【完結】聖女勇者見習いたちと追放された魔界最恐王子のハーレム性春記   作:アニッキーブラッザー

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第3話 新たなる魔界

――大将軍もラギルも、中古のクソビッチ共もミナゴロシだ

 

 外套で姿を被い、誰もが俺の正体に気づかない中で、歴史的瞬間に民たちの声が煩く響いた。

 

 

「号外いいい! 号外いいい! 魔界の王族一族の滅亡! 魔界の新時代到来! 新たなる魔王はクーズオ元大将軍!」

 

「「「「「新・魔王誕生ばんざーい! 新・魔王誕生ばんざーい!」」」」」

 

 

 どうやら俺も死んだということで問題ないようだ。

 王都から遠く離れた田舎町にまで号外が飛び交って、民たちの歓声が上がっている。

 

「長年人間たちに対して何の成果も得られなかった無能な王族に代わり、強い魔王の誕生だ!」

「地上の人間どもを討ち滅ぼし、我ら魔族が地上と太陽を手に入れるのだ!」

「もともと地上は我らの領土!」

 

 なるほど。どうやら本当に新魔王を魔界は望んでいたみてーだな。

 確かに俺たちの一族は長年、地上の人間たちと戦っていたが、人間を滅ぼすことも、地上を奪うこともできないでいた。

 戦争によって積み重なった恨みや鬱憤がついに爆発したか。

 

 だが、それがどうした?

 

 だから俺が今こうなっていることは仕方ないことだとでもいうのか? 知ったことか。

 この恨みは必ず晴らしてやる。

 あのクソ野郎も……そして、あのクソ女共も……邪魔する奴らも皆殺しにしてやる。

 

「とりあえず、俺が死んだことになっているのは幸いしたぜ。まぁ、実際に死ぬかと思ったけどな……」

 

 魔海が見える結婚式場。

 傷だらけの俺はその場から逃亡するために海へ飛び込んだ。

 既にラギルの……あのクソ女の刃で致命傷を負っていたことに加え、荒れ狂う海に体をズタズタにされた。

 俺の遺体が見つからずとも、俺が死んだと新魔王軍の連中が判断したのも無理はねぇ。

 

「だが、俺はこうして生き延びた。今の内せーぜい束の間の権力に酔ってやがれ……いつか必ず全員抉ってやる!」

 

 不思議なものだ。

 心の奥底から絶え間ない炎のようなものが沸き上がる。

 自然と笑みが零れてしまう。

 どれほどの苦痛をあいつらに与えてやる?

 あのクソ女にどのような絶望を与えてやる?

 生き延びてすぐにこれからの人生の野望ができて良かった。

 たとえこの身がどうなろうと果たして見せる……

 

「……とは言ったものの……」

 

 と、そこで少し冷静になって現状を確認してみる。

 街に舞っている大量の号外を手に取って中を見る。

 

「親父……長年支えた軍幹部……死んだか?」

 

 不思議なもんだ。結婚式前に親父たちと少し打ち解けて嬉しいと思えた。

 だが、こうしてその親父たちの死を紙面で知っても、イマイチ実感が沸かねえから、涙も出ねえ。

 それは俺が歪んでいるからなのか分からねえが、今の俺にはそれよりも優先すべき考えがあった。

 

「味方は……いねぇ……か……」

 

 正直、この状況になっちまったら、俺に味方がいねぇ。

 勿論復讐を果たすのだから自分の手でやるべきだと思っている。

 しかし、相手は生まれ変わった新たな魔王軍でもあり、魔界全土。

 俺一人で吠えて暴れるにも、現実的に限界がある。

 暗殺というのも、多分難しいだろうな。

 死んだことになっている俺も、王都に近づけば魔力を感知されるだろうし。

 

「仲間なんざいらねぇ……ただ、クーズオとラギル、そしてあのクソ女共へ辿り着いて新魔王軍を壊滅させるには、手駒がいる……」

 

 仲間なんていらねぇ。だって、ダチだと思っていたあいつらは俺を平気で騙してたわけだ。

 

「金は……装飾品を適当に売って多少はあるが、傭兵や軍団を作るほどはねぇ……その辺の山賊や盗賊でもぶちのめして配下に? どうしたもんか……」

 

 誰も信用できねぇ。

 だから、死んでも後腐れもなく、その上で魔王軍の数を減らしてくれる手駒が俺には必要だ。

 しかし、そんな駒がそう都合よく……

 

「今に見ていろよ、人間ども!」

「ああ、今の勇者は相当手ごわいみたいだが……な~に、新魔王軍ならやってくれるさ!」

「ああ。勇者も地上連合軍も打ち滅ぼしてやれ!」

 

 都合よく……あっ!

 

「っ、そ、その手があった!」

 

 まさに、そんな都合のいい存在が居た。

 むしろ、うってつけとも言える。

 

「人間どもを……地上の連合軍を……勇者を利用しちまえばいいんだ!」

 

 奴らを利用し、うまいこと魔王軍と潰し合わせる。

 俺はその機を利用して、あのクソどもを抉る。

 

「そのためには、魔界じゃねえ。地上に行かねーとな……つっても、連中も魔族の王子だった俺を信用するわけもねーし、話も聞かねー……なら……人間のふりして潜り込み、奴らの信用を得た上で奴らを煽り、そして魔王軍と戦わせるッ!」

 

 魔族が人間のふりして潜入する。その上で連合軍の信頼を得る。

 幸い俺の種族は魔人族。額から出ている角と尖った耳とかそういうのを幻術とかで弄ればどうにかなる。

 魔族や人間特有の匂いも、人間どもの嗅覚は俺ら魔族よりもずっと下だから、何とかなりそうだ。

 

「やってやる……待っていろよ! 勇者どもを利用して、必ずテメエらに辿り着いてやる!」

 

 野望を果たすための手段が決まった。

 

 俺は地上世界に行く。そして、人間に化ける。地上連合軍や勇者たちの信頼を得て、魔王軍と戦わせる。

 

 そして、あのクソどもへと必ず辿り着いてみせる。

 そのために、あと必要となるのは……

 

「となると、あと必要なのは……人間の文化や常識……それを身に着けて怪しまれないようにする。その上で、連合軍に入る方法だな……そのためには……」

 

 俺は戦争にこれまで一度も参加したこともないし、魔界学校でも真面目に勉強してなかったから人間をよく知らねえ。文化も知らねえ。生活習慣も知らねえ。

 そして、連合軍のことも実はよく知らねえし、勇者とかのことも分からねえ。

 野望を果たすためにはそれらの習得やら情報収集やらが必須になる。

 とはいえ、それを俺に教えてくれるツテが……まぁ、長い間アウトローな奴らと関わっていたから、情報提供させるやつもいなくはないか……

 

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