07.VAVA、協力者を(勝手に)見つける
----X Side----
前回のΣの事件は、失うものしかない戦いだった。
ゼロが戦いで大破し、現代の技術では復元できないことからまだ意識が戻っていないことに加えて、解雇されたVAVAや、Σと共に反旗を翻したハンターが抜けたことによって今のイレギュラーハンターは人材不足となっていた。
特にVAVAの解雇については皆納得しておらず、その原因は前回の事件でレプリフォースによる救助活動が人間たちに支持された反面、それを自主的にしなかったハンターに抗議が集中したのが起因だった。
その後ハンター司令部は被害が拡大したことを、VAVAが命令無視による拘束が原因で、普段から従順であればこの事態を防げたと言い出した。
そしてVAVAに人前で謝罪させることを、解雇をちらつかせながら強要しようとしたが、頭を下げようともしなかったVAVAに立腹し、何も考えずにそのまま解雇を言い放ったのが顛末だ。
更に今回のような大きな騒動は早々起こらないと、他上層部達が決め付けたこともそれを後押ししてしまった。
とはいえVAVAはそれらを何とも思っておらず、特に反論することなくそのままハンターを辞め、レプリフォースからのスカウトも断って今は傭兵として強盗など軽犯罪をするイレギュラー退治をしていると聞いている。
もっとも、それがイレギュラーハンターの仕事を奪っていると一部が騒ぐという別問題になっている。
「だからと言って、俺を隊長に据えなければいけないほどになるなんて・・・」
残ったハンターで効率良く動かなければいけないことを考えていると、動揺のあまり叫ぶアイリスから通信が入った。
アイリスはゼロが大破してから毎日のように見舞いに行っていたのが、修復中だったゼロの機体が何者かに盗まれたとのことだ。
監視カメラや破壊されたレプリロイドに残された映像からデータベースと一致するレプリロイドはいないとのことで、俺に連絡をしたらしい。
急ぎ捜査隊を編成しようとしたところ、モニターが急に切り替わり、見たことのないレプリロイドが映る。
『こんにちは、レプリロイドと人間の皆様。本日は朗報をお届けに参りました』
電波ジャックによって映った画面の人物は自称カウンターハンターのアジール。
同様に画面に映っている2体のレプリロイドは、それぞれサーゲスとバイオレンと名乗る。
『イレギュラーハンター共が倒したつもりになっているΣ様ですが無事修復を終え、我々と共に活動再開していただくことになりました。そのため本日は復活セレモニーのため、特別なショーをお送りいたします』
画面が変わるとそこにはサーゲスと共に、行方不明だったゼロが鎖に繋がれていた。
『なおショーの景品はそこに立てかけているゼロじゃ。いつまで経っても無能なイレギュラーハンターは修復しようとしないので、ワシ達がいただいてやったよ』
『ガハハハ!そしてこの景品に挑む挑戦者は、もうじき・・・』
バイオレンの言葉が終わる前に、ゼロ達のいる部屋の壁が崩れ、ライドアーマーに乗ったVAVAが現れる。
乱暴に登場したVAVAだが、アジールはまるで予定調和のように紹介する。
『スペシャルゲストとして、こちらの元ハンターVAVAさんを招待させていただきました。・・・それにしても、最近のレプリロイドは扉の開け方も知らないのですか?』
『ハンター共が欲しがる物をやると聞いて招待されて来たんだが、ライドアーマーを停める駐車場が見つからなかったんでな。次があればもっと
開けた壁の奥には数十のメットールなどレプリロイドの残骸が見え、変わらぬVAVAの戦闘力が垣間見える。
その味方がやられている光景をバイオレンは大きく喜びつつ、鉄球を投げつける。
『貴様を呼んだ理由は、今Σ様に付いているレプリロイド以外でもっとも強敵だからだ!残っているイレギュラーハンターは出がらしだらけで、俺たちの実力を示す見せしめとして、処刑させてもらうぞ!!』
投げられた鉄球をVAVAはライドアーマーを乗ったまま避けると、そのまま加速して突撃する。
急加速によって勢いが付いたライドアーマーをバイオレンが正面から受け止めようとするが、勢いを止めることはできず壁に追突した。
起動停止にはなっていない様子だが、腹部が潰れたバイオレンは壁に押し付けられたまま動かなくなった。
『なんだ。俺のライドアーマーと力比べをしてくれると思ったが、もう終わりか?』
『では私と遊んでいただきましょうか!?』
ライドアーマーではなく搭乗しているVAVAを直接攻撃しようと、アジールが上空から切りかかる。
だがVAVAはライドアーマーを操作し、
『がぁぁ!よくも私の右腕と右脚を・・・!』
『ほぅ。本当なら縦に真っ二つにするつもりだったんだが、よく避けたな』
アジールを一瞥したものの、これ以上相手にする必要はないと思ったらしく、残ったサーゲスへとライドアーマーを動かす。
2体が戦闘している間サーゲスは地雷を設置していたが、VAVAのライドアーマーがそれを一つずつ踏みつぶす。
『3体もいてこの程度か。ライドアーマーに乗った俺に、勝てると思っていたのか』
言葉に詰まるサーゲスを、VAVAはライドアーマーで殴り飛ばす。
他に向かってくる敵がいないことを確認すると、VAVAはライドアーマーを降り、ゼロの鎖を外し始めた。
『タダ働きはごめんなんでな。こいつを回収すればハンター司令部から謝礼ぐらいもらえるはずだから、いただいていくぞ。・・・今回だけはそれで貴様らを見逃してやる』
全ての鎖を外したところ、今まで動かなかったゼロが目を開き、ゆっくりと立ち上がった。
