「アリオスという名前は卒業生名簿にいくつか載っているけど、どれも特筆するところのある生徒じゃない」
第三区郭
ちなみに、能ある鷹的に爪を隠しすぎたせいか、当の
「それよりも、卒業生名簿に載ってないこっちが気になる。アリオス・フレイザー、長い学園の歴史上でも最高ランクの秀才にして、最強クラスの戦士でもあったという、文武両道の極みみたいな
第二区郭からの連絡時に
第三区郭道中には
ちなみに、
つまり迷宮の魔物は、常に際限なく湧きつづけられるわけではないということ。
「このアリオスくん、記録では卒業直前に自主退学したことになっているんだが、それほどの俊英にも関わらず以降の足跡が王国のどこにも見当たらない。──それが約三十年前、事故が起きて迷宮が封印されたという時期と重なる」
──なるほど、話がつながってきた。
「そして今、迷宮の主を自称する
「ああ。繋がりがないとは、考えずらいな。……それと兄貴、こちらからもひとつ確認しておきたいことがあるんだが」
ラファエルの
ここまでの流暢さとは打って変わって、ところどころ口ごもりながら。
「……その、そっちにあいつ……エリシャが居たりなんてことは、ないよな?」
さすがは
「仮面をつけた忍者っぽい女生徒と、見たことのない美少年が同行したって、魔学専攻の
苦笑を浮かべた私の視線を、穏やかな微笑みで返しつつ、ラファエルは弟に答える。
「まさか、いるわけないじゃないですか。きみが
第二区郭を踏破する間に、私はラファエルに全てを話していた。
彼は何の疑問も挟まずそれを受け入れて、出来る限りの協力を約束してくれた。
あ、さすがに転生とかゲームとかの話は省いてある。
そのへんに後ろめたさはあったけど、しかたないよね……。
ちなみに、私がエリシャであることは、魔術士としての魔力感知能力によって初対面の時点でだいたいわかっていたという。なんか恥ずかしい。
それって魔術士相手ならバレバレということ? と焦ったけど、先日校内ですれ違った際に私の魔力が急成長していたことに驚いて、気に留めていたらしい。
そもそもラファエルほど高い精度の魔力解析ができる魔術士は限られているということなので、まずは一安心だ。
「…………そうか。兄貴がそう言うなら、そう思っておくべきなんだろうな。……あとは、ボスの
すこしの沈黙の後、ユーリイはいろいろ飲み込むように、次の話題に移った。
彼専属の忍びであるジン君が迷宮に単身潜入し、追加調査してくれているらしい。
そして様々な情報と事実と推察から、私たちは新たな方針を決めた。
すなわち、ボスの
魔力の配分さえ誤らなければ、
また、彼の
これを使って残りの魔力を私に託し、彼自身は
その決断に至ったのは、影狐からの伝言にあったアリオスの「ミノタウロスには絶対に勝てない」という言葉があったから。
アリオスが
そしてラファエルが心配しているのは、先行パーティを率いるリヒトが「退く」という選択肢を
──かくして。
ラファエルの「お願いします」という一言と微笑に送り出された私は、影狐の付けてくれた目印を頼りに迷宮を駆け抜け、最深部まで辿り着いたのだ。
先行パーティの面々の「リヒトを助けて」という声を背に受け、途中ですれちがった影狐に心の中で
うん、さすがに
そもそもこれは等身ヒーローではなく、相応に
けれど、
左手に握った仄かな温もりを──ラファエルから託された小さく白い
瞬間、凝縮された膨大な魔力が、彼の
私は
「
右腕を掲げて叫んだ。
天より
「レイジョーガー!」
──託された