【転生者は】多次元式転生掲示板【助け合いでしょ!!】 作:DestinyImpulse
トータスに召喚されて翌日。さっそく訓練と座学が始まった。
まず、集まった生徒達に十二センチ×七センチの銀色のプレートが配られた。不思議そうにプレートを見る生徒達に、騎士団長メルド・ロギンスが直々に説明を始めた。
騎士団長が、訓練につきっきりでいいのかと思った生徒達もいたが、対外的にも内外的にも“勇者様御一行”を半端な者に預けるわけにはいかなかったらしい。
メルド団長本人も「むしろ面倒な雑務を、副団長に押し付ける理由ができて助かった」と豪快に笑っていたので大丈夫なのだろう。
その後、アーティファクトという聞き慣れない単語に、生徒達が質問する。
「アーティファクトって言うのはな、現代で再現できない強力な力を持った魔法の道具のことだ。大昔に神や眷属が地上にいた神代に創られたと言われている。このステータスプレートは、昔からこの世界に普及しているものとしては、唯一のアーティファクトだ。それとな、俺のことを『団長』ではなく、『さん』付けで呼んでくれ! その方がお前達も、気が楽で良いだろう?」
彼は豪放磊落な性格らしく、これから戦友となるのなら他人行儀は不要だと、他の騎士団員たちにも普通に接するように忠告するぐらいだ。
「プレートの一面に魔法陣が刻まれているだろう。そこに、一緒に渡した針で指に傷を作って、魔法陣に血を垂らせば所持者が登録される。“ステータスオープン”と言えば、表に自分のステータスが表示されるはずだ」
そして、話を聞いてた生徒達は顔を顰めながらも指先に針を刺し、浮き上がった血を魔法陣に擦りつけた。
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精錬 妖狐 十七歳 女 レベル1
天職:錬成師
筋力:10
体力:10
耐性:10
敏捷:10
魔力:10
魔耐:10
技能:錬成 魔力上昇 魔力回復 直感 言語理解
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62:ありふれた転生者(仮)
これは…?
63:炎の剣士
なんか色々と載ってますね。
64:赤目の主人公Z
ありふれのトータスでは人の能力はステータスプレートに記載されてより優れた数値や転職、スキルを持つ者が優遇される社会だ。
これは剣士ニキが居るヒロアカの個性社会に通ずるモノがあるな。
65:極み主任
そしてありふれちゃんの天職は“錬成師”か……技能は色々とあるが。
66:鬼斬り抜刀斎
確か原作主人公のハジメ君も錬成師だよな?
67:最高最善のグランドマスター
そうだ。他のクラスメートが優れた戦闘職を持つ中でハジメ君だけありふれた天職である錬成師の為に元々あったイジメが加速する。ステータスもそこらの子供と変わらないらしい。
68:ありふれた転生者(仮)
それって!
『ぶっはははっ~なんだこれ!完全に一般人じゃねぇか!』
『ぎゃははは~むしろ平均が10なんだから、場合によっちゃその辺の子供より弱いかもな~』
『ヒァハハハ~無理無理!すぐ死ぬってコイツ!肉壁にもならねぇよ!』
ハジメ!?
69:対魔忍リバイ
ハジメを囲っているのは確かイジメの主犯である檜山とその取り巻きの近藤 礼一・中野 信治・斎藤 良樹だ。
70:屋根裏ジョーカー
ハジメ君のステータスプレートを振り回して見せびらかしてるな……ゲスが!
71:OCGトマト
周りの男子もニタニタ気色悪い笑みを浮かべやがって、女子もクスクス笑いやがって……!こういう奴らが居るからイジメは無くならねぇんだ!
72:神を薙ぐ超古代の光
人は……いや、感情がある生き物は自分より弱い者を痛ぶる事に快感を得る者が稀に居る。彼らはハジメ君を虐める事で自分達の優位性を実感したいんだ…………………胸糞悪いね。
73:赤目の主人公Z
話は聞いていたが……腐ってるな。戦争において戦う人間よりも作る人間の方が重要だと言うのに……。
74:ありふれた転生者(仮)
…………………。
「…………………言ってみなよ?」
『あ?なに……がだ………ヒッ!』
「私もハジメと同じ“錬成師”なんだけど?言ってみなよ?今さっきハジメに言った事をそのまま……私にも!」
…………………なに黙ってんのよ!?
