ただ、色々な人の意見を聞いた結果、やはりヒーローはヴィランを殺害することに対して禁止令が出されているわけじゃない、という設定でいかせていただきます。ご了承ください。
義爛って、孔時雨みたいな雰囲気出てていいよね
「テメェ、舐めやがって! どうやら苦しんで死にてェらし──ぃ、あ?」
視界が唐突に落ちていく。
強い衝撃と同時に、次はぐるぐると世界が回りだす。
敵の"個性"?
幻覚?
世界が回る。気持ちが悪い。しかし、それも数秒で止まり、ぼんやりと揺らいでいた視界が少しずつ回復していき、ピントが合う。そうして、その光景を目にしたところで男はその事実に直面した。
(あ……俺の……体……?)
視線の先。そこには首の上にあるはずの
斬られたことに気づいていないのか、男の体はまだ銃を握っていて、容赦なくそれを下手人が蹴り倒す。そうして、こちらに視線をチラリと見つめ、嘲笑うように鼻を鳴らし、音もなくその場から立ち去っていった。
それが男の見た最後の光景。
暗闇に吸い込まれるようにして、男の意識はそこで溶けていく。
◆◇◆
「チョロいもんだな」
標的のいた事務所から想定していたルートから脱出し、集合場所へと向かう。
人目のつかない場所についた男は、身元を隠すための特注品のマスクを外す。ボタンを押せば手のひらサイズの球体に変形し、それをポケットに入れ込んだ。
男──禪院甚爾は、とあるヤクザの依頼により敵対する組織の壊滅を請負い、たった今それを終わらせてきたばかりだった。
汗もかかず息を切らさず、余裕綽々といった様子だ。複数人から"個性"や銃火器を向けられたというのに傷ひとつつけられていない。甚爾にとって、この程度は造作もないことだった。
数年前に禪院家を出奔してからは、フリーの殺し屋として、裏の世界で活動していた。
元々、戸籍の存在しない彼は、この社会においては透明人間だ。マトモな価値観をしていないあの家から出たところでマトモな職につけるわけもなく、当然の如く彼は裏社会に身を置くことになった。
とはいえ、甚爾は成り行きで犯罪者に落ちたことに対して後悔はない。
甚爾にとって、厄介だったのはあの家で、意趣返しに鏖殺した時点で、彼の人生のピークはそこで過ぎている。後は好き勝手に生きて、適当な理由で死ねばいい、とさえ思っている。
"個性"を持って生まれるはずの禪院家での甚爾の扱いは、それはもう酷いものではあった。
今にして思えば、よく生きていた、と思う。ガキの頃に殺されていてもおかしくはなかった。
そんな悲惨な過去を持つ甚爾だが、血筋は争えないもので彼の性根もまぁクズである。
クズでなければ、そもそも殺しを生業とした裏の仕事を金のために嬉々として請け負ったりはしない。そして、その金の使い道は基本的には女とギャンブルだ。とことん終わっている。
甚爾の金遣いは荒い。
彼と提携している
1000万を超える報酬を手に入れても、早ければ1ヶ月程度で消し飛んでいる。
そうして、無くなった金を稼ぎにまた裏の仕事に手を染める。それが彼のルーチンだ。
しかし、それは選ばれた一握りの人間にしか出来ないやり方だ。
命の危険を冒し、潜り抜けていく。
ひとつのミスが引き金となり、心の臓を貫くことになるのが日常的な世界。
特級指定
金に目が眩み、裏の世界へ足を踏み入れる人間は少なくない。
だが、その末路の大半は不幸なものだ。
力や知恵のないものは排斥される運命にある。
甚爾にとって、これほどまでに単純で、生きやすい世界はない。
予め決めておいた集合場所には、何処にでも走っているようなバンが止まっていた。
甚爾は躊躇いなくドアに手を掛け、中に入り込む。
不快にならない程度の甘い香りが車内を満たしている。硬い椅子にもたれかけ、運転手に目を向ける。
「相変わらずオマエさんは仕事が早くて助かるぜ。待ち時間が短くて済む」
「だったら少しは色を付けてもらうぜ、義爛」
「そいつは依頼主に言ってくれ」
運転手──甚爾の専属
◆◇◆
義爛が禪院甚爾と出会ったのは、禪院家が壊滅してすぐのことだった。
禪院家が壊滅した、という話は裏社会では持ちきりだった。
何故なら情報の一切が開示されず、明らかになっているのはただ謎の敵に闇討ちされたという情報のみ。重大な事実を政府等が隠蔽していることは明白だったが、義爛は別に"Why "に興味はなかった。関心を抱いたのは "Who "だ。
(どんな奴が、あの禪院家を滅ぼしたのか)
禪院家は終わっている価値観の持ち主ではあったが、それでもその強さは本物だった。オールマイトやエンデヴァー程の脅威ではないにせよ、こちらを躊躇なく殺しに来るという側面では、ある意味彼らよりも厄介だと言える。
