【転生者は】多次元式転生掲示板【助け合いでしょ!!】   作:DestinyImpulse

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 今回はS A Oテイマーのお話。

 結構長いですが最後までお楽しみください。


SAOテイマー・世界の終焉、絶望の機械龍

 

1:SAOテイマー

 …………………皆さん。

 とうとうこの時が来ました。

 

2:最高最善のグランドマスター

 やるんだなテイマーニキ。

 

3:地球が恋しいレイオニクス

 遂にこの時が来てしまったのか。

 

4:超マサラ人

 避けては通れない道だ。

 

5:炎のヒロアカセイバー

 今日がテイマーニキ達が囚われたこのデスゲームをクリアできるかもしれないターニングポイントなんですよね?

 

6:異種族派カセキホリダー

 その通りだ。では主任ニキ解説を……

 

7:極み主任

 ああ。

 現在テイマーニキ達は全百層まであるデスゲームの舞台アインクラッドを75層のボス部屋前までクリアする事ができ。この後、ボスを倒す事ができれば見事、四分の三をクリアする事となる。

 

 75層のボスは強敵だがここまで来た戦力にデジモンテイマーであるテイマーニキとメタルグレイモンが居るのでなんとかなるだろう。

 

 問題は次だ。

 

 SAOの開発者であるこのデスゲームの仕掛け人である茅場 晶彦。彼は現在何処に居ると思う?

 

 

8:炎のヒロアカセイバー

 えっと……現実世界か、ラスボスの部屋じゃないですか?

 

9:極み主任

 答えはノーだ。

 

 奴はGMとしてゲームを監視する。その一方、外見を偽装したアバターで一般プレイヤーに紛れ込み、SAO最強のギルド血盟騎士団を結成し、ギルドの団長【聖騎士ヒースクリフ】となり攻略組を先導しているのだ。

 

10:SAOテイマー

 ああ、今のフロアボス攻略の為にみんなに指示してる。

 

11:炎のヒロアカセイバー

 最強の味方が最悪の敵に……

 

12:極み主任

 しかし、とある事情からその事をソードアートオンラインの主人公であるキリト君に見抜かれてしまい。この75層のボスを倒した直後にみんなの前で看破される。

 

13:モンハンライダー

 んで、その後クリアを賭けたデュエルが行われるんだ。

 

14:炎のヒロアカセイバー

 成程、だからテイマーニキは……

 

15:超マサラ人

 正直言って、あのデュエルにテイマーニキが関与できるか分からねぇが……一つ懸念点がある。

 

16:異種族派カセキホリダー

 デジモンだな。

 

17:地球が恋しいレイオニクス

 うむ。何故、このアインクラッドにデジモンが居るのかGMである茅場ならば何か知ってるはずだ。

 

18:SAOテイマー

 皆さん、そろそろ突入します。

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「カナタ。そろそろ突入だよ」

 

 

 黒髪でセミロングのストレートで瞳の色はグリーンの可愛い女の子が俺に声をかける。

 

 彼女の名は“コハル”。このゲームを始めた時から俺と一緒に行動し共に戦ってきたパートナー。

 

 コハルの言葉を聞いて辺りを見渡すと武器やアイテムなど最終確認に入っている攻略組達が見える。俺は既に終わらせているので心配ない。

 

「……大丈夫?」

 

「どうしたいきなり?」

 

「此処に……ううん。この75層に来てからカナタ。なんだか落ち着きがない様子だったから」

 

「そうだよカナタ」

 

 コハルの言葉に同意する声。隣を見てみれば黄色い小型の恐竜の見た目をした生物。

 

 本来、この世界に存在しない筈の生物である“デジモン”。

 

 俺のパートナーデジモンである“アグモン”だ。此処に来る迄に様々な困難があったが共に乗り越えた無二の相棒だ。

 

「カナタ、まるで何かを恐れている様な……そんな感じがするんだ」

 

 恐れているか………第四の壁からこの世界を知っている俺達転生者。故にこれから先に何が起こるか俺は知っている。この世界が原作とは違う世界線とは言え、75層で起こる事は変わらない筈だ。

