請求書なら向こうも拒めないだろう。
「その線でうまく処理するように、俺から商業ギルド長に頼んでおこう。それに手持ちの現金は増やせる筈だ。当てもある。」
「となれば尚の事、アレスへの商業ギルドの誘致もしたくなりますね。地元の商業ギルドで検品すると優遇を受けられますし、商業ギルドが無いと商人が安心して取引できないので。」
「そうだな、そこもサイラスさんに相談してみよう。新ギルドが商売敵になるかもしれないので、サイラスさんには断られてしまうかもしれないが。」
しかしカトルがいて良かったな。AIであるイーリスは全体のバランスを取るのが上手い。しかし、身体がない以上、現地の経済についてはカトルやライスター卿の知識や経験は有用と証明されたな。
「さて、今日は王国軍やウルズラの兵が初めて一堂に会する夜になる。粗末な宿舎だが食事はせめて豪華にしたい。夕食は親睦を深める為にも、屋外形式で鉄板を使った料理を振る舞おうと思うんだが。」
鉄板を使った料理はクランのメンバーに好評だった。王都から移民を連れて歩いた際にも披露している。
俺の調理スタイルに慣れた団員も多いので捌く係、焼く係と分業も進んだ。自分達の食べるものだからこそ手を抜かなかった成果だが、ちょっとした屋台顔負けの品だ。自分達で用意すれば好きなだけ食べられるのもいい。
「賛成、久しぶりにアランの手料理を食べられるわね。」
リアが早速同意する。
「まだ日がある、手分けして材料の調達をしてきてくれないか?」
「それではリア様、久しぶりに釣りに行きませんか?」
釣り好きのエルナがリアに声をかける。
「ウルズラも連れて行くほうがいいわね。」
「そうですね、女神ルミナスに誓ったとはいえ、抜け駆けしないとも限りません。連れていきましょう。」
「それじゃ、私達は狩りに行きましょうか。」
「そうね、腕が鳴るわ。」
セリーナとシャロンは狩りに行くようだ。
「量が必要になるから馬車で行くといい。護衛は必ず連れて行ってくれよ。」
「了解!」
会議終了後にカトルにはウルズラの兵が必要となりそうなものの手配を頼むことにした。具体的には酒だ。戦争状態だと酒は厳禁だが、同盟関係を結んだ今は酒宴で親睦を深める方がいいだろう。
珍しく一人になった。今日は宴会以外の差し迫った予定もない。現在の課題をイーリスに検討させよう。
「(イーリス、ガンツとアレスの輸送の問題を解決できないだろうか?)」
「兵員輸送でしょうか?貨物輸送でしょうか?」
「(両方で頼む)」
「現在のテクノロジーレベルで可能なのは馬車による輸送ですね。馬車の輸送の次の段階は鉄道馬車、決められたレールを馬車が走るものです。乗り心地も良く輸送力も上がります」
「(レールを敷くコストを度外視しても、騎馬で二日の行程だし魔物の対策もある。鉄道馬車では先々まで考えると需要を満たせるほどの進化が難しいな。)」
「ならいっそ鉄道を敷いてはどうでしょうか?」
「(というと?)」
「樹海を都市の候補地として選定したのは化石燃料も豊富な為です。ごく原始的な内燃機関は現在のテクノロジーレベルでも実現可能です。銅の加工が可能で、蒸留器のような複雑な形状のものを作成可能です。この蒸留器は実態としては圧力容器とも言うべきものです。鉄道の上を走る蒸気機関車は十分に実現可能です。」
汽車か。それこそ小説やホロビデオの中でしかしらないが、実現可能ならいいかもしれない。
「(可能だろうか?)」
「鉄道敷設の最大の難所は、用地確保とレールの敷設費用です。用地は確保済、レール敷設は汎用ボットで対応可能です。鉱石の埋蔵量も問題ないはずです。製鉄所もアレスに用意してありますし、装備の作成に必要ということで人員は優先配備しています。レール、いわゆる軌条の規格を決定すれば製鉄は可能ですが、鉄鉱石の入手と製鉄所や汽車の運用に必須となる化石燃料の調達が必要ですね。」
「(汽車を運行したらどれくらいの時間でアレスとガンツ間を結べる?)」
「予定速度としては経済性を加味して時速50kmでしょうか。最高速度の目安は時速100kmですね。ガンツ・アレス間でしたら2時間程度の距離です。完全停止状態からだと釜炊きなどの準備動作も必要ですが。」
2時間。馬で2日かかる距離が2時間なら革命的といっていい。
