イオリと先生   作:じーYA

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初投稿です


イオリと昼休憩

ゲヘナ学区外で暴れているゲヘナ生徒の鎮圧と拘束、搬送。これが今日の任務だった。

対象の生徒たちを護送車にぶちこみ、助手席で少し遅い昼食を取っている時、携帯ホルダーから ぽこん と小気味の良い音が鳴った。

齧りかけのサンドイッチから目線を移す。

こんな時間に送ってくるのは、アコちゃんからの追加業務かもしくは...。なんにせよ早く確認しなきゃ。

口内の食べかけをごくりと飲み込み、すこし鬱屈とした気分になりながら左手を伸ばして携帯の画面を覗く。

携帯の画面に表示されていたのはよくみる二文字

 

(先生?)

 

ふわっと体が軽くなるような感覚とバランスを取るように尻尾がピンと伸びる。

(先生から送られてくるなんて、しかも平日のこの時間に)

サンドイッチを丁寧に袋に戻して携帯を右手に持ち直し、スカートを整えてモモトークを開く。

 

私の無自覚な期待とは裏腹に内容は何てことのない、調子はどうかとか、怪我してないかとか、とにかくそんな普遍的な話ばかり。

こちらからしてみれば肩透かしを食らった気分だ。ピンと張っていた尻尾がだらりと垂れる。ついつい返事が素っ気なくなる。

それでも会話は続く。先生だからだろうか。

 

『---それで来週の金曜日は久しぶりに家に帰れるんだ』

『そうか、それはよかったな先生。』

『しかも土日が休みなんだよ?!何しようか今から楽しみなんだ!』

『そうか』

 

ふと気になる、そういえば先生はどこ住んでいるのだろう。シャーレの仮眠部屋で寝起きしているところは幾度となく見てきた。

しかしシャーレはあくまで仕事場所、自宅があるとはとんと聞いたことがなかった。右手の指が素早く左右に振れる。

 

『そういえば先生ってどこに住んでるんだ?』

『ん?○X駅から近くの所のアパートだよ』

 

○X駅といえば今日の任務地からすぐだった気がする。

窓から顔を出すとちょうど◯X駅前の信号に足を取られているところだった。あたりを見回してみる。

駅前は日中だというのに人通りが少なく、どこからか聞こえてくるピアノ調のbgm が寂しさを際立たせる。

 

『今駅前にいるけど、なにもないところだな。こんなところでまともに暮らせるのか』

『ハハハ…確かに駅前ですら何もないからね。ご飯や日用品の買い物も一苦労だよ』

 

アクセルが押されて、車が緩やかに前進する。長い耳がぴくりと跳ねて、銀髪がサラリと落ちる。

顎先に親指を当てながら一拍置いて、スマホの予定管理ツールを開いて来週の業務日程をチェックする。

3分ほど経ったろうか。両手で携帯を支えて文字を打つ。

 

『それなら、来週は風紀委員の業務でまた近くに行くから』

『夜は私がご飯でも作ってやろうか?』

 

打った文字を目で追いかけ、頭の中で反芻する。

い、いや!別に変な意味じゃないだろう!先生にはなんだかんだ世話になってるし。そ、それに!!どうせ家にはろくなもの無いだろうし!倒れられたら困るし!それにそれに...。

頭で折り合いを付ける前に、指は送信の二文字を押した。

 

すぐに既読を示すマークがついた。

しかし、返事がない

 

う、やっぱり急には迷惑だったか…

いち生徒が、しかも風紀を守る立場の私が”大人”にこんな提案をするなんて。いまからでも冗談だと送った方がいいだろうか。

しかしそれでは先生を混乱させてしまうだけだ。うぅ…なんでもいいから早く返信してくれ先生…!

しかし待てども待てども返信はない。

「あの、し、銀鏡隊長?収監所に到着しましたが…」

隣から自分を読んだ声にはっとして顔を上げる。あたりは見慣れたゲヘナ学区。

しまった、モモトークを開いたままうたた寝をしてしまっていたようだ。

時刻はお昼をとうに過ぎ、ティータイムにも差し掛かろうとしていた

 

「…ああ、すまない。少し考え事をしていて」

「大丈夫ですか?お疲れであれば後の業務は私が引き継ぎますが」

「いや、心配をかけてすまない。問題ない。」

「はっ、承知しました。それでは指示をお願いします」

私は車内の無線機を取る。

“各車両通達、搬送した生徒共を全員車から降ろして並ばせてくれ。”

 

無線機を通して淡々と指示を出し、自分もまた頭を切り替える。運転手をしてくれた風紀委員に目をやるとすでに扉を開けて外に駆け出していた。

私も外に出なければ、携帯を仕舞おうとしてして画面を確認する。最後の通知はつい先ほど、無線音が重なって誰も気づかなかった。

それを読んでから、私は携帯の画面を切り、愛銃を携えて車のドアに手をかけ、勢いをのせてシートから飛び出す

 

ぶわりと、二房の銀髪が宙を舞い、柔靱な尻尾がコントラストを強調する。逆光に反射して輝くそれは神秘的なシルエットを地面に映す。

 

「さぁついたぞ問題児共!!今日からここでしっかりと反省しろ!」

爽やかな快晴のもと、いつもより気合の入った声が響き渡った。

 

ーー

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『いいのかい?でも折角イオリがそう言ってくれたのなら』

『甘えてしまおうかな。お願いするよ、楽しみにしているね。』

 

空白の日程表、めずらしく非番のその日。

学区のパトロールでもしようかと思っていたが…

『先生の家で晩御飯』 が追加された

 

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『あ、そうだ。1つ注文してもいいかな』

『なんだ?難しい物は作れないぞ』

『大丈夫、会えたら足を舐めさせてほしいなって!イオリの足は食前酒みたいなところあるからね!』

『は、はぁ!?そんなことをさせるわけないだろ!死ね!!ヘンタイッ!!!!!』

 

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