『
光の結晶化した
──うっ。もしかしてハズレを引いた?
そのまま足をもつれさせ、仲間の
「──
そこに続くレイジョーガーの凛々しい声と共に、黒く研ぎ澄まされたピンヒールが、紫光をまとって
本物のヒーロー、それに本物の怪物。ありえないことだけれど、自分でも呆れるほどすんなり受け入れることができた。
──ずっと、なりたかった存在だから。
母親に引き取られて以降、一度も会っていない弟のことを思い出す。
一度だけ掛かってきた電話の向こうでは、相変わらず泣いていた。
あれから、もう十年近い。幼いころの涙はきっと、もっと楽しい記憶に上書きされていることだろう。……でなきゃ困る。
それでも冬也にとっては、あのとき弟の涙を止められなかったことが、ずっと後悔として残っていた。そして本当のヒーローになれば、あの日の弟のような誰かたちを悲しみから守ることができる。
十年間も胸の奥で密かにくすぶっていた
それがいま炎となって、彼を突き動かしているのだ。
──黒き魔人レイジョーガーと、銀赤の騎士トナカイザー。二人の連携によって、またたく間に
よし、このまま全滅させる! そう冬也が決意したのと、
『……トウヤ……!』
「足元、気を付けてっ!」
脳内に聞こえる──おそらくルドルフの──声と、同時に響くレイジョーガーの警告に慌てて視線を向けた足元。
黒かった。夜だから、というレベルではなく、周囲の地面がすべて、墨汁をぶちまけたように真っ黒く染まっている。
目の端で、ついさきほど倒した一体がその黒い地面に溶け込んでいった。
「これは──」
まるで、
逃げなくては、本能がそう感じたのと同時に、ぐらりと視界が揺れる。
「なんですかこれ?!」
足元の黒い地面が小山のように盛り上がってゆく。冬也は為すすべなく転がり落ちながら、
「巨大化!」
「……なるほど!」
倒した敵が巨大化するのは
──やばい。
視界が樹々の枝の中をぐんぐん上昇してゆく。
公園の入口辺りからあの兄弟がこちらを見上げている。その向こうには、クリスマスに浮かれた平和な街のイルミネーションがちらつく。
こんなバケモノを、公園の外に出すわけにはいかない。
しかし体の自由が利かない。
そして装甲に守られていても感じる、強烈な圧迫感。
トナカイザーの首から下は、立ち上がった巨大
「ちょっ、大丈夫っ!?」
自身は額の
──サイズは
樹々に囲まれ照明の少ない公園の、中央から生えた巨大な
そう
しかしこの人喰いの巨獣を公園から外に出してしまったら、状況は逆転する。クリスマスに賑わう街はパニック必至。それはなんとしても避けねばならない。
「
二人の間で、その目的は共有できていた。しかしどうする。
「トナカイザーになんか奥の手ないの?」
「奥の手………………すいません、わかんない……くッ……です!」
巨大
──そのときだった。
「……がんば……ぇえ……」
それは微かに、けれど確かに、耳に届いた。
トナカイザーの装甲が小さく上げるみしみしという悲鳴に紛れて、冬也にも確かに、聞こえた。
「……がんばれぇええぇっ!」
公園の入り口から見上げる兄弟。背負われた小さな弟が、小さな口から必死に絞り出す応援の声だ。
やはり、自分はヒーローの器じゃなかったのか? ちいさく消えかけていた
「そうだ、俺は──」
同時に力が、みなぎる。微かに押し返した
「──守る!」
『
頭上に飛び出した
『
カードの裏から真横にスライドし、もう一枚のカードが出現する。カード名は
『
『稲妻《ブリッツェン》』
電子音声と共に二枚のカードは、それぞれ空中でぐるり逆向きの円を描き、トナカイザーの左右の角に吸い込まれる。
蒼白い光に包まれた双角より、ほとばしる雷は枝分かれして、蛇のように
ヴフォォォォ……オォオン……!
苦しげな咆哮を響かせて、巨獣はその右腕を大きく振りはらう。夜空にすっぽ抜けたトナカイザーが、きれいな放物線を描きながら、街の方へ吹っ飛んでいく。
「これって……!」
それを見送りながら衿沙は、
──ただ、こいつを何とか抑えないと。
収まらない
だが、そこで巨体の動きは、ぴたりと止まった。
「……え?」
巨獣の両腕は左右に、まるで夜空に
ほんの一瞬だけ幻影のように、白く輝く巨大な
──あれは、マリカの「
続いて毛むくじゃらの胸の中心に、紫の光の十字架が浮かび上がり、
見間違えるはずもない、機能を
──エリシャ、あなたね!
この瞬間、きっと
侵蝕の規模が大きいだけ、互いの干渉力も大きいということだろう。おそらく、
しかし、
「よし──」
世界を隔てて離れていても、あの仲間たちと、何よりエリシャと共に戦える。それなら私は、絶対に負けない。
「──ここからは、クリスマスパーティーの
見上げた