 

 どうなるか分からない。現在通りにキリトが勝ってこのデスゲームがクリアされるのか…………………

 

もしくはクリアされないのか。

 

 とは言えこんな事を話せる筈もない、なんとか誤魔化すしかない。

 

 

「……今回で最後のクォーターポイント。どんな困難が待っているのか分からないからな」

 

 

 これは嘘ではない。このアインクラッドには25層ごとにクォーターポイントなる層が存在し、どれも一筋縄ではいかない難易度だ。

 

 現に最後のクォーターポイントであるこの75層のクエストも一筋縄ではいかなかった。

 

 

 俺の言葉に一応納得してくれた二人。するとコハルがいきなり俺の手を掴んできた。

 

「……確かに最後のクォーターポイント。私も怖くないって言えば嘘になるけど貴方とアグモンとなら大丈夫」

 

「そうだよ!何が来てもボクに任せてよ!!」

 

 …………そうだな。

 

「…………此処まで来たんだ。いつもみたいにクリアするだけだな」

 

 

 元々、逃げるなんて選択肢はないんだ。

 

 覚悟を決めていると突入の合図が始まろうとしていた。

 

 

「では……行こうか」

 

ヒースクリフさんは黒曜石の大扉に歩み寄り、中央に手を掛けた。全員に緊張が走る。俺とコハルは、並んで立っているエギルとクラインとキリトに声を掛けた。

 

「死ぬなよお前ら」

 

「へっ、お前達こそ」

 

「今日の戦利品で一儲けするまではくたばる気は毛頭ないんでな」

 

 エギルとクラインと俺言い返した後、キリトが語りかける。

 

「カナタ、アグモン。いつも通り、“もしもの時”は頼むぞ」

 

「ああ、任せとけ……行くぞコハル、アグモン」

 

「うん!」

 

「任せてよ!」

 

「戦闘、開始!」

 

 完全に開ききった扉の中へヒースクリフさんが走り出し全員が続く。内部は、かなり広いドーム状の部屋だった。全員が部屋に走り込み、自然な陣形を作って立ち止まった直後、背後で轟音を立てて大扉が閉まった。

 

 しかしボスの姿は見えず、未だ内部は暗闇に包まれていた。

 

 少しの沈黙が流れたその時…

 

「カナタ、上!!」

 

 隣で、アグモンが叫び、全員頭上を見上げる。

 ドームの天頂部に……それは貼りついていた。

 

 このフロアのボスは【The Skullreaper】。

 

 ムカデの様に長い胴体に蟷螂の様な鎌を持ち。身体は骨でできており頭部はドクロのモンスター。

 

 

 でも、そこに居たのは別物だった。

 

 

 その身体は骨の様な装甲に包まれ全体的なシルエットは蠍を連想させる、現に奴は凶悪な尾と鋏をこちらに向けているのだから。

 

 

 その名は“スコピオモン”………デジモンだ。

 

 

「キシャァァァアア!!」

 

 

 耳障りな鳴き声と共に、天井に食い込んでいた鋭い脚を一斉に離し、重力に従いながら俺達プレイヤーの頭上目掛けて落下していくスコピオモン。

 

 このままではマズイ!!

 

「アグモン!!」

 

「オッケーカナタ!!」

 

 俺の声に返事を返すアグモン。俺は俺だけのユニークスキル【デジモンテイマー】を起動させ、ある物を取り出す。

 

 オレンジ色の端末……“デジヴァイス”だ。

 

 デジヴァイスに意思を込める。するとデジヴァイスとアグモンが光を放ち!!

