血みどろ無表情のフリーレンに殺されたい転生魔族。 作:たかたけ
まるまるねんまるがつまるにち 転生してから多分300年くらい
フリーレンと会話することに成功したぞ!
いやー角折った甲斐あったよ。まあ寝る時とか掃除する時とかも邪魔だったからちょうど良かったんだけど。
まあまあ!それは良いとしてフリーレンに殺されるためのヘイト稼ぎだよな!!
…そう言えばフリーレンからのヘイトってどんなふうに稼げば良いんだ?
・魔族が嫌い。
・玉ねぎ嫌い。
・朝に弱い。
ふむ…とりあえずフリーレンが苦手なもの嫌いなものを挙げてみたけど、どうしたら良いんだ?
朝に無理やり起こすとか?魔族嫌いだし、俺がいつも一緒にいるとか?毎日飯に玉ねぎ混ぜるとか?
………よく考えたらコレ、毎日やってたわ。
だって好き嫌いは良くないから玉ねぎはペースト状にしたりして食べやすいようにして食べさせたし、寝かせると昼まで起きないからいつも起こしてるし、フリーレンに話しかけるために毎日一緒にいたし…。
あれ?俺お母さん?
………いやいやいや。違うはずだ。実際、俺はフリーレンに嫌なことをやってるんだぞ?そんな俺がお母さんな訳ない。そのはずだ。(錯乱)
ま、まあ、とりあえずこれからもフリーレンのヘイトを稼いでいきたいと思う。
まるまるねんまるがつまるにち 転生から多分300年くらい。
フリーレンに殺されかけた。
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フリーレンと会話が出来るようになってから10年。ナルはとあることを頼む為にフランメの元を訪れた。
「フランメ〜。もうそろそろアレだからお願いしても良い〜?」
「ああ、もうそろそろだったか。好きにやりな」
ナルは抽象的な言葉でフランメに何かを頼み込む。それを聞いたフランメは、何かを思い出した表情で自身の腕をナルに差し出した。
ナルはその差し出された腕を出来るだけ優しく掴み、手首の血管の部分に自身の歯を沿わせた。
─カプリ
「─ん」
フランメの手首から少量の血が溢れ出す。ナルはその血を自身の口に含み、飲み干した。
それを数分ほど続けたナルは、満足したようにフランメの手首から口を離す。
ナルは魔族だ。人間を騙す為に進化したこのヒトの姿の代償は、人を食べることでしか生きていけないと言うものだった。
幸いと言うべきか、ナルは人の血を吸う為に進化した魔族の一種だ。人を食べなくても生きてはいける。だが、人が水分を取らなければ死ぬように、ナルは人の血を吸わなければ死んでしまうのだ。
──ガタ
何かが落ちたような音。
ナルは思わず振り返る。そこには目を見開かせ、こちらを凝視するフリーレンの姿があった。
「ふ、フリーレン!こ、コレは違っ──」
「………」
フリーレンの瞳が冷めていく。最近はどこか優しいとは言えずとも、嫌な顔はしなくなっていたフリーレンの瞳が敵意に染まっていく。
「っ!」
「………」
ナルが選んだのは逃亡。
フリーレンの横を通り過ぎ、そのまま森の中へと走っていった。
「フリーレン。言っておくが…「知ってる」」
フランメはナルの先ほどの行為について話そうとするが、フリーレンは言葉を遮るようにしてそれを止めた。
「知ってるよ。魔族は人を食べないと生きていけない」
そう、知っていた。姿は見ていないものの、ナルが人間の血肉を摂取していることを。そうでなければ今まで生きてこれてすらいない。
「ふむ…。ならフリーレンなぜお前は怒っているんだ?」
「──怒っている?私が?」
フリーレンは首を傾げた。
エルフは基本的に喜怒哀楽が薄い。だからこそフリーレンは今、自身の中にある感情の正体を知らなかった。
「ああ…、私は怒っているのか…」
