血みどろ無表情のフリーレンに殺されたい転生魔族。 作:たかたけ
──フリーレンから逃げ出したナルはその頃…。
「(う、うおおおおおお!やっちまったああああ!血を吸うところをフリーレンに見られちまった…!絶対嫌われたって!目がやばかったもんめっっちゃ怖かったって!!い、いや…嫌われたってことは別に良いことなのか?でも、ようやく話せるようになったのに、結局元通りになっちまったじゃねえか!フランメを襲ってるって絶対勘違いされてるって…ううーフランメちゃんと説明しといてくれるか?いやあ…でもあの人たまに抜けてるし…)」
「あ、いた」
「わあああああああああああ!!??!???」
突然後ろに現れた気配に大声をあげて後退りするナルと、その大声に少しびっくりしたフリーレン。
「何?どうしたの?」
「え、えーっと……(ど、どうすんの?やっぱ俺を殺しにきたのか!?)」
「………ねえ。なんで生きるのに血が必要って言ってくれなかったの?」
「え!?だ、だって(フリーレンに殺してもらう為に)会話出来なくなるのは嫌だったし…」
「!そうなんだ…」
沈黙。
ただこちらをまっすぐ見つめるフリーレンに、ナルはとても気まずくなる。
「──喧嘩」
「え?」
「喧嘩しよう」
フリーレンが突然そう切り出した。ナルは何が何だか分からずに混乱してしまう。
「え?え?なんで喧嘩!?」
「フランメが喧嘩すると仲直りできるって」
「フランメええええええええ!?!??!」
まさかの情報の出所にナルはさらに混乱した。
突然始まった
「『破滅の雷を放つ魔法《ジュドラジルム》』」
いつの間にか杖を構えて詠唱を完了したフリーレンから電撃が飛んでくる。ナルは咄嗟にそれを魔法で防ぐ。
「『万象を拒絶する魔法《ディアリスアブリント》』!」
何かの壁に阻まれたように霧散する電撃。フリーレンは自身の電撃を防がれたにも関わらずどこか興味深そうに唸る。
「それがナルの魔法なんだ。興味深いね」
「褒められてんの?」
『万象を拒絶する魔法《ディアリスアブリント》』…その名の通り、ありとあらゆる事象の拒絶権。ナルが転生したことにより授かった唯一無二の魔法だ。コレは角の再生阻害にも使われており、その気になれば“個”すらも
「ねえ、ナル」
「何?」
「私、今日ナルが魔族だからって理由でナルに強く当たろうとした。ごめん」
「──なんだ、そんな事か?」
「え?」
「別に良いよ!俺を嫌ってはないんだろ?じゃあいい!」
「──そっか。『地獄の業火を出す魔法《ヴオルザンベル》』」
フリーレンから生み出された特大級の業火。それをナルは全力で回避した。
「うおおおおおおお!?!??なんで!??!今の終わりの流れじゃん!?なんでまだ続けるんだよ!?」
「うん。でも、まだ言いたいことたくさんあるから」
「う、うおおおおおおおん!!!!!やだあああああぁぁぁぁぁぁ……」
そうしてナルはフリーレンから生み出され続ける魔法を防ぎ続けた。
「………」
「これで仲直り出来たのかな?」
脱力感で沈んだナルを横目に、フリーレンはどこか満足げにむふー、としている。
全ての魔法が致死性ではない致命傷(?)レベルの魔法なので防がねば、ただただ痛いだけの生き地獄と化すのでナルはもう全力だった。終わった瞬間に地面とキスするくらいには。
「うぅぅ…うぁあ……」
「大丈夫?」
「じゃない…」
「そうだよね。見ればわかるよ」
フリーレンは好きでこんな風にした訳じゃない。あの
「夕焼け〜」
もう辺りはすっかり茜色に染まり、そろそろ太陽が沈む時間のようだ。
「──ねえ。フリーレン」
「ん?なに」
「フリーレンは朝日と夕日。どっちが好き?」
「えー。私はどっちでもいいかな?」
「まあ朝日は俺がいないと見れないだろうけどね〜」
「む…私だって寝ないでいれば朝日くらい…」
「冗談だって…」
ナルからすれば不健康そうな行動は、できるだけ謹んで貰いたいものだ。体調を崩した時に世話をするのは自分だろうから。
「……」
「……」
「ねえ。ナル」
「ん?何?」
「別に答えなくてもいいんだけど…。ナルはなんで自分の村を滅ぼしたの?」
フランメが教えてくれなかったこと。いや、もしかしたらフランメにも言わなかったのかもしれないことを聞いてみる。
「んー。あんまり気持ちのいいものじゃないよ?」
「私は気にしない」
「……やっぱりやめた。もう終わったことだし」
「…そっか」
フリーレンは再び心の中でモヤリとした何かが生まれたのを感じた。どうやら自分は先生の言う通りナルに“隠し事”をされるのが嫌らしい。
それが本能的に魔族を警戒するものかはたまた別の感情なのかはフリーレンには理解できなかったが、ソレを今すぐに知ろうとは思わなかった。
それからしばらくして、フリーレンの頭がこくりこくりと揺れ出した。そしてゆっくりとナルの肩の上に頭を乗せる。
「?フリーレンどうしたんだ」
「……スゥ」
「げ、寝てる…え?これ俺が家まで連れて行かないとダメなの?俺もめっちゃ疲れてるんだけど?…………………ええ」
揺さぶってもフリーレンは起きない。毎日フリーレンを起こすナルなら知っていたことだが、そんなことを気にする体力すらナルには残っていない。結果。ナルがとった行動は──、
「夕日。綺麗だったなあ…」
現実逃避である。
ナル「あ、軽い。これならギリギリ運べそう…」
フリ「………もずく…」
ナル「え?もしかして俺の髪食ってない?これ?」
フリ「もぐもぐ……まずい……」
ナル「俺の髪ベトベトにしておいてその感想マジ?ってか起きてないの?これ……」
おんぶするナルと(寝ぼけて)もずくを食べるフリーレン。
なんで赤バーついてんのかマジで分からん。