【転生者は】多次元式転生掲示板【助け合いでしょ!!】 作:DestinyImpulse
前回の続きで長くなりましたが最後までお楽しみください。
179:SAOテイマー
『グオッ!?』
「メタルグレイモン!?」
180:炎のヒロアカセイバー
や、やばいですよ!?
181:最高最善のグランドマスター
くそ!まさか茅場晶彦がデジモンを!それも究極体を使ってくるなんて!?
182:極み主任
しかもムゲンドラモンとは!
183:超マサラ人
いい趣味してるぜ!
なんて呑気に言える状況じゃねぇな。
184:異種族派カセキホリダー
今のテイマーニキとメタルグレイモンなら状況次第では下位の究極体の撃破も可能だろう……
185:地球が恋しいレイオニクス
しかしムゲンドラモンは……究極体でも間違いなく上位に入る実力にメタルグレイモンも含めたサイボーグデジモンの集大成のボディ。
186:モンハンライダー
言っちまえばメタルグレイモンの完全上位互換だ。
187:最高最善のグランドマスター
決して勝ち目がない訳じゃないが……かなり厳しい。
188:炎のヒロアカセイバー
………………
◆◆◆◆◆
「ギガデストロイヤー!!」
空を飛ぶメタルグレイモンの胸部から発射された有機体系ミサイル『ギガデストロイヤー』。スコピオモンの時と違って十数発も連続してムゲンドラモンに発射する。一発一発が核ミサイルに匹敵する破壊力のギガデストロイヤー。完全体どころか下位の究極体ですらマトモに喰らえばダメージは避けられない。
「………………」
しかし、直撃を受けていながら何事ないかの様に動き出すムゲンドラモン。さながら怪獣映画だ。そして無機質に右腕のメガハンドをコチラに向けて……有機体系ミサイル『ジェノサイドギア』を放ってきた。
「っ!メタルグレイモン!」
「ジガストーム!!」
メタルグレイモンに乗っていたカナタが指示を出しメタルグレイモンが胸部から強力な熱線『ジガストーム』を放つ。しかし、メタルグレイモンのジガストームはムゲンドラモンのジェノサイドギアを撃ち落とすが、内包された威力が大きく、あまりの衝撃にカナタを乗せたメタルグレイモンは地面に叩きつけられる。
「カナタ…!メタルグレイモン…!」
その様子を遠く離れた所でコハルが心配そうに見つめていた。始まった茅場晶彦との決戦。ルールは一つ。
メタルグレイモンがダメージを負う度にカナタのHPゲージは減少していく。それに対して茅場晶彦のHPゲージは全くと言っていい程減ってはいなかった。
「どうかなカナタ君、メタルグレイモン?私のパートナーであるムゲンドラモン………究極体の力は?」
デジモンにはレベルが存在し幼年期1→幼年期2→成長期→成熟期→完全体が存在するとコハル達、攻略組はこれまで出会ったデジモンから理解し、完全体が一番上だと思っていた。
事実、この75層に来るまで完全体より上のデジモンに遭ったは事なく、完全体のデジモンは並々ならぬスペックを持っているのだ。
しかし茅場晶彦から明かされた真実。デジモンには完全体の上のステージである究極体が存在し、ムゲンドラモンはその究極体のデジモンだと。
その力は圧倒的でこれまでの戦いで無敗を誇ったメタルグレイモンの攻撃が通用しないのだ。その絶望感は凄まじく、攻略組の面々から次々と諦めの声が漏れ始める。
全てのプレイヤーの為に必死に戦うカナタとメタルグレイモンにあんまりだとクラインやエギルが叱咤するが効果がない。
「……とんでもないですね。でも、どうしてそんな究極体のデジモンを貴方が使役しているんですか?」
肩を揺らし大きく息を吸いながらカナタが問いかける。明らかにメタルグレイモンを回復させる為の時間稼ぎだが、茅場晶彦は構わず口を動かす。