75:マゼンタの旅路
典型的な小物だな。周りの奴等もバツが悪そうに目を逸らすだけ、教師も止めようとしてるが舐められ発言権は無いに等しい。モラルが低すぎだ、寺子屋の子供達の方が何倍もマシだな。今度、妹紅と一緒に顔見せに行くか。
76:鬼斬り抜刀斎
生産職が戦える筈もないし、とりあえずメルド団長に進言するべきだな。コイツ等から距離を置く意味もかねて自分達は別にするべきだって
77:ありふれた転生者(仮)
分かりました。
「私も錬成師なんですけど。メルドさん……錬成師ってこんな風に馬鹿される天職なんですか?」
『い、…いや!そんな事はない!この王都を外敵から守る大結界や、ハイリヒ王国が厳重に管理している武具等を整備しているのは錬成師だ!馬鹿にしていい物ではない!!……………坊主、すまなかった!俺がちゃんと説明していればこんな事はならなかったのに!!』
…………………え?
78:赤目の主人公Z
………驚いたな。まさか騎士団長の地位に在る人物が、勇者の同胞とはいえミスを認めるばかりが頭まで下げるとは。
79:極み主任
どうやら、クラスメート達とは比べ物にならない立派な人だと、評価を上げるしかないな。
80:ねっぷねぷにしてやんよ!!
人格者なら好都合よ。このまま戦闘職と分けてもらえる様に進言しなさい。
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「それなら、私とハジメは別メニューとしてこの国の錬成師にお願いしたいのですが……」
「そうだな、すぐに進言しよう」
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!」
自分の進言が通った事に内心安堵しつつメルドと今後を方針を真剣に話し合う妖狐。そんな時に光輝が不満の表情を隠さずにメルド達の会話に割って入ってきた。
「どうして南雲だけを特別扱いするんですか!納得できません!!」
光輝を筆頭にクラスメートが不満を言いはじめた。一番キツイであろう戦闘訓練を、免除されるのが許せなかったのだ。光輝や男性陣はハジメだけを目の敵にするが、大部分の女性陣は妖狐の方にも不満の視線を向けコソコソと陰口を言ってるのが見える。
「俺の説明不足故にお前達が生産系天職を正しく理解できず、不満を持つのは分かる。確かに錬成師という生産系天職は戦闘は不得意だが戦争で必要な武具を生産できる重要な役割を果たす天職でもある。俺は坊主や嬢ちゃんを特別扱いしてるのではない、コイツ等にはコイツ等の訓練が有るという事だ」
メルドがそう説明するが、ほとんどの生徒達は納得する者はいなかった。
そんな彼等を無視して、自分達の今後はハイリヒ王国直属の筆頭錬成師のウォルペンに相談することを決めた時……
「あ、あのね、南雲君。私達のパーティーに入らないかな?」
「私からもお願いするわ。入ってもらえないかしら」
二大女神の二人がハジメに話しかける。香織は頬を赤く染めて、親友の望みを叶えようと雫も真剣な眼差しでハジメを見つめているのだが、檜山を筆頭にほとんどの男子達の怒りの視線がハジメに集中する。
この香織のパーティーには、もちろん彼女達の幼馴染であり、ハジメを快く思わない光輝や龍太郎も居るだろう。
「……なんでハジメがアンタ達のパーティーに入らないといけないのよ」
しかし、香織の言葉を妖狐の一言が鋭く切り捨てた。
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88:ありふれた転生者(仮)
『何かな?何で精錬さんにそんな風に言われなきゃならないの?』
「何でも何も……………私とハジメは戦争に参加するなんて一言も言ってないわよ」
……なんか凄い驚いた顔してるんだけど。
89:屋根裏ジョーカー
ほっとけ。
志願制なんだから参加しない人が出ても不思議じゃないし、現実と理想の区別ができない奴等を相手にしてもしょうがない。
90:ありふれた転生者(仮)
「すみませんメルドさん。私達は彼等と違って昨日今日で戦争に参加する考えを出す事ができません。天職も生産職なので裏方にさせてください」
『いや、これは本来ならこの世界の人間である俺達だけでやらなくてはいけない事だ。無関係であるお前達を強要する権利はない。それにステータスも戦闘に出せる物ではないし裏方に徹してくれるだけありがたい』
「……ありがとうございます」
91:ねっぷねぷにしてやんよ!!