『なんだ。立てるくらいには修復されているならそう言え。ここの座標をイレギュラーハンターに送ってやるから、迎えが来るまでそこで突っ立っていろ』
端末から通信を送ろうとVAVAがライドアーマーに戻ろうとしたところ、突如背後から剣を突き立てられる。
『な・・・!?ゼロ、貴様・・・!!』
何か言おうとするVAVAから剣を抜き、ゼロは回し蹴りでVAVAを蹴り飛ばした。
そしてゼロは何も言わず、カメラに向かってバスターを撃ち、放送は終了となった。
その後しばらく呆然としているうちに事は進み、第二次Σ事件が正式に発足し、ゼロはΣに寝返ったイレギュラーとされ、VAVAは生死不明のまま行方不明扱いとなった。
----サーゲス Side----
VAVAとの茶番後、アジールとバイオレンの修復指示を完了したワシは、研究室までご足労いただいたΣ様へ首を垂れる。
「このようなところまでわざわざ来ていただき、ありがとうございます。Σ様」
「世事はいい。わざわざ私を呼び寄せたのは何のためだ。サーゲス」
「こちらをご覧ください。此度の戦いにて、映像にくぎ付けとなっているXになります。このVAVAにすがるような希望から、ゼロの行動に大きく落胆する様子が録画されており、なかなか笑えますぞ」
「ほぅ。ハンター側にスパイでも紛れさせたか」
「その通りですじゃ。また既にご報告した通り、VAVAの買収も完了しております」
アジール達と違い、自ら修復を行うため研究室に運び込んだVAVAを指さす。
「所詮こやつは戦うことしかできないレプリロイド。VAVAの方からワシの頭脳を頼りに売り込んできましたので、今回の戦闘は筋書き通りの茶番ですじゃ」
しかしゼロの調整が不十分で、想定よりVAVAにダメージが入ってしまい、Xとの決戦までには間に合わないかもしれないことをΣ様に詫びる。
「また今後の予定になりますが、VAVAにゼロのような洗脳はいたしません。洗脳をするとVAVAのノイズがなくなる可能性があり、このノイズは倫理観などなく思いつくまま兵器開発をするプログラム。最悪VAVAはこのノイズ情報を抽出させるだけでも価値があるので、消すのはもったいないからですじゃ」
「・・・なるほどな。既にVAVAをこちらに招けているなら、突貫工事で中途半端な修復する必要はない。それよりもXへの対策となるゼロの修復と洗脳を優先させろ」
「はっ。仰せの通りに。またVAVAの意識が戻り次第、Σ様にお目通しさせます」
「うむ。今後も励むように」
報告を受けたΣ様は声がけしつつ、そのまま退室される。
しばらく待った後、盗聴と盗撮防止のプログラムを立ち上げる。
「さて・・・。ここまでは予定通りじゃ。それでは交渉を続けようじゃないか。貴様がどこでダブルギアシステムを知ったのか、答えてもらうぞ」
ワシの声がけに、今までスリープ状態のふりをしていたVAVAが顔を上げる。
「ようやくか。・・・しかし、ノイズ共から聞いていた話と違うな」
「不躾になんじゃ」
「貴様は悪の道に走っても、ロボットへの想いはあると聞いていた。Σの手先になってまで人間を滅ぼそうとは、語るに落ちたな」
「若造が何を知っておる!?」
「教えてやろう。ノイズ共からの過去と未来をな」
その後のVAVAの話は、決して嘘と断言することはできない話だった。
少なくとも過去の話については一切の偽りはなく、それらを知っているならばΣ様に従う自分を落ちたと言われても致し方ない。
「・・・確かにワシは世界征服を諦め、
だが過去や今はともかく、未来について聞き捨てならないことがあった。
「貴様がノイズから知ったという、未来のバイルという奴は気に入らない。ワシ達が作ったロボットを勝手にコピーや改造していることもそうじゃが、世界征服のことをまるでわかっとらん!世界征服とは、相手を屈服させてその上に居座ることを言う。都合の悪い者を洗脳したり、ましてや存在を亡くすことではない!!」
「ノイズ共は『貴様が言うな』と言っているぞ」
「やかましい。・・・気に入らないことはもう一つ。悪行三昧のワシはともかく、世界平和に尽くしたライトの名前が語り継がれないことが我慢できん!」
ここ最近は感じることがなかった、大きな怒りを覚える。
「
こんな話をされて黙って聞き流すことは、ワシにはできない。
「VAVAよ。ワシは
「覚えるのが面倒だ。お前なんてじじいで十分だ」
「口の減らない奴じゃ。・・・ただし先ほどの話が嘘だったり、今後つまらない選択をするようならば、貴様の意思だけを残してワシの捨て駒にしてやるぞ」
「いいだろう。俺は戦闘を楽しむ。貴様はノイズ共の兵器を作り、世界征服を企むでいいな?」
「契約成立じゃ。・・・今後じゃが、お主はナノマシンで自動回復するんじゃったな?ならばワシはΣ様のご命令通り、ゼロの修復と洗脳、そして自身の強化を優先させてもらう。予言通りΣ様が負けて基地が爆破されると困るので、貴様は使っていない別の基地に放置する」
「わかった。自分で動けるようになり、ドップラーの作戦が開始するようならば合流する。・・・もしお前たちがXに勝てたなら、その時は改めてどちらが世界最強か決めてやる」
どうせこやつのことだから世界最強などはどうでもよく、その過程の戦いを楽しみたい目論見だろう。
ワシが世界征服を成し遂げるか、VAVAが倒れるか。
競争と行こうではないか。
キャラ視点の作成時間、約1ヶ月。
掲示板形式の作成時間、約2時間。
これもネタを挟まないと死んじゃう病の副作用・・・!