「当然の疑問だな。何もこのアインクラッドに迷い込んだのはアグモン達デジモンだけではない。デジタルワールドの地形もアインクラッドにやってきてしまったのだよ」
「見た事ないですね……今までの攻略の中で」
「アインクラッドは私の夢その物だからね。流石に追加要素はデジモンだけで十分だ。それらの地形は“開発テスト用の秘匿エリア”に移動させてもらったよ」
「その中に工場や研究所と言った物もあってね。大きさも人間用で私も扱うことができた。明らかに人工物でありながら人の痕跡は一切ない。勿論、知能が極端に高いデジモンが作った可能性も考えられるが、研究を重ねる内に私は一つの仮説を考えた」
「デジタルワールドと我々の住む世界。分かりやすく人間界と言おうか。この二つの世界は繋がっており、我々の世界のインターネット上にあるデータがデジタルワールドに流れ、そのデータによりデジモンは更なる変化を、デジタルワールドは発展を遂げるのだと」
「…………つまり、その研究所で研究を重ね、貴方はムゲンドラモンを完成させた」
「その通り。研究の途中で発見したデジタマにこれまでのノウハウを駆使して様々なサイボーグデジモン、特にメタルグレイモンのデータをメインに使い育成したと言う訳だ。未知の存在であるデジモンの研究と育成、子供の頃の情熱が燃え上がったのを感じたよ」
そう笑う茅場晶彦の姿は自慢の玩具を他者に見せつける子供のようだった。
「さて、質問に答えるのはこれで最後だ。メタルグレイモンの体力も回復した頃だろう。このムゲンドラモンにどう立ち向かう?」
明らかな実力差だがコレで諦める彼等ではないのは攻略を通して理解している。立ち上がったメタルグレイモンと肩に乗るカナタ。彼等の目は始まってから何も変わっていない。負けるつもりなど更々ない目だ。
「メタルグレイモン?」
「ああ……準備できた」
お互いの確認をとった彼等は……
「じゃあ……いくぞ!!」
「おう!!」
反撃に出る!!
メタルグレイモンが巨体を動かし、ムゲンドラモンに突撃する。無論黙って見ている筈もなく迎撃しようとするムゲンドラモン。
「…………!?」
しかし次の瞬間、ムゲンドラモンの近くの地面が爆発する。
「なに!……アレは!?」
流石の茅場晶彦も突然の爆発に驚愕するが、すぐさま原因を見つけ出す。次々と爆発する地面、よく目を凝らして見れば瓦礫に埋もれて隠された……。
「ギガデストロイヤー…だと……!?」
そう。先程、メタルグレイモンが上空から放ったギガデストロイヤーがあった。有機体系のミサイルであるが故に、ある程度のコントロールができるギガデストロイヤー、多数をムゲンドラモンにぶつけて爆煙や爆音で注意を晒して少数を爆発させずに生じた瓦礫に隠して機雷にしたのだ。
「面白い活用法だが……ムゲンドラモン!」
茅場晶彦の声を聞いてムゲンドラモンが尻尾の装甲を展開し、砲門を開く。開かれた無数の砲門から射出されたレーザーがムゲンドラモンの周囲を焼き尽くす。ギガデストロイヤーの爆発で左右のアームでは狙いが定まらない。ならば全体攻撃で薙ぎ払う。
しかし、メタルグレイモンは止まらない。レーザーで身を焼かれようがその速度は落ちず、カナタも怯まない。元より限りなく低い勝率。考えた策の失敗は敗北に繋がるのだ…止まる筈がない。
距離が近づいたと同時にカナタがデジヴァイスを輝かせるとサイボーグ化していないメタルグレイモンの右腕が光に包まれ、その姿を変える。左腕のトライデントアームとは違い巨大な銃剣『アルタラウス』へと……。
コレがこれまでの戦いで強化されたカナタ達の切り札【メタルグレイモン:アルタラウスモード】だ。