 

「アグモン進化―――!!」

 

 

 

 光の中でアグモンの身体が分解され、再構築される。巨大な体に昆虫の様な甲殻に覆われた頭部と力強い角を持った恐竜型デジモン。

 

 

「――――グレイモン!!」

 

 

 

 グレイモンに進化した。

 

 

「撃て!グレイモン!!」

 

「メガフレイム!!」

 

 

 グレイモンの口から放たれた超高熱火炎が襲いくるスコピオモンに直撃し、大きな爆発を上げながら大きく吹き飛んでいく。

 

 

「カナタ君!グレイモン!手筈通りにお願い!!」

 

 

 既に攻略組は俺とグレイモンの後ろに下がっており、副リーダーであるアスナさんから指示が飛ぶ。

 

「はい!俺とグレイモンで探ります!!準備を!!」

 

 そう言うと爆煙が吹き飛び、スコピオモンが大して効いていない様子でコチラに鋏を向けてくる。

 

「……悪いがお前に構ってる暇はない」

 

 

◆◆◆◆◆

 

33:炎のヒロアカセイバー

 え、アレってデジモンですよね?

 なんでフロアボスになってるんですか!?

 

34:極み主任

 このアインクラッドにデジモンが現れて以降、本来のクエストやボスになり変わっているデジモンが出現する様になった。

 

35:超マサラ人

 とんでも能力を持ってるデジモンだ。初見殺しを持ってる奴も多いし、大抵のプレイヤーでは太刀打ちできない。

 

36:地球が恋しいレイオニクス

 故に最初にテイマーニキとアグモンが戦い敵の能力を分析して、攻略するのが主体になった。

 

37:SAOテイマー

 

「グレイモン!進化だ!!」

 

『ああ!グレイモン!超進化ー!!

 ーーーーーメタルグレイモン!!』

 

 

38:モンハンライダー

 お、メタルグレイモンに超進化したな。

 

39:極み主任

 まぁ、相手のスコピオモンは完全体だ。グレイモンでは厳しいだろう。

 

40:最高最善のグランドマスター

 攻略組も動き出したな。流石はこれまでデスゲームやデジモンと戦ってきた猛者達だ。面構えが違う。

 

41:炎のヒロアカセイバー

 凄いですね。キリトさんの圧倒的な二刀流、アスナさんの閃光の様に鋭い剣撃、ヒースクリフさんも盾と剣を余す事なく使用してデジモンの攻撃を受け流しています。

 

42:超マサラ人

 スコピオモンをメタルグレイモンが抑え込み、攻略組が死角から一斉攻撃を仕掛ける、理に適った方法だ。

 

43:異種族派カセキホリダー

 同じ完全体でもスコピオモンとメタルグレイモンでは差があるし、もう終わりだな。

 

44:最高最善のグランドマスター

 ………此処からが本番だな。

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「ギガデストロイヤー!!」

 

 メタルグレイモンの胸部から発射された有機体系ミサイル『ギガデストロイヤー』の直撃に、スコピオモンは悲鳴を上げ、大量のポリゴン片を撒き散らして消滅した。

 

「終わった……のか?」

 

「……勝った?」

 

 命懸けで戦っていたプレイヤー達は、先程まで猛威を振るっていた存在が消滅したという事実を未だに認識できない。だが、数秒後には、フロアボスに勝利したことを示すメッセージと共に次の階層に続く扉が現れる。それを確認するや、攻略に参加していた大部分のプレイヤーは床にへたり込んで深く息を吐く。俺もメタルグレイモンをアグモンに戻し、戦ってくれた相棒を弔う。

 

「お疲れ、アグモン」

 

「うん!カナタもお疲れ!!」

 

「やったね!カナタ!アグモン!!」

 

「コハルお疲れ……怪我はないか」

 

「うん!」

 

 喜び合う俺達、その時…… 俺の視界に、壮絶な死闘の後にも関わらず、全く疲労の色を見せないプレイヤーの姿。攻略組最強の聖騎士とされる存在、ヒースクリフさんが映る。その頭上に浮かぶHPバーは、スコピオモンの攻撃を捌き続けたにも関わらず、未だイエローゾーンを迎えていない。

 

 幾らメタルグレイモンがヘイトを集めタンク役を担ったからと言って攻略組に攻撃を仕掛けない筈もなく、無数の足や尾を使った薙ぎ払いが攻略組に襲いかかった。

 