「(目的である航宙艦のリアクター開発に比べればローテクノロジーも良いところだが、科学の発展を目に見える形で示すことこそ大事だろう。よし、汽車の設計と軌条敷設の計画をねってくれ。実現したら皆を驚かせられるな)」
「はい、蒸気機関の開発はリアクター開発為の確かな一歩ですね。しかし鉄鉱石と化石燃料の調達はお忘れなく、艦長。」
その時、執務室をノックする音が聞こえた。
「入ってくれ。」
なんだろう。顔を見せたのは拠点に詰めている八班班長のケリーだった。
「商業ギルドの担当者が閣下に面会したいとのことですが。」
カリナさんか。そうか、商業ギルドが王都に報告する通信文の内容を確認させて欲しいと頼んでいたな。その結果報告にきたのだろう。
「名前を確認してカリナさんならここに通してくれ。後、ダルシム副官とライスター卿の手が空いていたら呼んでほしい。」
「かしこまりました。」
特に外出の予定があるとは聞いていない。リアの狩に連れ出されていなければ2人はまだ拠点内に居るはずだった。
再びノックの音が響く。
「入ってくれ。」
「商業ギルドの担当者をお連れしました。」
カリナさんが部屋に押し込まれる。しまったな、まだ同席者がいないから、部屋に外部の女性を連れ込んだようにしか見えない。ダルシムやライスター卿が早く来てくれるといいが。
カリナさんも部屋に誰もいない事に気がついたのだろう。顔を赤らめてモジモジとしている。
「カリナさんすみません。いつもは護衛代りに誰かしらいるのですが、タイミング悪く狩に出てしまっていて。そこに腰掛けてください。」
「アラン様、その、商業ギルドの通信文をお持ちしました。」
俺は立ち上がり、通信文を受け取ろうとカリナさんに向けて手を伸ばす。すると、カリナさんがいきなり俺の胸に倒れ込んできた。
「カリナさん、大丈夫ですか?」
「あの、私、以前からアラン様の事をお慕いして」
カリナさんの潤んだ瞳が俺を見上げている。視線を合わすと引き込まれそうになる。カリナさんの言葉と共に2人の顔の距離が縮まる。だが、カリナさんが漏らしかけた言葉を言い終わらぬ内に力強いノックの音が鳴り響いた。挨拶を待たずしてドアが開く。カリナさんが飛び上がった。
「アラン様、失礼します。どのようなご用件でしょうか。」
「ダルシム副官良いところへ。今朝の作戦についての商業ギルドの通信文を届けて貰ったんだ。一緒に確認しよう。」
入室したダルシムはそこで初めてカリナさんの存在に気がついたようだった。カリナさんの様子を見て何か察したのか、髭を扱きながらニヤニヤ笑いを浮かべる。
「何かお邪魔でなければ良かったのですが。」
「心配するな、何もしていない。」
ダルシムはライスター卿を伴っていた。カリナさんから受け取った通信文を回し読みする。
『ガンツ近郊にセシリア王国の騎兵500が侵攻。護国卿が敵の指揮官を捕らえてこれを撃退。身代金により解放の予定。』
ふむ。商業ギルドに伝えた内容は網羅されている。捉えた貴族の名前がないが、この辺りは商業ギルドの方でこっそり金を取って名前を伝える印象だ。それはまぁ良いだろう。身代金により解放の予定というのも良い感じだ。拘束中で帰還していないのが自然になるし、人が動くのも理由がつく。
ライスター卿に手渡すと目でしっかりと頷いていた。
「護国卿が他国の兵を撃退した活躍が記載され、指揮官を捕らえた事が伝わり、素性を伏せたままで生存したと分かるようになっている。よくかけていますな。」
「お褒めに預かり恐縮です。」
カリナさんが手を出してギルドの通信文を受け取ってしまい込む。
「ありがとう。商業ギルドの働きには満足しています。昼は聞きそびれましたが、紹介状を持たせた部下達の宿の手配も無事に済みましたか?」
「はい、商業ギルドをお尋ねの皆様には、きちんと宿をお世話しております。」
カリナさんはホクホク顔だ。俺達と宿の両方にいい顔ができるし、商業ギルドの収入にもなるのだろう。
「そうだ。サイラスさんに食事にお誘い頂いた件、そろそろ大丈夫そうです。リアが担当しますので、良かったらリア宛に予定を確認する連絡を頂けませんが。生憎と今日は出かけていますが。」
「かしこまりました。リア様にご都合を確認の上で、招待状をお送りするように致します。」
よし、今の用事はざっと済んだな。
「いい機会ですので、サイラスさんとは少し込み入った話もすると思います。」
「かしこまりました。アラン様のお言葉、ギルド長のサイラスに申し伝えます。」