リライズライダー1   作:エーブリス

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無茶苦茶どうでもいい事いって良い?
「近接信管」を「近親相姦」と間違えるボケをどこかでやりたい。


トリアージ

弟は突然やってきた。

叔母が死んでから、突然やってきた。

 

叔母の家族に面識など無かったが…それでもソーラ――――ショウイチは理解していた。弟が何者であるのか。

 

 

けれど…それ以上は深く触れる事は無かった。

弟はまだまだ生まれたばかりだった。

 

真実を未だに知らない、だから自分も兄である事を受け入れた。

弟は自分とは似ても似つかないくらい、美しい容姿と雑な性格を持っていたが…気にすることは無かった。そう言う兄弟である以上の思いは無かった。

 

 

そして暫くして…自分とよく似た弟、シュウジロウが出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


やがて生まれ来る 生命のために人は 

戦い続ける 孤独なまでに独り

 

 

ひとりでも ひとりでも

護る 護る

 

俺は…


 

 

 

 

 

 

 

 

「仮面ライダー…。

まさかガンプラで再現する人が居るなんてねぇ…」

 

「珍しい事ではない。

昔からやっている人はいるし、最近は特撮ヒーローのプラモデルも出ている。

――――しかし、今の説明で君が“僕たちの”文化に詳しい事は、疑問が残る。僕のプロフィールを見た時の様に調べたのか?」

 

ソーラは今、己が立つディメンジョン――――否、今存在する現実について、現地の電子生命体スミカから話を聞いた。

 

 

1つ、ここは決してGBNの内部…つまりゲーム空間ではない、れっきとしたリアルそのものである事。

どうにも風が心地良かったのは、どうもアップデートが原因ではないらしい…どうにも論理的では無いが、その論理を超えた所に仮想現実と現実の違いが出て来るのだろう。

もう一つの証拠として、スミカが戦闘区域から数キロ先にあった集落の営みを遠方より見せてくれた…獣人のような彼らは、自分達を【山の民】と呼んでいるらしい。

 

2つ、そしてここは異界の地球では無い…太陽系から遠く離れた惑星、名を【エルドラ】。

彼女の話では、嘗てこの星には山の民以前にもう一つ…【古き民】と呼ばれる種族が栄えていたという。嘗ての古き民は異星からの侵略者に脅かされており、その脅威をどうにか凌いだものの、星は荒れ果てとても住めるような状態では無くなってしまった。

故に古き民は、母性を休眠させるために自ら旅立った…今はそれから「もう数えたくもないくらいの時間」が流れたという。

 

これについて、当時を生きていたというスミカは防衛等に関する苦労話をこれでもかとしてくれたが…その全てを語り切るのは余りに無謀なので割愛させていただく。

因みに今ソーラがガンプラと共にエルドラに居るのは、ダイバーとガンプラのデータを【エルドリウム鏡砂】というナノマシンで実体化したからだ、との事。つまり今のソーラ及びガリクロン(ゼータオーガンダム)は一種の…というかそのまんまクレイトロニクスなのだ。

 

3つ、これが最も重要なのだが…その古き民が残していった防衛用AIと、それが操る機動兵器が最近になって再起動し、あろう事か後々に住み着いた山の民へと殺戮行為を行っているのが現状であるという。

【アルス】と呼ばれる人工知能は、どうやらプログラムの問題か、山の民を侵略者と誤認し続けているのが原因らしい。

 

この事にスミカは「あの頑固ポンコツ野郎」だとか「私が開発に関わっていれば…」とか、後悔と自責の念が混じったアルスへの呪詛を吐き散らしていた…。

 

 

 

これらの話をした上で彼女は問いかけた。

“私が依頼するのは、そのアルスを「殺す」こと”

“貴方にはここで(山の民のために)命を掛けて欲しい”

“ゲームじゃ無いから、殺されたら死ぬ”

“安全は保障できない”

それでも協力してくれるのかと。

 

突き放すような言い方だった…けれどもソーラは“あぁ、わかった”と二つ返事で了承した。

当然、正気と理解を疑われた。

 

 

でも、この場所には「可能性」が存在している。

 

 

そして今、自身に投げかけられた質問に、スミカは答えようとしていた。

どうも難しそうな様子で。

 

「えっと、ね…実を言うと私は――――ッ!」

 

突然、彼女の雰囲気が変わる…!

 

「…敵か」

 

「えぇ、反応があったわ。

2時の方角…数は3機。さっき戦った奴らより楽勝よ、油断しなければ」

 

「わかった。

直ぐに向かう」

 

「お願い――――それと3分以上は戦わないで。

もうそれ以上は、アルスの目を誤魔化せない」

 

「了解した」

 

ガリクロンは速度を上げて、より鋭く大気を切り裂いた。

 

 

「…ねぇ、ちょっとスピード出し過ぎじゃない?