 完全体の攻撃はまともに直撃すれば致命傷は避けられない。キリトやアスナさん、コハル達、攻略組のトッププレイヤーでさえHPはイエローゾーンギリギリだ。

 

 

 何も知らなければ「流石ヒースクリフさん!」って呑気に言っていたんだろうが、キリトは……ソードアートオンラインの主人公は見逃さなかった。

 

 

 

 隣のコハルが驚愕の表情で目の前の光景を見ている。

 

 それはどちらに対してのモノだったのだろうが……

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 それとも……

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()I()m()m()o()r()t()a()l() ()O()b()j()e()c()t()()()()()()()()()()()

 

 

「システム的不死……!?ど、どういうことですか、団長!?」

 

 ゲームの仕様上、有り得ない現象にアスナさんをはじめとした血盟騎士団のメンバーは驚愕に目を剥く。波紋は生き残った攻略組へと伝播し、その場にいた全てのプレイヤーの視線がヒースクリフさんに釘付けとなった。

 

 

 

「……何故気付いたのか、参考までに教えてもらえるかな?」

 

「最初に思ったのはーー」

 

 

 隠し通せないと悟ったのかヒースクリフさん……いや、茅場晶彦はキリトに質問し、答えるキリト。その言葉に満足したのか正体を明かす。

 

「予定では攻略が95層に達するまで明かさないつもりだったのだがな」

 

 ゆっくり周囲を見回し、堂々と宣言した。

 

「確かに私は茅場明彦だ。 付け加えれば最上階で君たちを待つはずだったこのゲームの最終ボスでもある」

 

「……趣味が良いとは言えないぜ。 最強プレイヤーが一転最悪のラスボスか」

 

「なかなか良いシナリオだろう? 盛り上がったと思うが、まさか四分の三地点で看破されてしまうとはな。 ……君は“本来の世界”でなら最大の不確定因子になっていただろうと思ってはいたが、ここまでとは」

 

 茅場明彦は薄い笑みを浮かべながら肩を竦め、素早くウインドウを開き操作したかと思うとーー

 

「う…!」

 

「ツ!コハル!」

 

 プレイヤー達が次々と倒れていく、コハルを抱き抱えステータスを確認するとやはり麻痺になっていた。アスナさん達血盟騎士団やクラインやエギル達攻略組もみんなが倒れていた。

 

 

「……どうするつもりだ。 この場で全員殺して隠蔽する気か……?」

 

「まさか。 そんな理不尽な真似はしないさ」

 

 キリトの言葉にヒースクリフは微笑を浮かべたまま左右に首を振った。

 

「こうなってしまっては致し方ない。 予定を早めて、私は最上階の《紅玉宮》にて君たちの訪れを待つことにするよ。 90層以上の強力なモンスター群や完全体デジモンに対抗し得る力として育ててきた血盟騎士団。 そして攻略組プレイヤーの諸君を途中で放り出すのは不本意だが、何、君たちの力ならきっと辿り着けるさ。 だが……その前にキリト君、君には私の正体を看破した報酬を与えなくてはな」

 

「じゃあ何故、俺は動けるんです?」

 

 そう、この場で動けるのはGMである茅場晶彦とそれを看破したキリト。そして……俺とアグモンだった。

 

「ふ、君達には無意味なモノだろう。アグモン達、デジモンにこのゲームのシステムは通用しない。君のデジヴァイスにもね。」

 

 そう、このアインクラッドに存在するデジモン。彼らにはアインクラッドのシステム、麻痺や毒といった状態異常が通じず、俺のデジヴァイスもシステム外の物なのか俺自身が麻痺で動けなくてもデジヴァイスに意思を込めればアグモンを進化させる事ができる。これを使って犯罪プレイヤーの罠を突破した事もあった。

 

「やっぱりデジモンはこのアインクラッドのプログラム……貴方が作った物ではないんですね」

 

 

 第四の壁からデジモンは本来この世界のモノではないと理解している俺だが。

 

 何故かこのアインクラッドに存在するデジモン。故にデジモンもアインクラッドのNPCやモンスターと同じく茅場晶彦が作った物だと他のプレイヤーは考えていた。

 