「「うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!」」
アルタラウスを構えてメタルグレイモンが突貫する。強大なエネルギーを纏うアルタラウスをメタルグレイモンの巨体が加速つけて叩き込むのだ。想像を絶する威力なのは間違いない。
無論、これまでの攻略から茅場晶彦もアルタラウスモードの存在は知っていたし、何処かで使うと警戒していた。しかし、ミサイルを機雷化するカナタの策とダメージ覚悟のメタルグレイモンの猛攻を前に、最大活用を許してしまった。
だが、茅場晶彦にはまだ余裕があった。如何にアルタラウスモードと言えどムゲンドラモンの強大な防御力を砕ける筈がない。それ程までに完全体のメタルグレイモンと究極体のムゲンドラモンには差があるのだ。
既に回避不能。ならばこの一撃は敢えて受け、動きが止まった所を狙えばいい。
余裕を崩さない茅場晶彦。鬼気迫る勢いのカナタ。見守る事しかできないコハル達。
「「アルタブレード!!」」
其々が違った表情をする中、遂に二体の龍がぶつかった。
◆◆◆◆◆
「ギヤアアッッッ!!」
絶望の機械龍が悲鳴を上げる。それは普通ならありえない光景だった。
「馬鹿な……!?」
へ…!漸く、その余裕の笑みが崩れたな茅場晶彦!
笑みを浮かべる俺の視線には深くと言う程ではないが確かにムゲンドラモンの体に突き刺さったアルタラウスがあった。
信じられないと言わんばかりの茅場晶彦。それはそうだ、いくらアルタラウスモードにパワーアップしたと言っても所詮は完全体止まり。希望的観測を加味しても精々究極体下位に届くか届かないかだ。究極体上位であるムゲンドラモンの装甲を突破できない。
普通なら……。
「今度はこっちが疑問に答えますよ。究極体の防御力に酔いましたね?此方が威力を落としてその分のエネルギーを貯めていた事に気づかない程に…」
「威力を落としていただと…!?君達は攻撃が意味をなさない事を逆手にエネルギーを蓄える隠れ蓑にしていたのか!?」
そう、攻撃が効果的でない事など百も承知。だったらどうするか?決まってる、貯めればいい。アルタブレードは蓄積したエネルギーを刃とした陽電子剣。故にムゲンドラモンの装甲を突破できる程のエネルギーを貯め続けたのだ。
元の威力で撃ってもダメージは然程変わらない、故に威力を落としても気づかなかったのだ。
「正直、いつバレるかヒヤヒヤしましたよ。そんなに楽しみだったんですか?ムゲンドラモンを使うのが!」
それでもムゲンドラモンの装甲に少し突き刺さった程度。でも……
「うおおおおおお!!」
メタルグレイモンが雄叫びをあげ、アルタラウスを起動させる。装甲に突き刺さったアルタラウスの刃が無理矢理ムゲンドラモンの装甲を突き破り砲身を展開する。
「っ!?ムゲンドラモン!!トライデントーー「もう遅い!!」ーークッ!?」
茅場晶彦が命令を出しムゲンドラモンが左手のトライデントアームを振るうが、既にこっちの方が速い!
「「ポジトロンブラスター!!」」
アルタラウスに蓄えられた膨大なエネルギーが亜光速にまで加速され光弾となってムゲンドラモンに炸裂した。
◆◆◆◆◆
197:モンハンライダー
よっしゃ!直撃だ!!
198:極み主任
なんという発想だ!
199:最高最善のグランドマスター
ああ!わざと威力を落としてエネルギーを蓄え、最大のチャンスを狙っていたのか!
200:地球が恋しいレイオニクス
しかもそれを確実に当てる為の策も用意していたとは!
201:炎のヒロアカセイバー
凄い!アレだけの実力差を前にして!!
202:超マサラ人
幾らムゲンドラモンでも一溜まりもないぜ!!