そんな彼らをどんな手段を持ってか相手取り、勝利したものが存在する。
複数人いるのか、それとも単独犯なのか。
どちらにせよ、大物であることに間違いない。義爛は、何とかして取り入ってみたいと感じた。
危険だが、そもそもこんな裏の職種についている時点でそれはつきもので、覚悟は出来ている。
意外なことに、すぐに禪院家を滅ぼした主犯と接触することができた。
何の運命の悪戯か、向こうも義爛を探していたようで、導かれるようにして二人は邂逅を果たした。
『オマエが義爛か? 俺は禪院甚爾。金に困っててな。良い働き口を紹介してくれよ』
その姿を見た時、義爛は確信した。
コイツは──禪院甚爾は、たった一人であの禪院家を滅ぼしたに違いない、と。
それほどまでに圧倒的な覇気を纏っていた。
護身術は嗜む程度には覚えているが、しかしプロヒーローや腕利きの
そんな非戦闘員の自分でさえ、一目見ただけで彼がとんでもない実力者であることを理解させられる。
禪院甚爾は、その中でも間違いなく最強格。
今にして思えば、ギリギリの綱渡りをしたものだ。
それから、義爛は甚爾と契約を結び、多くの仕事を斡旋した。
彼の実力は噂通り、そして己の目利き通り本物でどんな依頼でさえも容易くこなしていた。依頼達成率は100%を叩き出し、裏社会に大きな影響を及ぼした。
標的がプロヒーローであろうと、名の知れた
純粋な力で、あるいは狡猾な戦略で、禪院甚爾は多くの屍の上に君臨していた。
甚爾は裏の仕事を軽く運動して大金を貰えるバイトのようにしか思っていないようで、流石に義爛も苦笑した。その使い道も女とギャンブルだというのだ。
(裏社会は甚爾の噂で持ちきりだ。どこの勢力もコイツを取り入れようと動き始めている)
フロントミラーから、後部座席に座る甚爾を見る。
甚爾は気づいていない──いや、気づいていても、社会情勢などに興味が更々ないのだろう。
義爛の見立てでは、甚爾の人生は既に老後のようなものだと思っている。
彼から聞いた身の上話。禪院家を滅ぼすという目的は達成されており、あとは気楽に生きるのみだ、と語っていた。
だからこの先、社会がどうなろうと一切関心がないのだ。
義爛が裏社会に根付いたのは金の匂いがしたからだ。
彼には力はなかったが、優れたコミュニケーション能力とリスクを吟味出来る判断力、そして知恵があった。
だからこそ、彼はヒーローの目に隠れて暴力とは違った形で生き残ることが出来ている。
しかし、オールマイトが台頭してきて以来、
裏を牛耳っていた魔王の気配もここ数年で薄れてきており、義爛自身も商売を一時的に畳み、隠居しようと思っていた程だ。
禪院甚爾との邂逅により、そんな未来は訪れなかったが。
(オマエがどんな景色を見せてくれるのか……楽しみだぜ)
仲介人。
仕事や武器、人員を斡旋する。
それが義爛の仕事だ。
ただ、それ以前に義爛の本質は
そして、その直感が確かに告げている。
禪院甚爾という存在は間違いなく、この裏社会──否、表裏も関係なく国家すらも巻き込んだ台風の目になるのだと。
その直感が正しかったと義爛が悟るのは、これから3年後の話。
神野区の悪夢と呼ばれ、歴史に名を刻むことになる英雄と魔王の神話を彷彿とさせる決戦──その結末で。
想定では、今話は原作の2年前の話。
甚爾が禪院家を壊滅させたのは、更にその3年前。つまり、原作の5年前です。
なので、甚爾が裏社会にやってきたのはAFOとオールマイトが相討ちになった直後の出来事で、AFOよりも早く義爛が甚爾に接触することが出来ました。
甚爾は自分が公安やヒーローに追われる立場になることは、禪院家を出た時から悟っており、サポートアイテムで姿を隠しています。マスクはガスマスク型で、服装は黒の上下のスウェットです。
続きがあればですが、次回から敵連合かAFOと関わらせたいと思ってます。あるいはトガちゃん。
なんか書いてほしい話あったら教えてください
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原作突入しろや
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青龍刀とかの武器を何処で手に入れたかとか
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オバホとの関わり
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その他(メッセで)