「やはり君は理解していた様だね。そう君達プレイヤーはアグモンを含めたデジモンは私が作ったプログラムと考えていた様だが実際は違う。デジモン……正式にはデジタルモンスターと呼ばれる彼等は()()()()()()()()()()()()()()()()なのだよ」

 

 

 攻略組に衝撃が走る。今までNPCと同じプログラムと思われていたデジモンが、実は命ある生命体と言われたのだ……それもこのSAOの開発者である茅場晶彦にだ。

 

「ふむ、君達は然程驚いていない様だね」

 

「アグモンから色々と聞いていましたから。アグモン達デジモンはデジタル空間に生息する生命体であり、このアインクラッドの様なデジタル世界、()()()()()()()()に唯一生息する生命体だと」

 

 

 そう、俺やコハル、キリト達を含めたメンバーはアグモンから詳しい話を聞いていた。アグモン達デジモンはこのアインクラッドとは違うデジタル世界、デジタルワールドという世界にする生命体だと。俺はともかく、他の面々は最初こそ信じられないといった雰囲気だったが、明らかに常軌を逸脱したデジモンに可能性の一つとして一応信じる事にした。そして混乱を防ぐ為にそれ以上はアグモンに黙ってもらう事にしたんだ。

 

「成程、道理だな。君達は知らないと思うが近年、仮想現実の研究によりデジタル空間に謎の生物……すなわちデジモンの存在が確認される様になったのだよ。

 

◆◆◆◆◆

 

60:極み主任

 ふむ、テイマーニキの世界ではごく一部だがデジタルワールドの存在が認知されているか……

 

61:最高最善のグランドマスター

 やっぱりデジモンは外的要因ではなくテイマーニキの世界に初めから存在していたみたいだな

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「アグモンや触れ合ったデジモン達は言っていた。彼らがこのアインクラッドに来たのはデジタルワールドの境界が歪みそれに生じた裂け目から、このアインクラッドに来てしまったのだと」

 

「そうだ!カナタやコハル、みんなに会えたのは嬉しいけど僕達の世界に何かしたのか!?」

 

 アグモンも鋭い目つきで茅場晶彦に問いかける。対して茅場晶彦は意外にも申し訳なさそうな表情をしていた。

 

 

「それについては深く謝罪しなければならないな。デジモンの存在が確認されるようになったと言っても、まだ都市伝説程度の物で、私もこのアインクラッドで君達を見るまではくだらない噂と思っていた」

 

 つまり、任意でデジタルワールドにちょっかいかけた訳ではないと言う事か……

 

 

「現に私や現実世界の科学者達はデジタルワールドが何処にあるのか分かっていない。分かっていないが故に私が作ったアインクラッドがアグモン達の言うデジタルワールドに干渉してしまう位置に偶然形成されてしまった。そうして二つのデジタル世界が干渉してしまいデジモンがこのアインクラッドに流れてしまったのだと私は考えている」

 

「今はどうなんですか?」

 

「流石にその状態でゲームを開始する訳にはいかないからなね。直ぐに別の場所に移させてもらったよ。確認したところデジタルワールドも別の場所に移動した様だ。実に興味深いものだったよ、デジタルワールドはこのアインクラッド以上に広大だった。それが移動していると考えると、デジタルワールドにもアインクラッドで言う私の様な管理する者が存在するのかも知れない」

 

 どうかイグドラシルじゃありませんように!!

 

 チンロンモンの様な話の分かるデジモンでありますように!!