◆◆◆◆◆
ゼロ距離で炸裂したポジトロンブラスター。流石のムゲンドラモンも無傷で済む筈もなく悲鳴を上げて吹き飛び、近くの柱に激突し崩れた柱の下敷きになっていた。
とは言え此方も無傷ではなく、アルタラウスの先端が砕けている。
「アルタラウスは使えるか?」
「ああ、先端が砕けただけで問題ない」
しかしコレも勝つ為には必要な事だ、寧ろ使えるだけありがたい。最悪アルタラウスを犠牲にする覚悟で行ったのだ。
「やったね……カナタ…!」
声のする後ろを振り返ればコハル達が笑みを浮かべて此方を見ていた。コハル達からすれば茅場晶彦の裏を突き、俺達の切り札とも言えるアルタラウスモード、それを最大出力でゼロ距離で炸裂させたのだ、勝ったと思っても不思議じゃない。
「いや……勝負はここからだ」
「ああ……」
だが、実際に戦っている俺達には分かる。
俺達はムゲンドラモンが下敷きになった瓦礫に目を移した。
そして……
「グオオオオオオオ!!」
瓦礫を吹き飛ばし、ムゲンドラモンが雄叫びと共に再びその姿を表した。後ろに居る茅場晶彦のHPを見れば……
「嘘だろ……アレだけやって半分も減ってないのかよ!」
そう、キリトの言う通り茅場晶彦のHPは半分も減ってない、精々四分の一減ってるか減ってないかだ。
「………初めからコレが狙いだったのかい?」
茅場晶彦が問いかける。彼の言う“コレ”は言われるまでもなく……ムゲンドラモンの腹部に広がる大きな亀裂だろう。
そう俺達の狙いは倒す事じゃない。無敵のムゲンドラモンの装甲に傷をつけ、弱点を作る事だ。幾ら究極体でも、弱点を突けば此方に勝機がある。
「ええ、始まる前に貴方が究極体の説明をした時から察してましたよ。成熟期と完全体とでさえ大きな差があるんだ。正攻法では勝てないと……そしてそれは始まってすぐに理解しました」
左手で握り締めたデジヴァイスを見せつける。
「貴方は知らないと思いますが、このデジヴァイスにはパートナーデジモンに指示をデータ化して送信する機能がある」
コレは漫画Vテイマー01の機能だが……そんな事はどうでもいい。
「………大したものだ。これ程の実力差を前に君は敗北を一切考えずに冷静な判断力でパートナーに確実な指示を出していたとは…。単純な実力ならキリト君だが、こと精神的な強さは君の方が上だな」
おそらく本心からの称賛だろう。茅場晶彦は笑みを浮かべている。
「君は言ったね。そんなにムゲンドラモンを使うのが楽しみだったのかと……ああ、楽しみだったとも。私はアインクラッドを、現実世界のあらゆる枠や法則を超越した世界を……創り出すことだけを欲して生きてきた」
「……………そしてデジモンと出会った」
「そう。デジモン、そしてデジタルワールドには私の想像を絶した世界が。このアインクラッドの様に幼い頃に夢見た天空に浮かぶ城が必ずある。そうして管理や攻略をする片手間にデジモンやデジタルワールドの研究に没頭した。分からないなりに必死に考えた、なんとか理解したノウハウを使ってデジモンを育成した。ああ……本当に楽しかったとも!」
あの人……あんな子供みたいに笑うんだ。きっと後ろではアスナさん達、血盟騎士団やキリト達、攻略組も驚いてるだろうな。
「私は君のようにデジヴァイスに選ばれた訳でもアグモンを自由に進化させられる訳でもない。それでもムゲンドラモンはアインクラッドに次ぐ私の全てだ!」
……そりゃワクワクするだろうな。自分の全てを注ぎ込んだ大切なモノを存分に使えるんだから。
「蹂躙にならない事は分かっていたが……ここまで楽しませてくれるとは、流石はインテグラル・ファクター!」
歓喜する茅場晶彦に反応してムゲンドラモンが動き出す。いよいよ向こうも本気でくる。
次の瞬間、ムゲンドラモンから六つの小型兵器が飛び出しバチバチとエネルギーを放つ。
「……は?」
「カナタ、危ない!!」
突然の出来事に惚けてしまった俺、メタルグレイモンが回避してくれるが大きさが災いして何発か喰らってしまう。
そして俺は漸く状況を理解する……… ふざけんな!!まんまファンネルじゃねーか!?