これ以上加速して、制御できるの?」

 

「問題ない…僕の腕だけでも信じてくれ。

それに、このマシンは一定速度以上から、加速分に応じて出力が上昇する…ほぼ無限大に、だ」

 

「そう――――みたいね。

にしても貴方…本当に“ガンプラ使い”ってより“バイク乗り”って感じね」

 

「GBNのログを覗いたのか?」

 

「ソレについてはまた後で…!

――――来るわよッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


誰にも見られず咲く花は 無償の愛


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、収穫はあったのかね?」

 

「あぁ…今回ついに有力な目撃証言を得たんだ、イカルガさん。

もしかすると近いうちに…ミズキさんに良い報告を持ち帰れるかもしれない」

 

「油断はするなよ、ショウイチ。

GBNは只のゲームではない…ELダイバーのように、その実かなりの神秘が秘められている。恐らくマサキ君は…」

 

 

ここはソーラ…本名コダイ・ショウイチ行きつけのバイクショップ。

彼の事情を知る、当代店主であるイカルガ・ジョージとの会話の中で近況を説明していた。

 

 

「しかし…イカルガさんもガンプラビルダーだったとは」

 

「あぁ。

リアルではあまりひけらかしたくは無いが、GBNではそこそこに名が通っていてね。勿論、ダイバーネームでだ」

 

「マサキ君もそうだった。

何か、運命が引き合っているのだろうか…」

 

「不思議なものだな、ガンプラとは。

――――さて、取り付けは終わった。どうだ?ショウイチ」

 

「ありがとう。

…最高だ、こいつの欠点が全て解決した」

 

「それは良かった。

また何かあったら言ってくれ…ガンプラの事でも構わんよ」

 

「助かる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


斗う 斗う 俺は…


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…仮面ライダー?

ですよね、アレ」

 

「んあ?まあ、そうだな…それも初代のサイクロンだ。

中身は…ZOか?ありゃ」

 

「珍しい事じゃないよ。

昔から特撮ガンプラを使う人は結構いるし…Vガンダムのエンディングテーマは、元々仮面ライダーのテーマ曲だったって話もある。脈絡もない訳じゃない」

 

「そーいやあったな、そんな話…」

 

「だからガリクソンなのか」

 

 

 

 

自分の事だろうか?先ほどの慣らし運転がGBN全体に流れているようだ。

その会話を流し聞きつつ、何時もの袋小路へとソーラは飛び込む。

 

降り立つは、二度目のエルドラ。

そして息を継ぐ間も無く、スミカの声が飛び込んで来た。

 

 

「…コダイ・ショウイチ。

芸名はとらしろ翔一、NAE所属のスタントマン・スーツアクター…代表作は【聖弾戦記タイガケン】のホーリィムーン他…やたら悪役多いわね、こんな…お人よしが服着て歩いてるような雰囲気なのに」

 

「きっと僕にも人を騙せる器用さがあったという事だろう…それか僕本来の性分が、スーツの外に漏れださなかったか。

いや…僕は生粋の嘘吐きだったな」

 

いつの間にか、彼女はソーラの経歴を調べていたようだった。

何をどうしたのかは分からないが、結果として“それが出来る”という点に関して、彼女への信頼が存在する。

 

 

「…。

練習したの?」

 

「いいや…思いのほか直ぐに出来た。

細やかな気遣いは、少しずつ学んだ…つもりだった」

 

「人より早い、そう言われた?」

 

「あぁ。

…君もか?」

 

スミカは「うん」と頷く。

 

「私は学者だったけれど。

人と違うって分かったら…そうね、“何かを為さなきゃいけない”って気分にさせられた」

 

“何かを為さなきゃいけない”

その言葉に、ソーラは自らの心臓を貫かれた気がした。

 

 

何せ、自分も――――。

 

 

「…そろそろ行こう。

時間は限られている、1秒一瞬が惜しい」

 

「そうね…アルスの事も、貴方が探すダイバーの事も。

確実に息の根を止めたいから、先ずは情報巡りになるけれど」

 

「分かった。

互いの理解は、それと並行しよう」

 

「えぇ。

――――先ず南南東に向かって、使えるエルドリウムは確保して…待って」

 

スミカは出発の直前、今にもフルスロットルで走り出しそうだったガリクロンを止めた。

そして暫くの間何もしゃべらなかった…ソーラの「どうした?」という問いかけにも反応せず。

 

 

「――――嘘でしょ…誰が」

 

この一言から、何か落ち着かない様子が(声だけでも)伝わった。

何か想定外の事が起きたのだろう…。

 

しかし、彼女の心臓は徐々に徐々にと落ち着いていく。

「大丈夫…最悪4人だけ…」という言葉を最後に、2分程で余裕と取り戻した。

 

 

「――――ごめんなさい、作戦変更よ。

少し、思い当たる場所があるの…先ずそこに行きましょ」

 

「了解した」

 

今度こそ、ガリクロンは大地を蹴った。

…僅かな胸騒ぎを、杞憂として捨て去りながら。

 

 

 

 

 

 




10話もせず終わるとか言ったけど…何だかんだ長くなりそう

使用楽曲コード:01755030,09486496,25722387

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