「ところで、エリオットくんはどこのクラスなんですか?」
「そっ、そそそれはあれだよね! 編入が決まったばかりだから、まだクラスは決まってなくて……!」
マリカが慌てて助け船を出してくれるけれど、その船は残念ながら泥船だ。
逆に怪しまれてしまうだけだろう。
「はあ、なるほど、そういうこともあるんですかあ。そうか、マリカくんも編入組だから詳しいわけですね。ん? ということは──」
そこで何かに勘付いたようにラファエルは、マリカと私の顔を交互に見て、言った。
「──だから二人は仲良しなのですね! いやあ、僕も一度くらいは経験してみたいものです、編入」
……逆に怪しまれてしまうところだった。相手がラファエルでなければ。
この第二王子殿下、それはもうとにかく優しい。
優しいという言葉で
口さがない者たちは、影で彼を嘲ったりしているとも聞く。
けれど
「まあ、いろいろ事情もあるのかも知れませんが、改めてよろしくお願いしますね。そちらの
ふわり柔らかに微笑んだ、何もかも受け入れてくれる海のような
彼とはじめて会ったのは、お母様の葬儀の日だった。
お母様の級友にして親友だった王妃様とともに、そこに参列していた十二歳のラファエルは、ひとり泣きはらしていた十歳の私のもとにてくてくと近寄ってきた。
そして何も言わずに、手にした小さな杖の先から飴玉サイズの「ちびメラるん」を生み出してみせてくれたのだった。
今考えると、さりげない優しさもさることながら、その年齢にして天才的とも言える魔力操作技術に舌を巻く。
「──ああ。それじゃあ、先を急ごう」
私は彼の瞳から目を逸らし、つとめて無愛想にそれだけ言って、
ここから先に進めば第二区郭ということになる。
外観上の変化は、特に見られないようだが。
「そこの十字路はまっすぐ、その先のつきあたりを右ね」
迷わず言い切るマリカの
そんな彼女が急に足を止め、すこし首をかしげながらラファエルに伝える。
「先輩、次の角の先にまた
「りょうかい。さあ、紅蓮と燃やせ──メラるん!」
すぽんぽんぽん、快音と共に飛び立って角の向こうに消えてゆくメラるんたち、だが。
「──うーん。みんな、すこし待ってね」
静かに制止の言葉を発するラファエル。メラるんたちがどうかしたのだろうか。
一拍置いて、角の向こう側から
メラるんで、倒せなかったということ?
同時に私は、
高すぎるのだ。私の背丈と変わらないだろう。
にも関わらず、首の角度はまるで更に高い位置から
そもそも顔自体が、これまで遭遇したものより一回り以上は大きい、気がする。
──その口元。よく見れば、乱杭歯に挟まれてメラるんがもがいている。
それをぐしゃりと噛み潰す。火の粉になって消える姿を、私たちに見せつけるように。
続いて残る二匹も上下に顔を出し、目も耳もない口だけの魔獣の頭部が三つ、並んだ。
影狐がすっと前に出る。
私は黒い装甲で覆われた右腕に、魔力を集中させた。
「先遣隊のリヒトからも、通常より大型で魔力耐性の高い
あくまで平静なラファエルの言葉を、否定するように。
「……ごめんなさい。三匹じゃなく、一匹だけだったみたい」
通路を塞ぐほどの巨体を見上げながら、マリカが今日はじめて外れた
完全な外れというわけでもないし。
──何せそいつには、頭部が三つあったから。
「……
ラファエルがぼそりと呟く。お