理解してくれてよかったわ。
92:赤目の主人公Z
そりゃ仮にも軍を任されてる人材だぜ?明らかに戦闘向きじゃないありふれちゃん達を戦場に出したら無能もいい所だ。
93:対魔忍リバイ
ですね。人材を見極めるのも部隊を預かる者の責務ですから。
94:ありふれた転生者(仮)
『そういう訳だから白崎さん達のパーティーに入れないんだ…………ごめんね』
『そ、そんな……南雲君…!?』
『あの、南雲君、もう少し…「まさかハジメに戦争に参加しろ!なんて言うつもりじゃないでしょうね」うっ…』
『南雲!お前は安全な場所で怠けるつもりか臆病者め!妖狐も、そんな奴に付き合う必要なんてないんだぞ!』
あー!次から次へと!!
95:炎の剣士
戦争に参加するのはありふれちゃんやハジメさんの自由なのに……
96:鬼斬り抜刀斎
と言うかあの勇者(笑)、ハジメ君とありふれちゃんを引き離そうとしてないか?
97:神を薙ぐ超古代の光
親しくないのにありふれちゃんを呼び捨てしてるしね。
98:ありふれた転生者(仮)
私もやめろって言っているんですが……
『待って下さい!昨日も言いましたが先生は反対です!絶対に駄目です!!』
『困っている人達を見捨てるなんて俺にはできません!!』
…………………あたま痛くなってきた。
99:最高最善のグランドマスター
こんな非常事態に結束力の欠片もないな……
100:O C Gトマト
もう相手にしない方が……
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「すみませんメルドさん。工房に行っていいですか?この場に居ても口論に巻き込まれるだけですし……」
「そうだな……よし、許可する。お前達も坊主や嬢ちゃんの様に参加したくない者は俺に声をかけてくれ」
スレ民達の言う通り、相手にしてられないと妖狐はメルドと共にハジメをウォルペンの工房に連れて行こうとするのだが、待ったをかける者が現れた。
「待って!!」
二大女神の一人、香織だ。またか、とうんざりした表情で振り返るが、香織の矛先は妖狐に向けられており、怒りの視線を向けているのだ。
「しつこいわね…戦争には参加しな「そこじゃない!!」…うるさいわね…ハジメをパー「そこよ!!」……は?」
「クラスでは「南雲君」って呼んでたのにここに来てから「ハジメ」って呼んで…!ホントは南雲君とどんな関係なの!答えて!!」
ハジメをパーティーに加えられなかった事にショックを受けていた香織はハジメの隣にいた妖狐を見てある事に気づく。
これ迄、妖狐はハジメを「南雲君」と呼んでいたのに昨日、トータスに召喚されてからは「ハジメ」と呼んでいた。しかもそれに対してハジメは困惑していない。それによくよく考えてみれば妖狐は近すぎず遠すぎずの距離を保っていた。
「確かに精錬さんって……さり気なく南雲も近くに居たわよね…」
「今だって南雲の野郎を手助けしてるし……」
ヒソヒソと周りの奴らも精錬とハジメに付いて話し始める。男子から「白崎だけでは飽き足らず精錬までも」と、嫉妬の視線を向けていた。
こんな状況なのにどうしてハジメへの悪意だけは団結できるのだろう。妖狐の苛立ちがどんどん募っていく。
もう隠し通せないのなら全部曝け出してしまおうか、そんな考えが過り深いため息を吐いてチラリとハジメへ視線を向ける。ハジメももう隠し通せないと悟り、静かに頷いた。
「ハァ…もうこの際暴露してあげるよ。私とハジメは小さい頃からの幼馴染。私達の父親が仕事仲間で家族ぐるみの付き合いをしてる」
そして…………………
「私達は男女の仲で付き合ってるのよ」
最後の言葉が一番響いた感覚を感じながら妖狐はこの後の展開が分かっているのかうんざりした表情で光輝達を見ていた。
「ちょ、ちょっと待ってくれ!どうしてその事を俺たちに話してくれなかったんだ!?」
光輝のその言葉に奴等は揃いも揃って頷く。
「はあ?何でアンタ達に話さなきゃいけないの?」
「俺たちは一緒に戦う仲間じゃないか!仲間に本当のことを話すのは当然じゃないか!」
あれだけ拒絶したのに光輝の中では妖狐は戦争に参加するのが決まっているようだ。
「仲間ね…ふざけてんの!ここに来る前からずっとそう!気持ち悪い笑みを浮かべて、ハジメを笑い者にしてどの口が言ってんの!!」
怒りに燃える妖狐の正論にクラスメート達は視線を反らすばかり……
「ち、違う!俺達は笑い者になんかしていない!事実を言ってるだけだ!オタク気質で不真面目な南雲をーー「だったら私にも言いなさいよ!」ーーえ?」