 

「話は大体分かった。だったら何故、このアインクラッドに迷い込んだデジモン達をそのままにしたんだ?」

 

 そう祈っていると考えを巡らせたキリトが茅場晶彦に問いかける。

 

「確かにやろうと思えば迷い込んだデジモン達をアインクラッドの外に追いやるくらいはできただろう。しかし、くだらない噂と思っていたデジモンが私の作ったアインクラッドで生きている。それがどんな未来を見せてくれるのか私は見たくなった。そしてその期待は君達という最高の形で現れた」

 

 まるで新しい玩具を見つけた、純粋な子供のような顔で、茅場晶彦は俺とアグモンを見る。

 

「SAOがサービスを開始した時、βテスト時には存在しなかったデジモンに誰もが恐怖を抱く中、君だけは当時コロモンだったアグモンを全く恐れる事はなかった」

 

 あの時か……あの時は本物のデジモンに会えた興奮で何も考えてなかったからな……クラインはビビって、キリトはβテストに居ないデジモンに警戒心MAX。コハルはコロモンの可愛さに慣れてくれたが……

 

「そして第一層のボス攻略において突如現れたクワガーモン。絆を結んだ君を守ろうとしたアグモンと共に戦おうとした君。そんな君だからこそデジヴァイスは君の元に現れ、アグモンをグレイモンへと進化させる事ができた」

 

「その後、ユニークスキルとして表示されたデジモンテイマー。最初から設定されていた物ではなかったんですね」

 

「その通り。君達の戦いを管理者として見てその後ユニークスキルとして設定させてもらった。私にとって全くのイレギュラーだったからね。君の持つデジヴァイスはログイン時に拾った物だと言っていたね。アグモンと出会った事を加味しても君は選ばれし者なのかもしれないな」

 

 

 ……このデジヴァイスはSAOにログインした時に側に置いてあった……選ばれし者か……

 

 

「この75層の様にデジモンがボスを務めていたケースについてはどう説明する?」

 

「君も知っての通り野生のデジモンがボスモンスターを襲いそのデータを吸収してしまう場面が多々あってね。応急措置としてそのデジモンをクエストクリアの条件に変更させてもらった。デジモンテイマーであるカナタ君には丁度よかった筈だ」

 

 …………………それはつまり。

 

「君とアグモンこそ、この予測不能の世界と化したアインクラッドを救う唯一の“勇者”!!予測などできよう筈もない!君達こそ、人間とデジモンの可能性そのものなのだから!!君達を敢えてこう呼ぼう!!」

 

 

 

 

インテグラル・ファクターと!!

 

 

 

 

 

 インテグラル・ファクター………不可欠な因子か…

 

 

 

「さて長話が過ぎたが報酬の話だ。今この場で私と戦うチャンスをあげよう。無論不死属性は解除する。君達が私に勝てばゲームはクリアされ、全プレイヤーがこの世界からログアウト出来る。 ……どうかな?」

 

 

 

 やはり来たか…!

 

 

「駄目よキリト君……あなたを排除するつもりだわ……今は、退いて!」

 

「そうだよカナタ!!お願い……やめて……!」

 

 

アスナさんとコハルの悲痛な叫びが聞こえる。

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

74:炎のヒロアカセイバー

 ……いくんですね。

 

75:SAOテイマー

 覚悟はできていたから……

 

76:超マサラ人

 だったら俺達が言う事はないが……

 

77:異種族派カセキホリダー

必ず勝てよ!

 

78:地球が恋しいレイオニクス

 あんな良い娘を最後に泣かせてサヨナラなんてカッコ悪いにも程があるからな。

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 手厳しいな……

 

「………やっぱりいくんだね」

 

 腕の中にいるコハルが俺の服を弱々しく掴む。その目は涙で溢れていた。

 

「…………必ず勝つ。いつもと変わらない」

 

「だったら帰ってきてよ…!いつもの様に!」

 

「ああ……いくぞアグモン!!」

 

「いつでもいいよ!カナタ!!」

 

 スコピオモンとの戦いでのダメージは回復した俺はデジヴァイスを掲げアグモンを進化させる!!

 

 

「グレイモン!超進化ー!!

 ーーーーーメタルグレイモン!!」

 

 

 アグモンからグレイモンに……

 

そしてグレイモンからメタルグレイモンに!

 

 背部で輝く6枚のエナジーウイングに体の半分が力強いサイボーグと化し、左腕の【トライデントアーム】が光輝く。

 

「グオオオオオオオォォォォ!!」

 

 

 迷宮の大地を踏み締めメタルグレイモンが吠える!これまであらゆる強敵を打ち破ってきたメタルグレイモンに全てを賭ける!!

