漆黒の魔鎧が全身を包み込む。
その下で肌を覆う、先ほどまでの
そしてラファエルから託された
「とう!」
眼前に山の如くそびえる
振り下ろされる巨大な拳に向かって、私は跳躍する。
額で紫に輝く
──やらせない!
みなぎる魔力を右腕に集約する。
肘装甲から激しい
溢れた魔力が紫の光となって腕全体、鋭角な肩装甲まですべてを包み、迫りくる巨拳に向けて一直線に向かってゆく。
「
地上までは聞こえないだろうし、もういっそ聞こえていてもいい。
自身を鼓舞する意味も込めて必殺技の名を叫びながら、ゼロ距離に到った巨大な拳の赤黒い表面に、紫光まとう拳を叩き込む!
「──
漆黒に
しかし同時に、体は反発力で後方に激しく吹き飛ばされる。
高さ的には建物の三階ぐらいだろうか、魔鎧が守ってくれるにせよ頭から落ちるのは嫌だなと思った瞬間──
そのまま私は、マリカたちの前方に
ちなみに三点着地とは、片手・片足・片膝の三点で着地する(余ったもう片方の手には武器を持ったり見得を切ったりする)もので、海外のヒーロー映画によく見られるけど、原点は日本製アニメのヒロインである。
──などと雑学を披露している場合じゃないよね。
「マリカ、動ける?」
たぶん声を掛けるまでもないのだけれど、一応聞いてみる。
「大丈夫! また助けられちゃったね!」
声はすでに後方に離れつつあった。
ちらり振り向くと、気を失ったリヒトの両腕をマリカと
「先輩ごめんなさい、擦り傷とかあとで治療するから」
微かに聞こえたマリカの、それほど申し訳なさそうにも聞こえないリヒトへの弁明に苦笑しつつ。
私は改めて、目の前にそびえ立つ巨体を見上げる。
すでに体勢を立て直した
掌で左右から挟撃して
広範囲過ぎてほとんど意味をなさない攻撃予測を一時
右か、左か、正面か?
『エリオット様、角の折れている側を!』
そのとき耳元に聞こえたのは影狐の遠隔話法・
なんて頼りになるお姉ちゃんだろう。たしかに、
さらによく見れば、左肩から胸にかけてまっすぐ、周囲より一段どす黒い古傷のような痕跡が走っていることに気付く。
──そこか!
私は迷わずそちら側に駆け出していた。
その動きに反応し、私を握りつぶさんと迫る巨大な左掌の、柱の如き指の間をすり抜け広い手の甲に跳び乗り、そこから腕をいっきに肩まで
しかし辿り着いた肩の上で、私の視界が真っ赤に染まった。
『──お任せを!』
そのとき再び耳元に囁く影狐の
全身を白い光の粒子に包まれた影狐が、前方に突き出した長剣──おそらくはリヒトの聖剣を、深々と突き立てていた。
彼女が飛来した方角を見ると、マリカが例の光柱を前方に突き放った体勢で立っている。
つまり、
などと羨ましがるのは後回しだ。二人の作ってくれた隙を無駄にしてなるものか。
霧が晴れるように攻撃予測の赤色が薄れ、色を取り戻した視界のなか、天井を見上げる。
──
はじめて
私の手には唯一、黒い円筒状の
お父様の解析で判明したのは、それが魔戦士ダンケルハイトの愛剣である魔刀「
つまり、それもまた
しかし肝心の刃が存在しない、不完全な状態だった。
今この
私は、ラファエルに託された魔力と、温存していた自分自身の
紫の燐光が、全身を包んでいく。
そして頭上に掲げた両手が天井に着いた瞬間、
落下に転じながら私は、その腕を胸の前で交差させる。
同時に両肩の装甲が開き、肘部のそれを十本は束ねたような全開の
腕力プラス
尊大に腕を組んだ私は、直下の
初変身のとき一撃で
そう、これぞ
「──