踏み荒らされた庭園の白砂利の上を、騎士ルイゼを先頭にして、
その背後を守るように、リヒトとマリカが続く。
近衛騎士たちは万一に備えて城内の警備に移動させたと、今日の警備を統括している
『申し訳ないが、王妃様のことをお頼みする。それと……きみも、無茶はするなよ』
実際のところ、
ユーリイがどこまで理解しているかは不明だが、そのほうがとても助かる。
前方からは、
大鎌を背負った
敵の目的は、王妃様と
とはいえ当然、油断はできない。
──思考する間にも、
「ここは私にお任せください!」
宣言して抜刀する
そして相手の大剣は、
まともに攻撃を貰ったら
そこで私は背後から、左右の腕それぞれをルイゼと王妃様の腕にするりと絡ませた。
──ご無礼!
心中で詫びつつそのまま足を止め、忍びの体術「不動の構え」の体重移動を応用して、二人をぐいとその場に引き止める。
「逃がサんゾ!」
対する
おそらく、王妃様とマリカ以外は斬り捨てる気満々だろう。
あるいは、
──ゆえに、ここで倒す!
「
私たちが足を止めるのを待っていたように、背後から
後方、空色の礼服で片膝立ちのマリカが、光まとう右の
「──
光壁の上半分に、四本の縦線が走ったかと思うや、そこから五分割──五本の指のように拡がって巨大な光の
主の手から離れた大剣だけが、落下して地面に突き刺さる。
私はよく知っている。エリシャ様が
「ほう、これは面白い」
言葉通り、心底から愉快そうなトーンで口にしたのは、それらを会場中央から遠巻きに眺めていたジブリール。
「聖女様は、かの者を虫ケラのように無惨に握り潰すおつもりか? 神の力を宿すとされるその御身で?」
──そもそも魔鎧を纏っている以上、そうそう握り潰されるはずもないのに、ただただ状況を面白がっているのだろう。
「私、虫を握り潰したりしないけど?」
だがマリカは当然、律儀に返事してしまう。そういう子だ。
「おお、さすがは聖女様、虫も殺さぬ清廉潔白! それでは、彼は虫ケラ以下ということか!」
「ちょっと黙ってて。あなたみたいに、自分に都合のいい解釈で話をずんずん進めるひと──大っ嫌い」
──マリカが
「動物はね、みんな他の命を奪いながら生きていくの。だからこそ、奪わずに済む命は
「ではどうする? かの者も握られたまま無抵抗ではいないぞ。そして抜けだしたら次は聖女様、きっとあなたのお友達を殺す」
ジブリールの言葉通り、
「──こうします」
対してマリカは突きあげていた腕を──めちゃくちゃに、振り回していた。
「……」
そしてマリカの腕に連動し、光の巨手は空中を縦横無尽に大回転、さんざん振り回したあとで
ジブリールの傍に白砂利を撒き散らして落下した彼は、よろよろと立ち上がろうとして再び倒れ、そのまま動かなくなった。装着者の意識混濁により魔力が不安定になったのか、装甲の表面が粒子化し始めている。
魔鎧がどんなに鉄壁の防御を誇ろうと、中身は生身の人間だから、「めちゃくちゃに目を回してやれば」無力化できる。こんなやり方ができるのは
マリカは常々「エリオットくんにも勝てるようになる」と口にしていた。おそらく
呆れつつ笑ってしまった私はそのとき、もう一体の
「──もういい。刈り取れ」
ジブリールの冷たい声が響いて、真紅の大鎌が一閃する。
その半月状の刃は
ざん。
──そんな、余りに