「こんなのアリかよ!?」
「期待通りの反応をありがとうカナタ君。言っただろう?ムゲンドラモンには私の全てを注ぎ込んだと!男児はみんなこういうの大好きだろう?」
ああ!確かに大好きだよコンチクショウ!!
空を飛びながらどうにか撃ち落とそうとポジトロンブラスターを放つが、発射に少し時間が掛かるポジトロンブラスターでは小型兵器には着弾し辛い。そうしてる内にも六つのレーザーに滅多打ちにされるメタルグレイモン。
「ムゲンドラモン、トライデントアーム!!」
その隙を逃さずムゲンドラモンの左手であるトライデントアームが俺達を砕かんとばかりに射出される。メタルグレイモンにもできる技だ、当然ムゲンドラモンも使えるだろう…驚きはしないが、最悪だ!
「ぐっ………!」
メタルグレイモンが声を漏らす。
咄嗟に此方もトライデントアームで防御したが同じ武器でも向こうは究極体、此方のトライデントアームを砕いていた。
「ッ!メタルグレイモン!!」
「此処でよそ見は悪手だな」
視線を向ければムゲンドラモンが背中に装備された二つのキャノン砲を此方に向けていた。砲身には光が溜まっており……発射数秒前だ。
「しまった!」
狙いを絞らないようにしてたのに!
「さぁ、どうする!ムゲンキャノン!!」
遂に発射されるムゲンドラモン最大の技『ムゲンキャノン』。あらゆる物を消滅させる光弾が此方に迫ってくる。
「カナタ!」
「分かってる!」
このままでは確実に消滅する。元よりムゲンキャノンを回避する策は考えてある!デジヴァイスを使ってメタルグレイモンをアグモンに退化させる。
「しっかり掴まってろ!!」
「うん!」
そのままアグモンを抱き抱えて腕に装備していた盾を取り外し足場にして蹴り、その反動でムゲンキャノンの射線から外れる。
なんとかギリギリ間に合って、ムゲンキャノンは俺達を飲み込む事なく、代わりに足場にした盾を一瞬で消滅させグングン登っていき。
「ッ!?間に合え!!」
次の瞬間、ムゲンキャノンが大きく弾け……
俺達は光に飲み込まれた。
◆◆◆◆◆
214:炎のヒロアカセイバー
テイマーニキ!?
215:極み主任
いや、大丈夫だ!彼のIDは消えていない!まだ死んでいない!
216:最高最善のグランドマスター
しかし茅場晶彦の奴!ムゲンドラモンにファンネルを装備させやがって!!
217:異種族派カセキホリダー
夢を詰め込み過ぎだろ!
