「……
ラファエルが、その名をぼそりと呟く。
──特撮でも、これほどの大物CGモンスターは、劇場版や年末商戦の玩具の売りどきでないとお目に掛かれない。いやあ眼福眼福。
などと、ありがたがっている場合でないのはわかっている。
けれども、瞬時に視点を
赤黒い剛毛で覆われた巨獣は、目鼻のない三つの頭部から
そこに、いつかの
迷宮内の魔物は『弱体化』されているのではなく、こちらのレベルに合わせて『調整』されているようだ──それが先遣隊からの報告だったはず。
つまり、リヒトたち
更に言うなら、先遣隊の前にこの迷宮に挑んだのは
もし、そっちまで合算して魔物の強さが引き上げられているとしたら……?
それに、第二区郭のエリアボスとも考えられる
放置したら、こんな
そして迷宮からいちばん近いのは
「──ここで倒そう」
私の
その意味を察したかのように
並ぶ三つ首の下で、象のように太い右の前足をゆっくりともたげる。
その先には
パーティ戦の基本は役割分担だと、戦闘理論Ⅰで習った。
このパーティなら魔戦士たる私が戦線を固定する役割だ。
ラファエルに
背中は影狐に任せればいい。多少の傷はマリカが治癒してくれるはずだ。
ほんのひと月前の
──今は、違う。
そういえば、ラファエルと影狐とマリカ、そして
私は大きく敵の間合いに踏み込んだ。
ぶおんと空気を唸らせ、巨獣の右前脚が襲い来る。
私は右腕を斜め上に払い、手刀でその先端の爪を迎撃していた。
効果は三割ほどに落ちるが、魔物相手なら充分だとお父様のお墨付きだ。
唯一の問題は、見た目がほぼほぼガーターベルト(しかも紫色)で、
「影狐、お願い!」
「御意!」
手刀で爪を弾かれ前脚を
前脚と壁の隙間を、忍者刀を抜刀一閃しつつ前傾姿勢で駆け抜けた彼女は、勢いのまま壁を蹴って巨獣の背中に着地──同時に、足元に刀の切っ先を突き立てた!
ギヴョオォォォォ!
右端の頭部
役割分担でもあるのか、その頭部だけが、背中をざくざく突き刺す影狐のほうに首をねじる。
残り二つは動じる素振りもない。私の
ただし、右前脚は影狐の一閃で深刻なダメージを負ったのだろう、だらりと力なくぶら下がって追撃は来ない。
とはいえ敵の武器はまだまだある。次は中央の、メラるんを噛み潰してみせた頭が顎をいっぱいに開き、尖った乱杭歯を覗かせて噛みついてきた。
「やれやれ、テーブルマナーがなっていないね」
上顎のひときわ大きな剣歯をひとつ、私は黒き装甲まとった右手でむんずと鷲掴みにし、それを受けとめる。
全身にずしりと掛かる重さを、
──