フリーレンは胸に手を当て、何かを噛み締めるようにして呟く。
フランメはそのフリーレンの様子を見て、フッと含むように笑った。
「フリーレン。これはあくまで私の予想だが、お前はナルに“隠し事”をされたのが嫌だったんじゃないか?」
「……そうなの?」
「だからあくまで私の予想だ。お前のことはお前にしかわからんよ」
頭をポンポンと撫でるフランメに少し気まずくなり、視線を下へと向ける。そして、そのまま少し思考を巡らした。
私は…魔族が嫌いだ。私の村や同胞たちを殺したし、人を言葉を使い騙す姿はまるで獣のようで忌避感を覚えた。
──でも、ナルは少し、いや…かなり違った。
最初は殺してしまおうとも考えた。けどフランメに言われて我慢した。本当は嫌だったけど。
でも次の日からアイツは私に話しかけてきた。私は無視した。もしその魔族の顔を見たら今にも殺してしまいそうだったから。
無視すればすぐに辞めると思ったのに、それは1年の間続いた。
正直ウザかった。でも、彼のことを知るには十分過ぎる時間だった。
彼は、毎日昼まで寝てしまう私を起こしてくれた。
彼は、玉ねぎが嫌いな私のために食べやすいようにしてくれた。
彼は、私が魔族嫌いだからと魔族の象徴である角をへし折った。
彼が、普通の魔族とは違うのは嫌でも理解できた。
その日からだろうか?私は、いつの間にか彼のことを自然と目で追うようになった。彼はよく笑うし、フランメに怒られたらしょんぼりするし、怒ってもそんなに怖くないし、魔法が好きだし、勝負に負けたら涙目になる程負けず嫌いだし、子供っぽいし、馬鹿だし、料理はうまいし、やっぱりどこまでも魔族らしくなかった。
そして今日。ナルがフランメの血を飲んでいるのを見て、やっぱりナルは魔族なんだと言うことと、心の奥で揺れ動いたモヤっとしたもの。
これは私の問題だ。
魔族が嫌いな私の我儘。ナルは一切関係ないのに魔族だからと言う理由をつけて、自身に巣食ったものに任せて強く当たっている。
………私はこれからナルにどう向き合えば良いんだろうか。
「………そうだな。コレからは私の独り言だ」
「…独り言を言う前にはそんなこと言わないと思うけど」
1人考え込むフリーレンの心情を察したのか、フランメはそう切り出したもののフリーレン自身にバッサリと切られてしまった。
「まあ聞きな。私はある日1人の少年に出会ったんだ。魔族の少年だ。そいつはとある村の真ん中で1人立っていたんだ。そこは私が師匠に言われて潰しに行った魔族が群れをなして暮らしていた村でな。私はつい聞いたんだ『ここの村の住人はどうなったんだ?』って。少年は何も映さない瞳で答えたよ。『全員殺した』ってな」
「それって……」
「そいつは自分の同胞を自ら殺し尽くしたんだ。私はその時思ったよ。コイツは普通の魔族とは違う。人の心を持った優しい異端の魔族なんだってな。──だから、私はそいつを弟子に誘った」
「……」
「そしてあの日、魔族嫌いのお前と出会った。正直お前とアイツを合わせてどうなるかは私もわからなかった。別に仲良くできないならそれだけだった、だがどこかでアイツに期待していたのかもしれない。お前の心を動かすことを」
「……うん」
「──フリーレン。もし、仲が悪くなった時どうやって仲直りするか知ってるか?」
「……知らない」
「なら教えてやる。──喧嘩だよ」
フリーレンは首を傾げた。
フリ「喧嘩ってあの殴り合うやつ?」
フラ「ああ、(本音で)殴り合うやつだ」
フリ「そうなんだ。それで仲直りができるの?」
フラ「ああ、間違いない」
フリ「わかった。じゃあ殺りあってくる」
フラ「ああ、言ってこい」
フリ「うん。行ってきます」
すれ違うフリーレンとフランメさん。
長くなりそうだから二つに分けたんだよね。だからてs──