ここ王立学園には
王都自体が地下迷宮を含む古代遺跡の上に建てられたのだとか、お城に仕えていた魔学者が秘密裏に造り上げた巨大な実験設備だとか、諸説あるが真相は定かでない。
ともあれその
最深部に魔物の発生源である「魔瘴溜り」が存在し、自動管理されているらしい。
以前は上級生向け特別カリキュラムとして活用されていた
やがて流れる歳月の中で迷宮そのものが禁忌のように扱われ、関連する資料もいずこかへ紛失してしまったという。
ユーリイから受け取った
その内容のうち、ここまでは
中庭の、開かずの扉の向こうの
いわゆる、学園七不思議のようなものだ。
しかしつい先日のこと。迷宮に興味を持ち、
それこそ、臨時講師として学園を訪れていた魔学者とその従者だった。
──
脳内に響くいやらしい笑い声を頭ぶんぶん振ってかき消しつつ、私はいろいろなことが腑に落ちていた。
そもそもジブリールを臨時講師として学園に紹介したのは、うちのお父様だったはずだ。
おそらく、そのへんも取引きの一環だったのだろう。
そして
渡された資料の限りでは、帝国の関与まで辿り着いてはいないようだった。
とは言えまあ、切れ者である彼が手の内をすべて明かすとは、思わないほうがいいかも知れない。
「──完成です、エリオット様」
例のように
楽器棚の影、私が
ちなみに服装も、どこから調達したのか、学園の男子生徒のものになっている。
「じゃあミオリ──じゃないや、
同じく女生徒の制服姿のまま黒い狐面をつけた彼女は、私の言葉に「
あれって、ジン君はミオリのために開けっ放しにしていったのだろうか。
もしかして、意外と紳士なのかも知れない。
──そして今さら思い出したのだけど、たしか彼も、ユーリイ同様に攻略対象のひとりだった気がする。
彼がデレる姿はちょっと見てみたいかも知れない。
いつかあっちの世界に戻れたら、ゲームやってみようかな。
そんなことを思いつつ、私も学園内の廊下を走って中庭の方へと向かう。
天井に据え付けられている、魔紋を利用した四角い箱型の
道中、魔物とは遭遇しなかったが、剣を帯びた騎士専攻の上級生とすれ違う。
学生と言えど彼らはエリート、校内に放たれたのが弱体化された魔物ならば、問題なく仕留めてくれるはず。
次の角を曲がれば、ちょうど私のクラスの教室の前だ。
ここを真っすぐ突っ切れば、中庭はもうすぐ。
逆に言えば、魔物に遭遇する可能性も高いことになるだろう。
「このっ! こっち来ないでっ!」
案の定、赤黒い影がそこにあった。
壁を背にして震える声で威嚇する女生徒ふたりと、舌なめずりしながら一歩ずつ距離を詰める
私は、走りながらそっと右腕の輪具に触れる。
「──
さすがに、ここで纏装は目立ちすぎる。それに、これから地下迷宮に挑むのなら魔力も節約すべきだろう。それならば──
「
声に呼応して紫の炎が私の右腕から肩口まで
これぞ
そう、まさに
こちらに気付き飛び掛かる
──見送る二人の女生徒がクラスメイトのイザベルとライラで、しかも