「オタク気質が不真面目だって言うなら!ハジメと好きなアニメや漫画を見て、好きなゲームをやって、一緒に秋葉原に行く私だって自他共に認めるオタクよ!!さぁ言ってみなさいよ!!不真面目な女だって!!!」
「お、落ち着け妖狐…!」
「何が事実よ!アンタは、ただハジメを笑い者にして優越感に浸りたいだけじゃないの!」
「ち、ちが…………」
光輝の言い訳を一喝し、妖狐は睨みつける。ハジメも不真面目な奴だと言うなら同じ事をしている自分にも言ってみろと……
「檜山!アンタ達は事ある毎にハジメを馬鹿にしてるけどアンタ等の声を聞く度に怒りでどうにかなりそうだったわよ!!ハジメが我慢してたから黙ってたけどもう限界!ほら、言ってみなさいよ!!」
「いや…その…」
檜山を筆頭とした四人組は妖狐の威圧感に押され何も言えずにいた……そんな彼等を妖狐は虫ケラでも見る様な目で見る。
「結局……アンタ達は自分より弱い奴にしかデカイ口叩けない!何が世界を救うよ!くだらない理由でイジメなんかしているアンタ達に何が救えるのよ!!」
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112:極み主任
ありふれちゃん荒ぶってるな。
113:屋根裏ジョーカー
そりゃ自分の彼氏がイジメられてきたんだ。不満や怒りは前々から溜まっている筈、いつ爆発してもおかしくないだろ。
114:OCGトマト
それにしても付き合ってる事を言っても良かったんですか?
115:最高最善のグランドマスター
どうせいつかはバレるだろうし、最初から言った方が楽だろ?
116:ねっぷねぷにしてやんよ!!
このクラスを見ていて分かったのは、彼等はハジメ君を虐める事を良しとしている。クラスの皆もカーストトップの勇者(笑)が正しい行いと称して虐めることで、ハジメ君を虐める=悪い事ではない、という構図ができている。
117:赤目の主人公Z
こんな状況だ、恋人同士の支え合いだって必要になる。そんな所を見られれば嫉妬でハジメ君を虐める要因が増えてしまう。だったらありふれちゃんがハッキリと恋人宣言して牽制すれば幾分かはマシになる筈だ。
118:マゼンタの旅路
それでも勇者(笑)や子悪党を筆頭に嫌がらせはあるだろう。
119:神を薙ぐ超古代の光
…………………僕達が見てあげないとね。
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スレ民が掲示板を介して見守る中、叫び過ぎたせいで息を切らす妖狐の背をハジメが擦り安否を確かめる。
「妖狐、落ち着いて」
「ハァ…ごめん。取り乱した……何だっけ……ああ、白崎が最初に聞いてきたんだっけ…………これで満足?」
「南雲君と…幼馴染…?…男女の仲…?嘘…ウソよウソよ…!」
妖狐は香織に視線を向けるが、香織は余程ショックだったのだろうか…虚な目で膝から崩れ落ちそうになったが雫の支えがあってどうにか持ち堪えた。
「アンタがハジメにどういう感情を持って接しているのか知らないけど、これからは“節度”を守ってちょうだい。八重樫さんもさ、友人の思いを叶えたい気持ちは分かるけどハジメだってなんでもかんでも受け入れる訳じゃないから」
「……っ!」
前半の言葉は香織に対してだが、あの様子では聞いてないだろうが、雫に対しての後半の言葉は届いた様だ。雫自身はハジメを周囲の圧力などものともしない強い人と評価しており、香織が暴走しても受け止めてくれるだろうと見做していた。しかしハジメだって普通に辛いことは辛いし嫌なものは嫌に決まっている。
「学校では節度を保って“友人”として接してだけど、こんな状況だし“恋人”として助けあっていくよ。そして天職からも私達は裏方に徹する。白崎さんや、天之河の事を八重樫さんに言うのは筋が違うかもしれないけど、毎度毎度「悪気はないから、許して」なんて小学生じみた言い訳をこれ以上聞くつもりはない。コイツらを庇うなら真面目に手綱を握っててよ」
「うっ……!」
妖狐の容赦ない言葉に何か言おうとした雫の言葉が詰まる。結局雫は幼馴染達のお目付役を自負しておきながら、ハジメや妖狐に甘えていたのだ。
その後、妖狐はメルドに案内される形でハジメと共にウォルペンの工房へと向かった。
その時、一番後ろに居た妖狐に敵意の籠った言葉が耳に入る。
「……渡さない……南雲君は絶対に……!貴女なんかに渡さない…!」
(それはこっちのセリフだ……)
これが後に続く因縁の始まりになる事に、まだ誰も気づく事はなかった。
END