◆◆◆◆◆
「アグモン!?カナタァー!!?」
空中で炸裂する光弾。
この百層が割れるのではないかとさえ思える程の振動が、コハル達の居る場所まで響く。
周りの者達が麻痺で動けない体を必死に動かして飛ばされないようにしている中、コハルはカナタ達を飲み込んだ光を見て叫んでいた。
「……いや、アレを見ろ!」
光が晴れた時、何かが見えたキリトが視線を向けた先には……
力なく落ちていくカナタと“メタルグレイモン”の姿があった。
それを見て茅場晶彦は素直に関心した。ただのデカい的であったメタルグレイモンをわざとアグモンに退化させて回避。その後にメタルグレイモンに戻す事でダメージを最小限に抑えた。
正しく最善の行動……しかしカナタを庇ったメタルグレイモンから無数の傷が見られ、おそらく防御に使用したであろうアルタラウスはムゲンキャノンの熱量で半分が溶けてしまった。カナタも庇ってもらったにも関わらず動けないでいた。
衝撃と共に激突する二人は……起き上がれないでいた。
「ふむ、半分以下の威力で撃ったがこれ程とは…」
「コレが……?半分以下…?なんだよそれ!?」
信じられないと言わんばかりのクラインが叫んでいた。それもそうだろう。直撃した訳ではなく、爆発の余波でメタルグレイモンを戦闘不能に追いやりラスボスのエリアの上半分が丸々消し飛んでいるのだ……それを半分以下の威力で行ったとあっては文句の一つも言いたくなるだろう。
「これこそが究極体の力だ。もはや我々の常識など通用しないのだよ……さて、名残惜しいが……む?」
終わらせようと考えた茅場晶彦の視界に、他の者達が倒れ伏す中立ち上がったキリトの姿があった。しかし、簡単な事だ。コハル達はGM権限で麻痺を永続的にしたのに対して、キリトはカナタの麻痺ポーションを受けて動けなかったのであって、効果が切れただけだ。
「ふむ……この戦いは元は君が私の正体を見破った報酬だ。故に君が望むなら決闘を受けるがどうするキリト君?勿論、ムゲンドラモンは下がらせアインクラッドのルールによる決闘だ。HPが0になれば死ぬのは変わらないが」
「くっ……!」
ムゲンドラモンが下がり茅場晶彦が剣と盾を構えて前に出る、キリトも二刀流で構えるが、その表情は明らかに強張っていた。
「…………どうやら君との勝負はお預けのようだ」
「………お前…!」
しかし、二人が激突する事はなかった。キリトは驚愕し、茅場晶彦は期待通りと言わんばかりの表情で……
「……カナタ!」
立ち上がったカナタを見ていた。
◆◆◆◆◆
くそ……身体中がイテェ…!掲示板のニキ達の呼びかけが無ければマジで起き上がれなかったぞ!
「……無事か?」
「……なんとか」
メタルグレイモンも意識を取り戻している、しかしギリギリだ。余波でコレか……いや、茅場晶彦の様子からして威力は落としてあるな。
どうしたもんか……アルタラウスは半分が溶解して剣としては使えないが銃としてはまだ使える筈だ。
それを腹部の亀裂にぶち込めば……しかし、倒すには何発も必要だ。あの茅場晶彦相手に同じ手が通用するとは思えない。
ギガデストロイヤーを放って瞬時に退化してミサイルに乗って突撃するか?進化と退化を繰り返して狙いを絞らせずに至近距離まで近づけば……可能性はあるが自爆覚悟の策だ……コハルやみんなとの約束を破る訳にはいかない。
後ろを見れば立ち上がったキリトの姿が、麻痺が解けたのか……
「……悪いがキリト……ここは俺達に任せてもらう」
「っ!何言ってんだ!これ程の実力差……。もういいだろ!俺が茅場とデュエルする!」
実力差か……やっぱり進化するしかないのか?
