血みどろ無表情のフリーレンに殺されたい転生魔族。 作:たかたけ
あ、短いです。
とある森に囲まれた村。
そこにはある魔族が群れをなして生活しており、その村で生まれた◼️◼️もその魔族の1人となった。
魔族は基本的に群れを成さない。例え成したとしても、利害の一致やただの興味によるものがほとんどである。
そして、その村の魔族達は利害の一致による関係を作っていた。
何故なら、その魔族達には欠陥があったからだ。
血を定期的に吸わなければ、敵味方の分別が出来ぬほどの破壊衝動に染まり、全てを蹂躙する。勿論、その魔族にはデメリットだけではなく、充分な血を摂取出来れば普通の魔族の10倍以上の力を扱うことができる。
それだけを見れば強いようにも感じるが、その魔族達には更なる欠陥があった。
それは、魔法だ。
魔族は元来、“呪い”と言われるほどの強力な魔法の使い手だ。だがその魔族達の魔法は人間と比べ上であるものの、決して強力とは言えないものばかりだった。
だからこそ、魔族達は協力をせざるを得なかった。暴走してしまえば、それを止める術など自分たちには残されていないのだから。
そんなことが起きないようにその魔族達は人間の血を分け合う。
そのようなルールがその魔族達の村でできるのは自然の摂理だった。
──イレギュラーが現れるまでは。
彼は、少し異端な魔族だった。普通に村で暮らし、普通に血を飲み、普通に寝て、魔法は使えないと言う異端性もあったものの、鍛錬により膨大な魔力を手に入れた彼を、魔力量でヒエラルキーを作る魔族達は追い出そうとしなかった。
そして彼が自身が転生していたことを
少年は概ね魔族の生活に馴染むことができた。しかし、血を飲むことだけは前世の人間性が邪魔をしてきた。
ただ魔族の意識はその血を飲めと訴える、だが人間としての意識がそれはおかしい、間違っている、気持ち悪い、と頭の中で響いて鳴り止まない。
──少年は血を飲むのをやめた。
暴走のことは知っていたが、それが本当のことは限らない…などと自分に言い聞かせた。言い聞かせてしまった。
気の迷いだった。俺は転生者だから、人間だからと、魔族の意識を覆い被せるように人間の常識を薄く広げた。
結果は単純だった。
暴走。
止まらない破壊衝動、殺戮衝動に身を任せ暴れまくった。
建物を壊し、『お母さん…』と呟く魔族を捻り切り、殴り、壊す。血を求め、その青年は一日中暴れ続けた。
暴走が止まったのは、月明かりが満ちた夜の事だった。
口には多量の血を含み、甘美な血を味わい尽くしたあとに暴走が止まったことが窺える。
そこそこの規模と言えた村はもはや見るも無惨な姿となり、探し物すらできないだろう。そして血だけが残り、魔力に還ったであろう魔族達。
湧き上がってきたのは嫌悪感。それは魔族ではなく自分自身。あまりにも愚かな選択をした自分自身へのものだった。
正直、このまま消えてしまった方が楽だと思った。そうすれば何も考えず、感じず、後悔する暇すらないほどの虚無へと帰れる。
だが、皮肉にも人間の意識は、『生きたい』と叫んでいる。
そして、魔法が発現する。
一生を賭けて研究する魔族の魔法。その魔法はあまりに皮肉なものだった。
── 『万象を拒絶する魔法《ディアリスアブリント》』
それは自身の存在を世界から拒絶するための魔法か、はたまた自身の『生きたい』と言う気持ちに答えた魔法なのか。
【ナル】はまだ、知る由もない。
多分俺は正気じゃねえ。