 

 

「死ぬつもりじゃ……ないんだよね」

 

「ああ……必ず勝つ。勝ってこの世界を終わらせる」

 

「分かった、信じてる」

 

 

 キリトも覚悟を決めるが………キリトお前…。

 

 

「キリト!カナタ!やめろ……っ!」

 

「キリトーーッ!カナターー!」

 

 声の方向を見ると、エギルとクラインが必死に体を起こそうとしながら叫んでいた。俺はキリトとエギルとクラインが居る方向に向き直る。

 

「エギル。 今まで剣士クラスのサポート、サンキューな。 知ってたぜ、お前の儲けの殆ど全部、中層ゾーンのプレイヤー育成に注ぎ込んでいたこと」

 

「序盤の時、色んな奴にある事ない事言われていた俺やアグモンを守ってくれてありがとう。嬉しかったよ……!」

 

 目を見開く悔しそうにするエギルに微笑み掛けてから、顔を動かしクラインに視線を向ける。

 

「クライン。………あの時お前を……一緒に連れて行けなくて、悪かった。 ずっと後悔していた」

 

「未知の存在であるアグモンやデジモンテイマーである俺を信じて力を貸してくれたことには、感謝してもし切れない。面倒見はいいんだ、後はナンパ癖を治せば相手できるぜ」

 

 クラインは起き上がろうと激しくもがき、声を張り絶叫した。

 

「 キリト!謝ってんじゃねぇ!今謝るんじゃねぇよ!!許さねぇぞ!ちゃんと向こうでメシの一つも奢ってからじゃねぇと絶対に許さねぇからな!!お前もだぞカナタ!俺はお前やアグモンの事を仲間じゃねえなんて、一度だって思ったことねえぞ!!それにそんな事言うなら向こうで女の子紹介しろよな!!」

 

 俺達は頷いた。

 

「解った。約束するよ。 次は向こう側でな」

 

「ああ、探してみるよ」

 

 俺はデジヴァイスを構え、キリトは背から二本の剣を引き抜く。

 

「……悪いが、一つだけ頼みがある」

 

「何かな?」

 

 

 するとキリトが茅場晶彦に頼み事をしだした。

 

 ………ああ、やっぱり。

 

 

「簡単に負けるつもりはないが、もし俺が死んだら――暫くでいい、アスナが自殺出来ないように計らって欲しい」

 

 茅場晶彦は頷いた。

 

 ………お前……!

 

 

「キリト君ダメだよーっ!!そんなの!そんなのないよーーっ!!」

 

 アスナさんの悲鳴が響く……

 

 

キリト……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それはダメだよ……!!

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「ぐぅっ……!?」

 

 カランカランと響く音を鳴らしてキリトの持つ二刀の剣が地面に落下する。次の瞬間、持ち主であるキリトも地面に転がり落ちる。ステータスには麻痺のアイコンが点滅していた。

 

 

「ほう」

 

 しかしこれは茅場晶彦の仕業ではない。

 

「どういう…つもりだ…!」

 

 これは……

 

「カナターーっ!?」

 

 俺の仕業だ。俺が隣にいたキリトに麻痺のポーションを投げつけキリトを麻痺にした。当然、キリトから疑いの声がかけられる。

 

「……死ぬと分かっていて親友を送り出せるか」

 

「な、なんだと!?俺は簡単に負けるつーー「アスナさんとの約束一つ守り通せない奴が茅場晶彦を……アインクラッド最強の剣士との命を賭けた戦いで勝てる訳ないだろ」ーーっ!……」

 

 

 何も言い返せないキリトをアスナさんの所に投げ飛ばす。後の事はアスナさんに任せよう。俺は茅場晶彦に視線を向ける。

 

「君は願わないのかね?」

 

「そんな「俺は今から戦うけど最終的に死ぬ」なんてセリフ、コハルの前で言えるか。それに…コハルと約束したんだ、必ず勝つって。生きるか死ぬかの戦いでパートナーと約束までして勝つ事以外を考える馬鹿がいるか」