随分と希望的かも知れないが……成功すれば勝率は一気に高まる。
というか俺が思うに……俺達はもう次のステージに進める準備はできてる筈だ。75層に辿り着くまで多くの強敵と戦い、今だって圧倒的格上のムゲンドラモン相手に戦っているし、明らかに完全体の枠を一歩抜け出している。
究極に至る扉の前に立つ『資格』はある、後はその扉を開く為の『鍵』が必要だ。
そしてその鍵は……俺はデジヴァイスを見つめる。
「お前……怖くないのかよ!?この実力差を!負けたら死ぬんだぞ!?」
そんな俺を呑気と思ったのかキリトが叫ぶ。確かにキリトに任せてみるのも手だが、キリトの様子からして俺の言った事が響いてる。十中八九、原作通りになる。親友を守る為とはいえ、余計な正論を言ったのだ、責任とって俺達がやるべきだ。
「……怖いに決まってるだろ」
それにしても死ぬのが怖くないのかって……怖いに決まってるだろ。犯罪ギルドの狂人じゃあるまいし。
「……だから勝つんだ」
だからこそ勝つ為に考え行動するんだ。
「勝つ気で戦うんじゃない……勝たなきゃいけないから戦うんだ!!元の世界に生きて帰る為に俺達攻略組は!そうやって戦ってきたんだろ!」
「………ッ!」
死んだら終わりのこのデスゲームをクリアして元の世界に帰る。その為の戦いに負けていい戦いなんて一つもない!
「それがこれ程の実力差を前にしても君達が勝負を捨てない理由か」
「それもあるが……もう一つあるな」
茅場晶彦にそう言うと俺は後ろを振り返る。後ろには動けない体をなんとか起こして涙を流しながら、それでも決して目を逸らさずに俺とメタルグレイモンを見るコハルの姿があった。
「ボロボロになって今にも力尽きて倒れてしまいそうな俺達の姿を見て、涙を流しながらも、決して目を逸らさずに見ている人がいる」
そして茅場晶彦とムゲンドラモンの方を向くと、今にも崩れ落ちそうな両膝を両手で支えながら答えの続きを言い始めた。
「だから、どれだけ絶望的な状況でも……俺は、俺達は諦めない。どれだけ倒れようが、どれだけ強い敵が立ち塞がろうが、しょげもしない…!ビビリもしない…!何度だって立ち上がって!」
「何度だって飛び込むんだ!!」
メタルグレイモンが叫び立ち上がる。
「何故?」
茅場晶彦は是非聞かせてほしいと言いたげな表情で再び俺達に尋ねる。
「簡単だ」
俺はそこで一旦言葉を切ると渾身の力を振り絞って一気に吼えた。それは、あらゆる装飾を投げ捨てた一人の男としての矜持。
「俺達は必ず勝つと誓った!パートナーと仲間に!!その人達が見ている前で!!男が!!そんな情けない姿を見せられる訳がないだろうが!!」
男としての矜持を吼えたその瞬間、オレンジ色のオーラが天をも貫けと言わんばかりの勢いで俺とメタルグレイモンから迸る!!
「いけるなメタルグレイモン?」
「当たり前だろ?今の聞いて燃えない奴は男じゃない!」
最高だぜ相棒!
「いくぞ!」
「ああ!!」
俺が掲げたデジヴァイスが眩い光を放つ、それは幾度となく俺とアグモンの窮地を救ってくれた光。
「進化の光……」
そうコハルの言う通り、進化の光だ。
しかしこれまで以上の輝きがデジヴァイスから放たれ、それはメタルグレイモンの頭上で形をなす。太陽を連想させるマーク……勇気の紋章へと。
「メタルグレイモン……究極進化!!」
勇気の紋章がメタルグレイモンの頭部に一瞬浮かび上がったのと同時にメタルグレイモンの恐竜のような体が人に近い龍人に変化し、サイボーグの体がアーマーとなって装備される。6枚のエナジーウイングは二枚の盾に変化し、砕かれたトライデントアームとアウタラウスが龍殺しの武器へとその姿を変える。
そして頭上の勇気の紋章を潜り、太陽の如き輝きを纏って新たなる名を叫ぶ!!
「ウォーグレイモン!!」
それは歴戦の強者の中でも真の勇者が自らの使命に目覚めたとき進化すると言われる勇気を象徴するデジモン。
究極体・ウォーグレイモンがそこに居た。
◆◆◆◆◆
239:最高最善のグランドマスター
祝え!!
燃え上がる勇気と一歩も引かぬ覚悟を持って!!
