【完結】聖女勇者見習いたちと追放された魔界最恐王子のハーレム性春記   作:アニッキーブラッザー

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第43話 ハグ

 帝都の門を潜り抜けて、どこまでも広がる草原を駆け抜ける。

 思えば、帝都の外へ許可なく出ることも珍しい。

 私のギフトを封じる貞操帯のない状態で走れば、勢いよく風を体全体で受ける。

 それが気持ち良くて、何だか自由になって色々と解放された感じがする。

 

「かかか、五割でそれか……大したもんだ……」

「えへへ~どうだい、セカイくん。ついてこれるかな?」

「当たり前だ。俺を誰だと思ってやがる」

「知らないよ~。だから、ちゃんとついてきてね~。いんや~、アネストちゃんとディーちゃんが惚れてる男の子に追いかけられるって、優越感♪」

「ったく、いいか? もし魔王軍に遭遇したらとにかく真剣に逃げ回れよ? 捕まったら、死、もしくは凌辱の限りを尽くされるからよ」

「りょーかい、りょーかい♪」

「ただし、それも今のペースと同じくらいで大丈夫だ。だから、今のペースを体に覚えさせておけ」

 

 知らなかったな~。

 私、貞操帯を外して全力で走れば誰にも負けない自信がある。

 でも、一回全力で走ったら、すぐに全身が筋肉痛になって動けなくなっちゃう。

 だから、諸刃の剣だと思ってた。

 だけど……

 

「今はまだ攻撃力なんて無くていい。敵に捕まらないすばしっこさ。それだけで十分だ。余裕があれば、敵に捕まるかどうかのギリギリの速度で逃げ回り、相手を翻弄して疲れさせるとか……まぁ、足が速いってのはそれだけで選択肢が色々とあるんだよ」

 

 セカイくん曰く「全力じゃなくて半分の速さで十分脅威」とのこと。

 

「まっ、実戦に勝る経験や訓練はねぇ。本当ならアネストやディーもといきたいが、今回は緊急だしな……」

「えへへへ、そこで私だけ選んでくれるなんて~、なんか嬉しいね~」

「まっ、その分お前だけ危険ってことだ。話によると魔王軍の一部隊って、性欲旺盛なオークの部隊らしい」

「わぉ、豚さんたち?」

「ああ。デカいがそのぶんウスノロだからテメエが捕まる心配はないが……間違って捕まって、豚に処女奪われるのだけは気をつけろよ」

「うわ、確かにそれは嫌だ! 私……この戦いが終わったらセカイくんと4ぴーエッチするんだ……なんて言ったら、何かの前フリになっちゃうんだよね?」

「……………」

「聞こえないふりしないでよぉ!」

 

 なんだか、セカイくんほど強い人に言われると自信持てちゃう。

 だから、初めて戦争に似たものに関わることになったけど、あんまり怖さを感じないかも。

 そして、そんな風にしゃべりながら走ってたら、気付いたらだいぶ帝都から離れてきて、前方にポツンと大きな森が見えてきた。

 

「セカイくん、あれだよ!」

「あれがヲークレイブの森か……」

 

 うわ、馬で走れば帝都からそれほど距離が離れていないとはいえ、それでも歩いて行けば相当時間がかかる森。

 それをこんなに短時間でついちゃうなんて……それに、セカイくんに言われた通り5割で走ったからか、全然疲れてない。

 むしろ、体が少し温まったみたいな?

 

「ここから先は……ん?」

 

 セカイくんは恐らく「ここから先は気を引き締めろ」って言おうとしたんだと思う。

 だけど、その前に私たちは見つけてしまった。

 森の中から上がっている狼煙のような火……それと耳をすませば聞こえてくる、声……ううん、戦闘の音?

 

「あ……」

「さて……これが訓練の音なのか……それとも……」

「あの、その……」

 

 あっ、やば……さっきまで私は「何でもできる」なんて思ってたけど、急に震えてきた。

 

「シャイニ?」

「………………」

「怖いか?」

「……うん」

 

 そう……私……怖いと思ってる。

 そして、さっきはヘラヘラと聞いてるだけだったのに、今になって改めてセカイくんの言葉が……

 

―――間違って捕まって、豚に処女奪われるのだけは気をつけろ

 

 え? やだ、ぜったいやだ。そんなんでヴァージン失うなんて……ううん、ヴァージンどころじゃない。

 だって、戦争……相手は……殺されることだって……殺される? それって死んじゃうってことだよ!?

 夢も、これからやりたいことも、何もかもが全部―――

 

 

「これだけは言える、シャイニ。セコイ襲撃してくる連中だ。この森の中にいる連中は敵も味方も含めて全員俺より弱い」

 

「ッ!?」

 

 

 そのとき、森の入り口まで到達して、そこから先に入るのを躊躇して止まってしまった私の頭に、セカイくんはポンと手を置いて……

 

 

「そして、オークなんて連中のスピード……俺の方が十倍速い」

 

「セカイく……」

 

「そしてお前は、その百倍速ぇ!」

 

「ッ!?」

 

 

 いやいや、数値レベル的にはそんなこと……ありえない……あり得ないってわかってる。

 でも、疑いようがないぐらい真っすぐな目で自信をもってそんなこと言われちゃうと……

 

「……嘘じゃないよね?」

「ああ、嘘じゃねえ」

「だったら、証拠として……ハグしてよ」

「……は?」

 

 震えがどこか武者震い? 分かんないけど、ドキドキしてきた。

 だからこそ、今ならどんな大胆なことも平気で……

 

 

「だって、これが終わって無事に帰ったら4ぴーエッチするんだから……ディーちゃんとアネストちゃんとはこの間の屋上でイチャイチャして……だから、私もそれぐらいしないとね♪」

 

「おま……」

 

「はい、ん~~~♡」

 

 

 こんな時に何をだよね? でも、こんなので勇気を出せるならね♪

 私は両手を広げて、セカイくんに促した。

 

「……ん」

「ッ!? ん♡♡♡」

 

 正面からセカイくんが私の頭に手を添えて、そのまま私を抱き寄せて強く……

 

「あっ」

 

 セカイくんの胸板超逞しい。おっきい。てか、何この安心感。

 これが男の子のハグ……セカイくんの体臭、好きなタイプだ。

 しかもセカイくん、抱きしめながら頭を撫でてくれてる……あっ、これ好きだわ。

 うん。ぜんぜんヴァージンあげてもいいや。

 つか、喜んで4ぴーしちゃう。

 てか、キスとかもしたくなってきた…… 

 

「続きは終わったらしてやるよ。お前が三人まとめて抱いてくれと言うのなら『作業』としてでもよければな」

「セカイくん……」

 

 でも、今はここまでと、セカイくんは私を離した。

 体に感触が残ってる……ヤバい、全身がすごく熱い。

 今すぐ飛びついて、セカイくんの唇にキスしたいほど。

 

「だから、ここで何かを掴んでみろ」

「……うん♡」

 

 気付けば私は躊躇した森の中への一歩を、ふわふわと浮いたような気持で、スキップするかのように入ってしまっていた。

 

 さっさと終わらせて、早く帰ろう! 

 

 だからすぐに行くからね、ラヴリィちゃん、ブレスツお姉ちゃん!

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