 

「大した心の強さだ。その心の強さこそが君の一番の武器なのかもしれないな」

 

「俺じゃ不満か?」

 

「まさか、流石にキリト君には一歩劣るもののこれまで攻略の最前線を戦ってきた君を見くびれる筈もない。それに君とアグモンは二人揃ってこそ真価を発揮する。片方がオマケで片方が本体という話ではない」

 

 茅場晶彦がそう言うと景色が変化していく、全体的に赤い装飾がなされた先程の75層のボスフロアとは数倍の大きさのエリアだ。辺りには豪華な装飾がなされ神殿を連想させる。

 

「せっかくの決戦だ。君達との戦いはこの百層の最終ステージで行うのが相応しい。この広さならメタルグレイモンの攻撃で皆を巻き込む心配もない」

 

 辺りを見ればコハル達、攻略組のみんなが遠く離れた端の方に倒れているのが見える。確かにこれなら巻き込む心配もない。

 

「どうだい、いい景色だろう?」

 

「そうですね。こんな状況じゃなければゆっくり鑑賞していたいですよ。それで、百層という事はラスボスでも呼び出すんですか?」

 

 

 百層……すなわちこのアインクラッドのラスボスである【アン・インカーネイト・オブ・ザ・ラディウス】。

 

 強敵である事は間違いないがメタルグレイモンの超火力なら勝てない相手ではない筈だ。

 

「確かに、この百層のボスである【アン・インカーネイト・オブ・ザ・ラディウス】は“当初”のラスボスとして設定してありそれに相応しいスペックだ」

 

 当初?

 

「しかし“今”は違う!お見せしようカナタ君!そしてメタルグレイモン!このSAOの真のラスボスであり!!」

 

 

 

 

 

 

 

「私のパートナーデジモンを!!」

 

 

 

 

「なっ!」

 

「パートナーデジモンだと!?」

 

 

 俺とメタルグレイモンの驚きの声、俺達の反応を満足したのが笑みを浮かべて茅場晶彦がウインドウを操作する。すると茅場晶彦の前の地面から光の柱が立ち上り……光の中に巨大な何かが居た。

 

 

 光が収まるにつれてその実態が明らかになる。

 

 

「……馬鹿な」

 

 

 メタルグレイモンよりも巨大なサイボーグの体。あらやるサイボーグデジモンの要素が組み合わさり、その中にはメタルグレイモンの胸部や左手のトライデントアームを組み込まれている。目を引かれる背部の巨大な二つのキャノン砲に抗う全ての者を萎縮させる強大な龍のシルエット。

 

 

「その名もムゲンドラモンだ!!」

 

 

 

 

 そう……

 

 

究極体・ムゲンドラモンがそこにいた。

 

 





 次回予告!!

 圧倒的なムゲンドラモンの力の前に追い詰められるカナタとメタルグレイモン。次々と絶望する攻略組、しかしカナタの闘志は揺るがない。果たすべき約束、揺るがない信頼。そう、コハルはいつだって信じ待ってくれた!

 カナタの強い心がメタルグレイモンに宿る時、遂に勇気の勇者が現れる!!

 次回!
 【世界の終焉・勇気の勇者】

 インテグラル・ファクターは終わらない。







 はい!今回はテイマーニキのお話、75層での原作でヒースクリフとキリトが戦う場面ですが、テイマーニキの世界は元々デジモンがいる世界でデジモンテイマーであるテイマーニキの方が茅場晶彦の興味を引いてしまいました。

 後、インテグラル・ファクターなのでユウキやシノン、リーファに加えてサーニャも居るのですが物語上の都合と話が長くなるので別のクエストに行ってると思ってください。


 そして茅場晶彦のパートナーとして現れたムゲンドラモン。これはテイマーニキの概要を考えた時から決めていました。デジモンシリーズのボスとしてムゲンドラモンは外せません!

 因みに茅場晶彦はデジヴァイスは持っていません。

 そんなムゲンドラモンにどう立ち向かうのかお楽しみに!!


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