選ばれし勇者は進化する!!
その名もウォーグレイモン!!
正に進化の瞬間である!!
240:炎のヒロアカセイバー
凄え…!!
241:超マサラ人
アイツやりやがった!!
242:極み主任
この土壇場で進化するとは!!
243:地球が恋しいレイオニクス
これで勝負は分からなくなった!
244:異種族派カセキホリダー
ああ!勝負は此処からだ!!
◆◆◆◆◆
「うおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!」
ウォーグレイモンが吠える一方で俺は歓喜に震えていた。遂に究極体へと進化した事と前世で憧れたウォーグレイモンが目の前にいる現実に!
「素晴らしい…!」
すると茅場晶彦が歓喜に震えた様子で言葉を漏らしていた。
「もしやと思ったが、まさか本当にこの戦いの中で究極体に進化してしまうとは!やはり君達こそ人間とデジモンの可能性!」
茅場晶彦はこの戦いで俺達が究極体に進化する事を期待していたのか……
「凄いよカナタ!身体に力が漲る!!」
「その力、ムゲンドラモンに存分に叩き込んでやれ!」
「ああ!!」
迸る力を燃やしウォーグレイモンがムゲンドラモンに突撃する。人型になった事で格段に上がったスピード、想像以上だ!
「面白い、その力…見せてもらおう!ムゲンドラモン!!」
ムゲンドラモンが六つの小型兵器からレーザーを、右手からジェノサイドギアを放つ。無数のレーザーとミサイルが迫るが……もうそんな物じゃ止まらない!!
「ウォーグレイモン!!」
「喰らえ!ブレイブトルネード!!」
ウォーグレイモンが両腕のドラモンキラーを合わせ、燃え上がるエネルギーに包まれる。包み込んだエネルギーは超回転し、光の槍となってムゲンドラモンに迫る。
アレだけ苦しめられたレーザーやジェノサイドギアが足止めにもならず、6つの小型兵器を破壊しブレイブトルネードはムゲンドラモンの右腕を粉々に打ち砕いた!
「ガァアアアアアアアアアッ!?」
「ムゲンドラモン!?」
右腕を砕かれムゲンドラモンが先程よりも大きな悲鳴をあげる。茅場晶彦もムゲンドラモンの装甲が簡単に砕けた事に驚きが隠せない。
「いける…!いけるよカナタ!」
俺の隣に降り立ったウォーグレイモンが歓喜の声を出す。アレだけ苦労したムゲンドラモンの装甲を簡単に砕いたんだ、当然だろう。
「ああ!いくぞウォーグレイモン!!」
ここからが本当の勝負だ!!
次回予告!!
究極体へと進化を果たしたカナタ達。戦いは最終局面に移り、ぶつかり合う二体の究極体。果たしてこの激闘の行方は!?
次回!
【世界の終焉・究極体VS究極体】
インテグラル・ファクターは終わらない。
タイトルからも分かる通りにウォーグレイモンに進化しました!
ムゲンドラモンの絶望感と奮起するカナタとメタルグレイモン。そしてウォーグレイモンへの進化、書きたい事を全部詰め込んだら、また長くなってしまいました。なんとか次で終わりしたいです。
テイマーニキことカナタは漫画版の太一をイメージして書きました。これまでのデジモンやボスモンスター、犯罪プレイヤーとの戦いで培った経験から決して敗北を恐れずに勝機を見いだす存在。
茅場晶彦も言ってましたが純粋な実力ならキリトですが精神的な強さならカナタが上です。
人智を超えた世界を目指した茅場晶彦がデジモンやデジタルワールドに何も思わない筈もなく、ウキウキで研究しムゲンドラモンを育成して、カナタ達と戦うのを待ってました。
カナタとメタルグレイモンなら蹂躙にはならないし、ワンチャン進化すると期待してました。
因みにムゲンドラモンに装備されたファンネルはカードゲームから取りました。